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そこのホテルがラ◯ホだと疑った私を殴ってほしい((次の展開も楽しみです!!
𝐒𝐮𝐤𝐢ᐠ( ^ᐤ^ )ᐟ
「…はは、案外早かったですねぇ」
「んぁ〜…?」
ぽやぽやしている鳴海を呆れながら見る。
最初は焼き鳥をつまみながら仕事の話やら趣味がどうたらとか、そんな当たり障りのない会話をしていたのだが。
「ボクは酒豪だ!!」とか言う割にビール2杯目でもう顔赤かったし。4杯目になって「無理せんとってくださいね」と声をかけた時にはすでに酔いが回っていた。
「ほら、もうビール終わりにしといてください。アンタの介抱するとか嫌ですからね」
「んや、ボクはまだ、のめる…」
「そない顔赤くして何言うとるんですか」
「あかくない…し…」
「あー…こらあかんな…もうビール没収」
ひょいとビールを取り上げ、そのまま一気飲みしてやった。
「あ、」
すると飲み終えたジョッキを凝視してくるので、
「ん?もうビールありませんよ」
とジョッキを持ち上げ得意げに笑ってやる。
そして、さぁ怒るか、と軽く身構えていると。
「か、かんせつきす…だろ、いまの…//」
「…………え?」
顔をさらに赤く染め、うつむきがちにぽつりと呟く鳴海。
こっちはビールを勝手に全部飲んだことを怒られるかと思っていたのに。
え、何?間接キスでそんな照れる??ウブすぎひんかこの人。
…ちょ、え?あれ、鳴海隊長めっちゃ可愛く見えてきた…どないしよ、眼科行きたい…。
「ぁー、まぁ、否定はしませんけど…」
とりあえず肯定しておく。
…でも、
間接キスでこんなんなるんやったら、普通のキスはどうなんねやろ。
そう考えて、ハッとした。
あかんあかん、何考えとるんや。さすがに僕も酔ってきたかな…。
…てか童貞やろこの人。確実に。キスもしたことないんちゃうかな。
とか考えていると、鳴海が瞼をとろんと閉じようとしているのが目に入った。
「鳴海隊長、寝んといてくださいよ。意識無い成人男性運ぶん結構きついんで」
「ボクが、いつ…どこでねようと…、ボクの、かってだろぉ…」
「いや運ぶん僕なんでほんま勘弁してください」
「もぅねむい…ねる…」
「いや待ってまだ逝かんといて」
爆速で伝票を持ってレジに行き、会計を済ませる。そしてスマホでタクシーを呼び、鳴海に声をかける。
「鳴海隊長、タクシー呼んだんで帰りますよ」
「んん〜…」
あかん、起きへん。
スマホで時間を確認すると、23時過ぎだった。
自分の家はさすがにまずいし、鳴海の家はそもそも知らないのでナシだ。
となると、やはり安直なのはホテルか。とりあえず送り届けて、それから帰ろ。
「鳴海隊長、起きてください。ホテルまで送るんで」
「ぁ〜…?ほてる、?」
「はい。ええですか?」
「ねれるなら、どこでもいい…」
「了。ほな行きますよ」
よし、言質は取った。
鳴海に肩を貸し、店の前に停まっているタクシーに乗り込む。
「どちらまで?」と運転手に聞かれたので、「近くのホテルまでお願いします」と頼む。
「ここからなら東横オンが近いですね。そちらでよろしいでしょうか?」
「はい、お願いします」
おもむろに車が走り出す。
東京の夜景。もうすっかり見慣れている。
ぐっすり眠りこけている鳴海の横顔を盗み見て、また外に視線を戻した。
ホテルにて。
タクシーを降りて料金を払い、チェックインするべくフロントへ向かう。
「2名様ですか?」
「あーいえ、この人だけです」
まだ半分くらい寝ている鳴海をなかば引きずるようにして連れてきた。近くにあったソファに放置する。
その一連の流れを見ていたスタッフ。
「名義を記入する際はご本人様でお願い致します」
笑みを崩さずそう言った。
…遠回しに「その人は名前書けないだろうから、宿泊するなら貴方が書いてくださいね」と言われている。つまり2人で泊まらなければならないということだ。
「…分かりました。」
仕方なしに紙切れに名前やら電話番号やらを書き、カードキーを受け取ってから鳴海のもとへ戻る。
「鳴海隊長、エレベーター乗りますよ」
返事も聞かず、ようやっと歩けるようになった鳴海の手を引っ張りエレベーターに乗る。
ドアが閉まった。
「ほしなぁ…」
「なんですか」
「いつまで、てぇ…つないで、るんだよ…」
「あ、せやった。すみません」
平静を装い、パッと手を離す。何となく気まずくて、2人の間に沈黙が訪れた。
幸い人が乗ってくることもなく目的の階に着き、カードキーに記載されている部屋まで辿り着く。
「ほら鳴海隊長、ここですよ。」
「ん、、」
まだフラフラしているが、どうやら徐々に酔いは覚めてきているようだ。
扉を閉め、電気を付ける。
適当にベッドに腰掛け、テレビを付けた。
「鳴海隊長、先シャワー浴びてもらってええですよ。僕は後でええんで」
あー下着どないしよ。下のフロントに売店あったしそこで買うて来るか。
ん、と返事をしてバスルームに向かう鳴海の背を見送り、カードキーを持って部屋を出た。