テラーノベル
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猪俣 side
ふと目が覚めると、真っ白の天井がうつる。
俺、何してたんだっけ…?
思い出そうとするが、頭が痛んで身体もだるい
佐 「 周杜? 」
不意に聞こえた声に横をむく。
佐 「 目覚めた? 」
猪 「 … 勝利、くん…? 」
彼は少し安心したように息を吐いて、そばにある椅子に腰掛けた。
佐 「 身体、起こさなくても大丈夫だよ。
まだ本調子じゃないんでしょ? 」
猪 「 ここは? 」
佐 「 病院。点滴打って貰ってる。覚えてない?周杜、本当は今日体調悪かった? 」
鈍い頭がゆっくり動き出し、全てを思い出し、青ざめた。
猪 「 ッごめんなさい 」
どれだけの迷惑をかけただろうか。
なんとか聞き取れたのは俺を呼ぶ恋人の寺くんの声。寺くんに抱きかかえられたのを感じて、意識は途切れた。以降記憶にない。あの後、レッスンは?みんなは?
佐 「 周杜 」
勝利くんの声。申し訳なくて目を合わせられない。じわりと涙が滲みそうになる。泣くな。堪えるんだ。
佐 「 ちょっと待ってて 」
泣くのを我慢しているからだろうか、また頭が痛くなってきた。強い覚悟を持って、オーディションを受けて、そして、timeleszに入ることができた。
あーあ、大好きな8人でtimeleszに居たかったな。寺くんの恋人で居たかったなぁ。
佐藤 side
佐 「 周杜 」
俺は、メンバー全員を呼んで、周杜が寝てる部屋に戻った。
周杜は恐る恐る振り向く。そして、メンバー全員の姿に目を見開いた。口はキュッとしていて、困り眉。これは、泣きそうなのを我慢している顔だ。周杜には悪いんだけど、可愛いんだよなぁ、って、そうじゃなくて。
佐 「 あのさ、周杜 」
周杜はまだ体調も悪いだろうに、ガバッと飛び起きて、小さな頭を深く深く下げる。
猪 「 皆 … 本当にごめんなさい。物凄く迷惑かけてごめんなさい。なのに、今後も迷惑かけちゃうかもしれません。でも、timeleszでいたいです。皆と一緒に、これからの時間を過ごしたいです。だから … わがままなのは分かってます。でも辞めたくないです。」
周杜は一気に話して、肩で息をしながら、そっとさてられた猫のように不安そうな顔で見あげた。
原 「 何言ってんだよ 」
原の低い声に、周杜は怯えたようにビクリと身体を震わせた。
猪俣 side
心臓がバクバクしてる。やっぱり、諦めきれない。幻滅させたかもしれない。でも、彼らと一緒にという夢を掴んだら、もう手放せない。わがままでごめんなさい。皆と一緒にtimeleszとして、寺くんと一緒に恋人として生きていきたい。皆はどう思っただろうか?彼らの優しさは知ってる。
佐 「 何言ってんの? 」
オーディションの時からずっと面倒を見てくれて、沢山のことをひとつひとつ丁寧に教えてくれた勝利くん。幻滅されたかと思い、目をつぶった。
不意に頭に温もりを感じて、そっと見上げる
佐 「 なんの話してるの? 」
猪 「 ぇ? 」
佐 「 何を勘違いしてるのか分からないけど、俺達が周杜のこと捨てるみたいに言わないでよ 」
勝利くんは、自分の頭を撫でて微笑んだ。
その時に、メンバーの顔を見渡せることができた。皆、優しいような、泣きそうなような、少し怒ったような、色々な感情が混ざった表情を浮かべていた。
菊 「 俺達がせっかく見つけた大切な家族同然の周杜を手放すと思う?周杜はtimeleszに欠かせない存在なんだよ。周杜が辞めるって言っても、俺らは聞かないくらい、同じような覚悟を持って、決めたんだからな 」
松 「 俺達が怒ってるのはね、周杜が辛かったのに教えてくれなかったこと、頼ってくれなかったことだよ。隠したい気持ちは分かるよ?でもね、やっぱり隠さないで言ってほしかった。メンバーってそういうもんじゃん? 」
猪 「 ごめんなさい … 」
申し訳なくて俯いてしまう。
松 「 周杜を思ってるから、言い方きつくなっちゃってごめんね。周杜、分かってくれたならいいんだよ。そんなに自分を責めないで。 」
今度はふんわりと優しく抱きしめられた。
温かい … 。
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