放課後。
俺は1人で帰っていた。
そりゃ、みんなと会わない時間帯に。
だから部活が終わった少し後に保健室を出て
靴を履いた。
それにしても、今日はおかしな日だった。
あの保健室に来た…男の子。
特徴…はあんま覚えてないけど…
髪は黄色で…片方だけ目が見えなかった…かな?
2年生…それで転校生の3人のうちの1人。
そしたら後2人は2年生1人、一年生1人か。
まぁ、そんなこと今考えても仕方がないけど。
さっさと帰ろうとしていた。時だった。
男子生徒3人が地べたに座っていた。
1人は汗をかいて地べたに座っていた。
1人はその子の足を押さえていた。
1人はとにかく慌てていた。
その男子生徒3人は何か話していた。
そうして俺はその3人の会話に耳を立てた。
??「…だ、大丈夫だって」
??「そんなわけないだろ!」
??「そうですよ!ほら、まだ学校は開いてますし保健室行きましょ?」
??「いやいいよ…」
??「なんでそんなこと言うんだよ!俺ら友達だろ?!」
??「友達だからだろ…。迷惑かけてらんないよ。」
??「っ………」
??「ほら、トラゾーさん、行きますよ。」
tr?「いいって…。ぺいんとも、もう、血を止めようとしなくていいよ。」
pn?「何でだよ!友達だから心配してんだ!しにがみだって、俺だって、お前の友達だよ!」
sn?「そうですよ!だから…」
tr?「…嬉しいけどさ…」
kr「…ねぇ」
「「「!!!」」」
俺はその男子生徒3人に声をかけた。
そしてその内の1人は見たことがあった。
保健室に来て、ありえないくらいの深傷を負っていて、髪が金髪な子。
pn?「クロノアさん?!?!」
kr「…そう、だよ。」
相手は俺の名前を呼ぶ。
それに、他2人には「?」って感じの顔をしていた。
pn?「この人だよ!俺の傷を手当してくれた人!」
sn?「この人なんですね!?ぺいんとの傷を手当してくれてありがとうございます!」
kr「ご、ごめん…名前、知らないんだけど…」
すると少し女の子に似ている男子生徒はびっくりした顔で金髪の子を睨む。
するとその金髪の子は「忘れてた!」みたいな顔をしていた。
pn「すんません!俺、ぺいんとっす!」
sn「はぁ…ちゃんとしてくださいよ…。僕はしにがみです!」
3人のうちの2人は自己紹介をしたが
1人はずっと汗をかいて痛みに悶えている。
pn「あの、この…今怪我してて!俺の友達が!手当とか…!またお願いしても大丈夫ですか?!」
そんなことをお願いされた。
…まぁ、やるけどさぁ…。
kr「名前は?」
tr「…トラゾー。」
kr「そっか。じゃあ治していくね。」
tr「…」
相手は本当に泣きそうな顔をしていた。
tr「…治さないでよ。」
kr「…?」
相手の声がとてつもなく小さくて聞こえなかった。
一体、俺に何を伝えようとしていたのか、はたまた独り言なのか、分からなかった。
そうして俺は順調に手当てをした。
kr「はい、終わり。」
tr「…ありがとうございます。」
俺が手当する前の顔とは変わらず、泣きそうな顔だった。
pn「トラゾー!大丈夫か?痛くないか?」
そんなことをぺいんとくんが言うとトラゾー君の顔が真顔になり、汗を拭った。
tr「おう!」
kr「っ?!」
さっきの表情は一切なくなった。
多分、友達を心配させないためだろう。
「うわ!クロノアじゃーん!」
不意に、嫌な声が聞こえた。