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レッドフォース号 船内
「あれ、副船長は?」
「あぁ、さっき船を降りて街の方に行ったよ。」
「こんな朝早くにか?」
「あぁ、」
「へぇ〜…」
こんなに朝早くに外に出るのは珍しいことでは無い。
だが、ベックはどうしてもカイナの事が気にかかっていた。
あれだけ街の人達から蔑まれていて、何もされない訳が無い。
そう思って、早朝足早にカイナの元へ向かった。
向かう途中、街が少しざわめいている。
なにかあったのだろうか。
ベックは気になり、聞いて見ることにした。
しかし、街の人々は何も教えてくれなかった。
むしろ、敵視している様な視線を向けている。
不審に思ったベックだったが、特に気にせずまた歩を進めた。
しばらく山道を歩き、開けた所に出た。
すると、目の前には倒れているカイナが居た。
「おい、大丈夫か!?」
ベックは少し動揺しながら問う。
「………う……」
意識はあるが、動けない状態だ。
「家まで運ぶぞ…」
ベックはカイナを抱え、彼女の家へと向かった。
カイナの家
「………、」
「あれ、私何でここに……」
「おぉ、起きたか。」
「あ、昨日の……」
「ベックマンだ。」
「すみません。運んで貰って…」
「どうってことないさ。」
ベックはそういったが、カイナは申し訳なさそうな顔をしている。
「所で、何であそこで倒れてたんだ?」
「…え、と……」
「母のあの氷を溶いてて…」
「それで…」
「頭に何か衝撃があったような……」
「衝撃……」
ベックは気づいた。
街の人達が騒がしかったのは、何かに意識が逸れているカイナは容易く攻撃出来ると考え、カイナをこの島から追い出そうとしていると。
「…一応、俺達の船に医者がいる。後で体調が悪くなったら大変だからな。」
「…ぇ、だ、大丈夫です…!」
「しかし、」
「大丈夫ですから…」
カイナは何事も無かったかのように笑っている。
だが少し目の焦点が合っていない。
おそらく金属か何かで思い切り殴られたんだろう。
「…分かった。だが何かあればいつでも言ってくれ。」
「はい。ありがとうございます。」
「俺は一旦船に戻る。」
「はい。お気をつけて。」
ベックは放っておけなかったが、部下の指示もあったので一旦船に戻る事にした。
「…決行は明日だ。」
「やっと怯えずに済むのね…」
「絶対にやってやる。」
ベック達が山にいる間、街ではとある計画が実行されようとしていた。