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チップは、限界まで走っていた。
肺が追いつかず、
足がもつれる。
それでも、
止まらなかった。
「……っ、はぁ……!」
廊下の先で、
光が揺れた。
黒い靄が、
ほどけて消えていく。
その中心に――
金髪で、小柄で、青い服の男子生徒がいた。
剣が、
静かに光を収める。
「……!」
チップは、
声を上げる前に、
その場に崩れ落ちた。
リンクは即座に駆け寄り、
距離を詰めすぎない位置で
しゃがみ込む。
「大丈夫だ。
もう、追ってこない」
チップは、
震える声で、
必死に言葉を紡ぐ。
「オリバーが……
姉さんが……」
その一言で、
リンクは理解した。
断片。
怨念の流れ。
失われた気配。
すべてが、
一つに繋がる。
リンクは、
何も言わずに
静かに頷いた。
ゼルダの気配が、
柔らかく重なる。
《……チップさん》
その声は、
初めて聞くはずなのに、
不思議と怖くなかった。
チップは、
きょろきょろと周囲を見渡す。
「……だれ……?」
《私は、ゼルダ。 あなたは、
とても勇敢でした》
その言葉に、
チップの肩が、
わずかに下がる。
《逃げることは、
弱さではありません》
《守るために走ったことを、
誇っていい》
チップの目から、
ぽろぽろと涙が落ちる。
「……姉さんは……」
リンクが、
ゆっくりと口を開いた。
「……君を、 守った」
それだけで、
十分だった。
チップは、
しばらく声を殺して泣き、
やがて、
深く息を吐いた。
ゼルダの気配が、
静かに包む。
《ここにいてください》
《あなたは、 もう一人ではありません》
――同時刻。
体育館。
そこは、
すでに学校ではなかった。
床を突き破るように、
森林が広がっている。
だが、
色は歪んでいた。
毒々しい緑。
赤黒い幹。
空気は重く、
湿っている。
中央に、
リンゴの葉の髪飾りをつけた少年が立っていた。
じっと、
待ち続けている。
まるで、
“時”そのものを
待っているかのように。
そこへ、
もう一つの気配。
少女の邪。
その影は、
周囲に
小さな“パペット”を
紛れ込ませていく。
糸のような邪が、
壁や天井に溶け込む。
少年は、
少女の方を向いた。
二人は、
言葉を交わさない。
ただ、
互いを見つめ合う。
――確認。
条件は、
整いつつある。
そこへ、
何も知らない足音。
サークルとタヴェル。
そして、
校長とブルーミーを除く
他の教師たち。
異変に気づかぬまま、
体育館へと入ってくる。
邪は、
静かに、
深く息を潜めた。
別の場所。
クレアの背後。
そこに、
三つの影が従っている。
ジップだったもの。
エドワードだったもの。
そして――
オリバーだったもの。
まだ、
その能力は見えない。
ただ、
邪の流れが、
彼を中心に
わずかに歪んでいる。
観測できるのは、
それだけ。
だが一つ、
確かなことがあった。
――事態は、
収束ではなく、
集結へ向かっている。
ガーディアン・オブ・ドゥームは職員室の扉を破壊。リンクを追い詰めるために歩み出す。
「うううううう……………………………ッ!」
ルビーしてのうめき声を邪が押さえつける。
「運命ハ、カワラナイ…」
周囲の邪が集まる。各地で強力な勢力が出来上がっていく。