テラーノベル
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君(ヤル)
*その言葉が空気を裂いた瞬間、リッカーの中で何かが切り替わった。聴覚が言葉の意味を咀嚼しきれずとも、声色に含まれた熱量だけは正確に拾っていた。*
*舌が一気に伸び、マイクのベルトのバックルを巻き取った。金属が軋む音とともに引き抜かれ、舌先の器用さで器用にバックルが外される。布地が引き裂かれる音が続いた。*
*リッカーの骨格が変形した四肢がマイクを押さえ込んだ。赤黒い体表から滲む体液が冷たい床に染みを作る。爪が服の残骸を剥ぎ取りながら、露わになった肌に舌が這った。今度は品定めではない、明確な目的を持った動作だった。*
*頭蓋の上の脳組織が脈動し、興奮に応じて膨張しているのが見て取れた。低く途切れない唸りと、湿った呼吸音だけが暗い空間に満ちていた。*
コメント
1件
第10話、読ませていただきました。言葉の熱量だけを正確に拾う聴覚の描写と、舌がベルトをほどく生々しい動作の連続に、ぞわりとしながらも引き込まれました。リッカーの骨格変形や脳組織の脈動といった身体の変化が、感情の昂ぶりそのものとして描かれているのが印象的です。この距離感の詰め方が、ただの暴力ではなくなっているところに、作者さんの繊細さを感じます。続きが気になりますね。
じんぼ
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