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CNR
叶「」
葛葉『』
御本人様とは関係ございません。
死ネタ
キャラ崩壊
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いつもと同じように、配信が始まる。
いつもは何時間、何十時間もやる配信も、今日は1、2時間で終わる。
少し前から、わかっていたことがあったからだ。
僕は、あともう少しで死ぬ。
病院に行く前から、勝手に予想していたものが当たった。
わかってたんだ。もう、死ぬんだって。
僕は30になる前には死んでしまう。
リスナーの中にも、体調不良を勘づいている人もいた。
でも、そこまでとは思わなかったみたいで。
「ああ、」
窓を開け、暗い空で光り輝く星を見つめる。
「もう、ゴホッ、だめなんだ。」
前々からあった咳は悪化し始めて、たまに血も一緒に出るようになった。
この事は誰にも言っていない。マネージャーにも、リスナーにも、葛葉にも。
誰にも知られずに、1番綺麗のまま、死にたい。
枯れているように見えない、花のように。
配信はまだまだしたかった。
ゲームもたくさんしたい。
でももうできなくなる。あと、もう少しで。
最後くらい、旅行しようかな。
前から思っていた。本当に、旅行に行きたいと。自然を見たいと思っていた。
考えるのは明日にしようと思い、
ロトを抱き、ベットに潜り込んだ。
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『ふ〜、』
久しぶりな長時間配信を終わり、窓を開け、空気を吸う。
配信中に、叶の体調の話が出た。
リスナーから教えてもらったが、また体調を崩しているなんて。
『…あいつ、』
犬歯のような牙を覗かせながら、相棒のことを考える。
5年、一緒にいた相棒のことなんて、俺はわかりきっている。はず。
叶は何かしら悩んでいる。俺の中で、勝手に確信を持っていた。
どうもおかしい。いつもなら、相談があるんだけどさぁ…とか言いながら電話をかけてくる。
でも今回はかなり抱え込んでいる。
本人が言わなくとも悩んでいることだけはわかるのだ。
『もしかして…』
いや、そんなわけ…と、軽く頭を振る。
でもあいつの事だからありえると感じてしまう。
そのようなことをある配信で言っていたから。
信じれない。いや、信じたくない。もし、俺の考えがあっていれば…
どんどんと不安になってしまう。
『叶に聞くか、電話で。』
本人に聞くのもどうかと自分で思った。
でも今はこれしかないと思った。
なぜか、電話しないといけない気がしてた。
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寝ようとベットに入っても寝れなくなった。
寝れないのに瞼を閉じる。
ただ冷たい空気を吸って、吐くを繰り返していた。
プルルルルルル、プルルルルルル…
そんな時、携帯が震えた。
「電話…こんな時間に誰だ?」
とは言いながら、大体この人、とはわかっていた。
遊びの誘いか?と思いながら、携帯に手を伸ばす。
「もしもし」
『あ、叶?』
やはり、電話の相手は葛葉だった。
「そうだけど、どうしたの?」
『あぁ…ちょっと、気になったことがあって。』
なんだ、と思ったが、こんな時間に気になったことを聞くなんて。
葛葉はやっぱり変わんないな。
「気になった事…」
『うん、それで、気になってたことなんだけど。』
珍しく丁寧な葛葉におお…と、感心した。
でも、気になってた事ってなんだ?と思いながら、応えを待つ。
『お前…なんか、悩んでない?』
びっくりした。急に悩みを聞かれた。今までそんな素振り見せなかったから、僕は黙ってしまった。
『叶?』
「あ、あぁ、ごめん。悩んでないよ。」
『絶対嘘。悩んでないわけない。』
即答。葛葉は僕の悩みを、絶対に聞き出すつもりだ。
流石だなぁ。
「…わかったよ。話すから、近くの公園に来て。」
こんな事を電話で話したくなかった。
葛葉はいつも優しい声で、僕を慰めてくれる。
