「ごめん!神様に呼ばれちゃって、二人で話してて〜っ」
そう言い羽をひらひらとさせて振り返り、急ぎ足で神の居所に向かうその姿は、まるで、本当のヴィーナス…
いわゆる女神そのもの、太陽の光をやさしく浴びた布団に包まる無邪気な子供そのままだった
「…若井、スズカちゃんに惚れたでしょ?」
「はっ、んだよ急に、」
「スズカちゃんを見る目が違う、この世で1番愛おしいものを見るかのような目をしてる」
そう俺の目をじっと見ながら親指の腹で俺のぷくっとした涙袋を撫でる
「まぁ、ちょっと意識してる部分はあるかもね」
「なんか、大事にしたくなるというか」
「ここだけの話、おれ生前恋人いたんだ、スズカによく似てる」
「涼ちゃんって言うんだ、髪が長くて、よく女の子と間違われてた」
「俺のこと庇って、トラックに引かれて死んじゃったんだ」
「…若井は、その涼ちゃんと似てる人に惚れたの?」
「…かもね、ここに涼ちゃん来てたら良かったのに」
だったらまた会えたのに、そう言おうとしたが、目に涙が溜まってるのに気が付き、言うと電れそうになるのを感じたため言葉にするのをやめた
「あれ、そういえば」
「スズカ、なんで俺の情報知ってたんだろ」
そういえば、スズカがダイレクトに俺のプロフィールを当ててきたのが気になった
「…スズカちゃんは神じゃないからね、そんなの勘じゃない?」
全知全能ではないとでも言いたいのだろうか
「ねぇ、元貴」
「お前、俺と初めて会った時スズカのこと、なんて言った?」
「え、スズカちゃんって」
「その前っ!」
「…さぁ、記憶違いだよ」
そう顔に影を置きながら、口元だけ笑って目をそらす、その仕草には怪しさが募るばかりで、どうしても気になってしまった
「..俺、死因も思い出せないし、生前の記憶も曖味で、頭に病気でもあるのかな」
そう前髪をがさつにかきあげながら言うと、元貴がそっと口を開く
「スズカちゃんもそうだったらしいよ」
「1年前くらい、やっと全部思い出したんだって、恋人の名前も、死因も」
いまのお前と一緒だよ、そう言って寂しそうに微笑み、俺の目をじっと見つめる
「スズカも…いっしょ…」
さいきん更新してなかったので…
コメント
1件
:(っ'ヮ'c): もしかしたら、スズカちゃん涼ちゃんって事?!