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白と黒の虎と布

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白と黒の虎と布

3 - 第2話 『黒い人』曰く

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2023年10月23日

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※この話は誰かしらの目線から始まります。


あれから数十分が経った。

しかし、まだ僕は家にたどりつけていない。

何故なら、白い芥川が「このお店は何?」「あれは?」「この食べ物、初めて見る!食べたい!等々、僕にずぅっと言い、そのまま「行こう!」の一転縛りで振り回されているからだ。

お陰で、僕の両腕にはいっぱいの紙袋で覆われてしまっていた。

はぁ。こっちの世界の芥川なら、こんなことにならないし、『僕が持つ。貴様は黙って歩け。』とか言ってくれるんだろうな。

そんな考えを、頭の中でぐるぐると巡らせていた。


ブブッ。


ふと自分の携帯電話が鳴った。

芥川からだ。


承知した。

丁度、その『中島敦』と名乗る黒い輩が居た故、そのまま連れて行く。

あと数分待て。すぐに着く故。


居たんだ。

すぐに見つかったことについて、僕は口を大きく開けて立ち尽くしてしまった。

「あの、見つかったみたいです。『黒い敦』。」

分厚くふわふわと揺れるパンケエキを、目を輝かせて食べている白い芥川に声を掛けた。

キラキラと輝く黄金色のシロップのような目が、途端に大きく見開かれた。

「本当!?何処にいるの?」

白い芥川は、慌てて口の中にあったパンケエキを飲み込み、体を前のめりにして聞いた。

「えと、僕の家に向かってるみたいで、こっちの世界の芥川と一緒に居るみたいです。」

それを聞くと、白い芥川は、にこやかに微笑んだと思われたが、急に表情を変え、考え込んだ。

その後、少し聞き取れなかったがモゴモゴと呟いていた。

「あの敦が人について行く、のか?」

「いや、それは無いや。」

確かにそう言っていた。

まぁ、なんのことかさっぱり分からなかったが、あちらの世界の話だろう。

気にせずに、僕は

「芥川が来る前に、僕の家に帰りましょうか。」

と話を変えて、店を出た。


「あの『パンケエキ』と云うものはとっても美味しかった。僕の世界にも出てきて欲しいなぁ。」

満足そうにお腹をさする白い芥川は、これまででいちばん輝いた笑顔をしていた。

僕は、そんな白い芥川の頬に指を伸ばし、すぅっと撫でた。

「は、はへ?」

何が起きたのか正直わかっていない様子の白い芥川は、透き通るような白い肌を赫らめて、口をパクパクとさせていた。

撫でた指を、舌で舐め取り、

「あっ、す、すみません!頬にシロップが着いてたんで。つい。」

慌てて白い芥川に、説明をした。

「ふふふ。やっぱり貴方って人はどの世界でも面白い人だ。」

鈴を転がすように笑う顔は、こちらの世界の芥川ととても似ていた。



それから五分程で家に着いた。

ゼェゼェと息を荒らげて、僕は自分の家のドアを開け、前のめりに倒れた。

「あ”あ。疲れた。」

「お疲れ様。」

と、僕の額に口付けをすると白い芥川は、スタスタと笑いながら床の間に入っていった。


何故、僕が息を荒らげて倒れたかって?

そりゃあ、白い芥川が急に「足が疲れちゃったからおぶって。」と言い、無理矢理抱きついてきて離そうとしても異能でくっついてきたから、そのまま連れてきたんだ。

坂を上って、階段を昇って。芥川だからと言っても、人1人を背負っていたのは事実。いくら僕だからってバテ無いわけじゃない。

『あと数分待て。すぐに着く故。』

ふと芥川からの連絡を思い出した。

すぐに着く、と言っていたはずなのに姿が見えない。芥川は絶対に時間と約束は破らない。だからこそ何か、不吉な予感がした。

うーん。と困惑していると、ひらひらと手招きする白い芥川が視界に入った。

「ねぇ、こっちの世界の芥川と連絡繋がった?」

「いえ、まだ連絡はしてないです。」

白い芥川の言葉を聞いて、焦って追い連絡をした。


芥川?

あれからだいぶ経ってるけど、今何処?

一寸心配なんだけど。早く帰ってこいよ!


まだ心配の残る状態で、携帯を片手に数分眺めていた。

すると、案外直ぐに既読が着いた。

よかった。とほっとしたが、すぐに顔を青ざめさせることとなった。


拝啓、『白き僕』

此方の芥川は、素晴らしい。

僕はこれから、この芥川と共に過ごすから、しばらく帰んないよ。

取り敢えず、今日は『白い芥川』で我慢しな。

じゃ。


…は?

「芥川と過ごす?」

僕は、驚きで目を丸くした。

え?僕の芥川を取るのか?別世界の僕に。

腸が煮えたぎる。腹の底からの怒り、憎悪、そして殺意。僕の中の白虎ですら、牙を向きグルルルルと喉を鳴らして威嚇している。

いや、殺すのは間違っている。

殺しはしちゃダメだ。だって、芥川に約束させといて僕が犯してしまっては、矛盾することになる。

どうする。

何処にいる。

助ける。

助ける助ける助ける助ける。

絶対に、僕の芥川に手出しはさせない。


「ねぇ。困ってるんでしょ。」

はっとなった。

白い芥川はにたにたした笑顔で笑っている。しかし顔自体は青白く血色がない。その上、怒ったような雰囲気さえ感じる。

「僕達は、彼らに『浮気』されちゃったみたいだね。」

「う、うん?」

『浮気』…そうなるのか。

でも、僕が思うに、きっと芥川の同意ありで過ごす訳では無いと思う。

何故なら、芥川は知らない奴は刻み殺す。

まぁ、今は殺しはしないけど。きっと峰打ちとかにするだろう。

だから、僕は芥川を問い詰める気は無い。

僕の標的は、『黒い敦』。僕自身だ。

「僕は、敦の居場所がわかるんだ。」

「本当か!?なら、今すぐに教えてくれ!」

復讐を果たすため、まずは居所と動機を探る。

でも、その間に手を出されてしまう可能性だってある。

だから、すぐに乗り込みに行く。

「敦ならね。たぶん此処。」

「な、なんで、此処?」

地図を持って、白い芥川が指さした場所。

そこは、自分たちも知る場所だった。

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