この相談でそんな事されたら泣いてしまう。もう、独りで泣きたくない。
『わかった。』
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やっぱり、悩んでいた。
恐らくだが病院で何か言われたとかだろう。
あいつは人間。どうしても種族の違いで、お前は俺をおいて逝く。
そんなことわかっている。わかったつもりかもしれないけど。
でも俺にはわからない事も叶はわかっている。
あいつは、しっかり吐き出さないと壊れてしまう。
改めて感じ、足を早める。
叶が言った公園。偶に来ては、叶と少し話す。
俺と叶にとって、あの公園は本音で話し合える場所。
『叶、』
反対側の出入り口付近。
灯りに照らされた叶が見えた。
「葛葉!」
『…え』
俺が叶の方に、叶が俺の方に歩き出した、直後に。
『かなえ?!』
叶が咳をした。
それと同時に、あいつは、
血を吐いた。
叶はしゃがみ込んだ。
俺はすぐ叶の方に駆け寄り、声をかけた。
『叶、叶?!』
「ゲホッ、ごめ、大丈夫、」
はぁ、はぁ、と、息切れしながら俺の方を向く。
『ほんとに大丈夫か?』
「大丈夫、ありがと。」
叶は慣れているようだった。
『…で?』
「えっと…」
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「えっと…」
『うん。』
「僕はね。
僕は、もうすぐ死ぬんだ。自分でもそうだろうなって思ってたし、お医者さんにも、そう言われた。
僕は哀しくなんてないし、今死ねるなら死にたい。
でもね、僕はリスナーとか、葛葉とか、そういう人たちは、どう思うのかなって。
悲しんでくれるのかな。今まで、ありがとうって、言ってくれるのかな。ずっと不安だった。
こんな僕を認めて、推してくれたり絡んでくれたりして、でも僕は不安で。
僕は、僕は…もっと配信したかった。みんなで遊びたかった。
ゲマズのみんなとか、先輩後輩とか。でももう辛くて。
みんなで遊んで、交流して、自分だけ体調不良でいなくて。
それが嫌だった。怖かった。僕がバーチャルの世界から消えても、みんなはいつも通りに過ごしてて、考えてるだけでも、辛かった。僕がいなくてもみんなは変わんない。
それが僕の存在を否定されている感じがして。
何日も、何日も悩んでは泣いてた。
配信はしたくて、ちょっと短いけど配信してたんだ。
そんな、こんな僕を…これでも、いいよって。
それでもいいんだよ。って。
しっかり認めてくれる人が、僕が安心できる人がいてほしかった。
怖かった。僕は…
『俺が』
『俺が認めてるだろ』
少し早口で話す僕を葛葉は頷きながら聞いてくれていた。
でも、葛葉は、遮ってこう言った。
葛葉が…葛葉が、僕を認めてくれている。
その一言で、元々泣きそうだった僕は泣いてしまった。
優しいけれど、強くて、僕の心に響いた。
『お前は、叶は、よく頑張ってる。』
『苦しいのに配信して、心配されても大丈夫って。笑顔で。』
『お前はなぁ、自分を押し込み過ぎなんだよ』
葛葉の言葉は、一つ一つが僕の心に響いたんだ。
『無理した笑顔はお前に似合わない。』
『少しくらい、休んでさぁ。そんで落ち着いたら言えばいいだろ。』
ぶっきらぼうな言い方ではあるけど、心配してくれている。
『あーもー、落ち着け落ち着け、呼吸できなくなる』
『……全部言っていいから。吐き出していいから。』
葛葉の一言で、僕はずっと溜め込んでいたものを吐き出した。
「ありがとう、葛葉。本当に、本当に、ありがとう」
話し終わった後、僕は只管に感謝を伝えていた。そのせいか、葛葉は顔が少し赤くなっていた。
ここまで読んでいただきありがとうございました!
このお話はまだ続きます。
出るのは遅くなるかもしれませんが、次も是非読んでいただけると嬉しいです。
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誤字、脱字ありましたら教えていただけると嬉しいです!
コメント
6件
関係ないことで申し訳ないけど参加型のアイコン下さい。お願い
nzsnz見た事ないけど面白そう...