コメント
1件
良き作品(๑•̀ㅂ•́)و✧
夜明け前、まだ薄暗い部屋の中。
すちは眠っていた――みことを腕に抱いたまま、温もりを感じながら。
その腕の中で、小さな身体がもぞもぞと動く。
「……ん、すち……」
寝ぼけた声。
次の瞬間、みことの小さな肩がびくっと震えた。
ふと毛布の下を触れると、しっとりとした温もりが指先に伝わる。
みことの瞳がみるみるうちに潤んでいく。
「……ゃ、ゃぁっ……すち、ごめんなさい……」
声が震えて、ぽろぽろと涙が頬をつたう。
すちはその様子にすぐに気づいて、上体を起こした。
「みこと?どうしたの、痛いとこある?」
「ふぇ…っ…ちがうの……ぼく……おねしょ……しちゃった……」
小さな声でそう言って、みことは顔を真っ赤にしながら泣き出した。
「すちのおふとん、ぬらしちゃった……ごめんなさい、ごめんなさい…っく…」
「みこと……そんなの、全然いいよ」
すちはやさしく笑いながら、泣きじゃくるみことを抱きしめた。
背中をぽんぽんと叩きながら、頭をなでる。
「……おこらないの…っ?」
「怒るわけないでしょ。小さいみことががんばって寝てたんだもん」
みことはすすり泣きながら、すちの胸に顔を埋める。
「でも……すちのふとん、ぬれちゃった……」
「布団なんて洗えばいいし、替えればいい。みことが泣いてるほうが困るな」
すちはベッド脇に置いてあったタオルを取って、そっとみことの涙を拭う。
みことのまつげには涙がきらきらと残っていた。
「だいじょうぶ。俺がぜんぶきれいにするからね」
「……ほんと?」
「ほんと。みことは悪くないよ」
そう言って、すちはタオルケットをめくり、手際よく濡れたシーツを外した。
みことはその様子をじっと見つめながら、小さな手でぎゅっとパジャマの裾を握る。
「すち、ぼくのこと……きらいにならない?」
「なるわけないよ。むしろ、もっと守ってあげたくなっちゃう」
その言葉に、みことは泣き笑いのような顔で「……すち、だいすき」と小さく呟いた。
すちは微笑みながら、体を拭き、きれいなパジャマを取り出し、そっと着替えさせる。
「はい、すっきりしたね」
「……うん」
「じゃあ、もう一回ぎゅってして寝よっか」
みことは素直にうなずき、両手を広げてすちの胸に抱きついた。
すちはその小さな身体を包み込むように抱きしめ、髪に口づけを落とす。
「もう泣かないでね。だいじょうぶ、すちがずっとそばにいるよ」
「……すち……だいすき」
その声は安心しきったように小さく、すちの胸の奥に染み込んでいった。
しばらくして、みことは静かに眠りに戻る。
すちはその寝顔を見つめながら、頬にかかる髪を指でなで、そっと呟いた。
「ほんとに……ちっちゃくなっても、かわいいな」