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「どうも……ありがとう。……ジョンさん……あなたは確かに……(死んでいたはずでは……)」
「ヘレンさん。その話はもういいんですよ。終わったことです。私は今、ここにこうしています。それだけなんですよ」
「えっ? ……うっ……」
ヘレンはそこで、言葉に詰まって周囲を身回した。
向かいに座っているジョンの顔も女中頭の青白い顔。傍の青い暖炉からの異様な雰囲気に、ヘレンは気が付いた。だが、その雰囲気が意味するものが何なのかすらヘレンにはさっぱりわからなかった。
(一体……何なの? この異様な雰囲気は……まるで不気味な……棺桶を見ているみたいな……)
それに気づくと、ヘレンの身体は更に小刻みに震えていた。
女中頭が配った熱いお茶を飲んでいるので、決して寒さの影響ではなかった。そう、その雰囲気に似ているのは狩りしている時に醸し出すモートの雰囲気だった。
(ここから逃げなければ……?!)
ヘレンはそう思うと同時に即座に立ち上がった。
確かにジョンはあの時、モートと世界の終末を避ける時に恋人と一緒に死んでいたはずだ。