「あ〜…やっとや」
そう、今日は鳴海とご飯へ行く日。謎に日が経つのが遅く感じて、もはや待ち遠しさすら覚えていた。
今日は怪獣は発生せず、淡々と事務作業をこなしたりトレーニングをしたり、隊員と手合わせしたりしていた。不謹慎だが、怪獣もたまには空気読むんやなぁと思ったものだ。
約束は夕方の7時からだったので、それに間に合うように店へ向かう。現地集合の方がそこまで目立たないというのもあり、LIMEでやり取りする中で決めたことだ。
立川でタクシーを捕まえ、約束の5分前程に居酒屋に着いた。恐らく鳴海のことだからまだ居ないだろう。もしかしたら遅刻するかもしれない。
…と、思ったのに。
「ん、こっちだ保科」
店内に入ると、オフモードの鳴海がカウンター席に座っていた。
えぇ!?え、ちょ、嘘やろ…!学校で5分前行動なんて学びませんでしたが何か、みたいなスタンスの人が5分以上前から来とる…!
会議やってすっぽかすし、来たとしても遅刻が当たり前やのに。
「何驚いてる。ボクが遅刻しないのが珍しいみたいな顔しやがって」
「え、実際そうやないですか」
相手が上官なのも忘れて思わず言い返す。
「ハァ?おまえ天下のボク様に向かって何だその口の利き方は」
「あぁすんません、そういえば上官でしたね」
「あぁん?喧嘩売ってんのか保科貴様ァ」
「はは、滅相もない」
軽口を叩きながら鳴海隊長の横に座る。
「待たせて申し訳ないです」
「別に。暇だったから早く来ただけだ」
一応謝ると、鳴海は素っ気なくそう言った。
「何か頼めよ」
そう言ってメニュー表を渡される。
「ありがとうございます。何頼もかなぁ、ビールと…んー、よし、焼き鳥にしよ」
「おい、ボクの分の鶏モモとハツ頼め。あとビール」
「了。ほな僕砂肝とぼんじりとせせり頼も。あ、ついでにだし巻き卵とサラダも」
粗方決まったところで店員を呼び、注文する。
すると1分もせずビールが2つきた。
「ん、ほな」
「?」
「もう、分かっとらんなぁ。こういう時は乾杯するんですよ」
「わ、分かっとるわ!…ほら、」
軽くジョッキをぶつけ、高いガラス音を鳴らす。
ゴクゴク飲むと、ビール特有の苦味と旨さが同時に来た。
「っぷはぁー、やっぱ仕事終わりのビールは格別ですねぇ」
「ん…」
同じくビールに口を付けた鳴海が短く返事をする。と、保科はあることに気付いた。
え、めっちゃちびちび飲んどる…。あれ、もしかして鳴海隊長て下戸なんかな…?
…、まぁええか。指摘したらうるさそうやし。
「おい保科、ここから先はボクの陣地だからな。皿置いたりするなよ」
「はいはい」
心狭ッ。寸前でその言葉を飲み込み、余計なことを言ってしまわぬようにビールで流し込む。
「そや、鳴海隊長、お仕事頑張っとったらしいやないですか」
「ハッ、怪獣討伐なんぞで頑張るわけないだろ。余裕だ」
「いや、鳴海隊長が苦手な事務仕事の方ですよ。長谷川さんも驚いてましたし」
「は、はぁ!?おのれ長谷川ッ、余計なことを…!」
「?」
「ととととにかくっ、ボクは事務仕事なんぞしとらんからなッ!別に非番取る為に溜まった仕事片付けるとかそんなバカらしいことは、決して!してないぞ!!」
「は、はぁ…?そうですか、(?)」
何やら1人で慌てている鳴海を尻目にビールを飲む。
「…おまえペース早くないか?」
「よく言われます笑 僕酒は結構強い方なんで」
「ほーん、まぁボクも全然飲めるけどな!」
「て言いますけど、ビール全く減ってないやないですかぁ」
「う、うるさいッ、味わってるんだよ!」
「はは、さすが鳴海隊長ですね(笑)」
「おい何笑っとんじゃ保科テメェ」
「いやいや、笑うだなんてそんな」
「まぁいい、今日のボクは寛容だからな。あ、それとボクは酒強いからそこんとこ忘れんなよ」
「はいはい。ほな鳴海隊長、潰れんといてくださいね?」
コメント
10件
この二人の絡みが一番幸せ、、、、好きやわぁ、、、、
はぁ、、!!!このあと鳴海隊長はすぐに潰れるんだろうなぁ、、
マジ好き ·͜·さんの保鳴まじ好きですこのままあーしてこーしてぱーするんですよね?