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果汁ドロップ
episode1 今日家来んの?
2つ先の机を立ち俺の机に向かってくる蒼太を見て見ぬふりしながらパソコンの画面を見た。
どうせまたちょっかいでもかけてくるんだろうか。
そんな事を考えながら仕事を進める。
「お前今日暇?」
「暇だけどどうした?」
「家行っていい?お前飯作るの上手いじゃん
食いたい。」
どんな口実だよ。とも思いながら首を縦に振る。
特別料理が上手い訳では無いが社員会では料理担当を良くさせられるくらいの実力はある。
いつもコンビニ飯の蒼太だからお弁当を持ってきたり、たまに振舞ったりしてるところを見て食べたくなったのだろうか。
あと2時間で定時で帰れる。
基本的に残業は無いので、18時には会社を出ていつも通りスーパーに寄る。
「じゃ買い物から付き合え」
「ほんとに作ってくれんの笑あと2時間俺頑張るね。」
耳元で捨て台詞を吐いて自分の席に戻る足取りが地味に軽そうな姿を見て俺ばっかりなんか照れさせられていると負けた気がした。
定時になり蒼太と一緒に会社を出る。
部長からは珍しいなという視線を送られながらも一緒に帰るのだ。
episode2 見て見ぬふり
「今日も長かったな〜、お前いつも飴食ってんだな横向くたびに食べてたし笑」
「は?そんな食ってねぇよ!一個か二個だわ!」
会社から出て駅に向かうためにバスの待ち時間に
人にバレないようにキスをされる。
普通にどれくらい食べてたのかとか聞けばいいのに、本音を漏らさせようとわざとらしく甘く長く。
「…ん〜いやこれは相当食ってる口甘すぎ。」
「も、外はやめて…はずいし、立てない…」
「そんな可愛い顔されたらできないな笑
誰にも見せたくない…ずっと顔かしててバス来るまで。」
パーカーのフードを抱きつきながら被せて
ベンチに横たわらせる、ずっと耳元で喋って俺とお前しか聞こえない周波数が響いた。
あと数分でバスが来るはずなのに長くて時が止まったみたいだった。
バスを降りたら、一駅先の街まで行く。
スーパーに寄って材料買って少し歩いて帰る。
結構短いのにお前といるとなんでも1時間単位に感じてしまう。甘いから。飴が要らないくらい甘いから。
頭ではわかってるけどなんだか認めたくなくて
そろそろ自分に正直にならないといけないということを見て見ぬふりをする。
「ねぇ蒼太、もうフード取っていい?」
「ん〜まだ顔赤いからダメ。さっさと材料買ったらすぐじゃん。今日何作る?」
カレーを作ると決めて材料を揃えて
スーパーから出て、いつもは重いはずの荷物も今日は半分こ。
てかなんで俺の家知ってるんだという疑問を抱えながら家に着く。
「やっとフード取れる…視界悪かった」
「それは洸希が可愛いから洸希が悪い笑
よし作ろうぜ。」
荷物を出しながらご飯食べたあとはどうするとか言いながら二人でキッチンに立つ。
episode3 いつもより狭めのキッチン
いつもは1人で黙々と作業をしてるようだった。
生きるために、お腹がすいてしまうからそんな理由で体調を崩さなければなんだっていい味なんてこだわらない薄味でも濃くても食べれたらなんだって良かったはずなのになんだか大切しなきゃいけないと思わせられる。
「一旦休憩、煮込まなきゃだからそのあとルー入れたら完成だな。おつかれさん」
何となく何も考えていないのに、蒼太の頭をぽんぽんと撫でてしまった。
必死に一生懸命頑張ってる所が可愛かったのかもしれない。
「…ありがと笑俺も、洸希の頭撫でたげる。」
「俺はいいって笑はい水飲みな、全然水分とってないでしょ。」
「飲ませてくんないの…?飴は食べさせてくれんのに…」
俺の手を掴んでコップの縁を口に当ててくる。
いかにも、お前が飲ませろと言わんばかりの行動と熱い視線が俺の目に送られてくる。狭いキッチンのせいだろうか、熱が籠ってとても暑い。
きっとこいつのせいじゃない。
「そんなに、疲れちゃったの笑?」
「違う、甘えてるだけ。お前甘いの好きじゃん」
「たまには可愛げのある行動するんだな笑
俺好きだよ甘いの…ほら、飲めよ。」
まるで熱したフライパンに高いところから水をかけたみたいな気持ちだ。
ギリギリまで焦らされて、やってやるから文句を言うなと清流を流し、熱したフライパンというなの蒼太に口移しをする。
本当はこんなことするより、されてたい。
けどそんな顔で見つめてくるから狭いせいで暑くなったキッチンにいたから赤い顔で言うから俺はいつも流されるがまま。
「なんでそんな急にスイッチ入れてくんの笑
したくなった…?笑」
「は、は、?!お前が飲ませろって…」
別にこっちの返事はどうでもいいと投げ捨てるように俺の事ばっかり構うお前が嬉しくてしかたなかった。
いっつも都合が悪くなったら口塞いで、さっきの出来事なんて忘れてしまいそうでそれくらい海に浮かんでいるようで涼しくてどっか熱くて。
「ん…ぁやめ…んゃ…//そ~たッ、」
「なんでやめなきゃいけないの?
俺より派手なキスしてきたよね。いやいやばっか言って…本当は死ぬほど欲しいんじゃないの?」
さっきより熱い手が俺の体に手形を残すようになぞっていく。
くすぐったい気持ちと、もっとちゃんと残して欲しい気持ちと狭いキッチンが嫌だから移動したい気持ちだけ頭が理解している。
「はぁっ…はぁ…も、だめ…これ以上するの
キャパオーバー…ルー入れといてもう入れて大丈夫だから」
「また立てなくなっちゃいそうなの?
可愛い、ベッドで待ってて。作って火止めて来るから。」
episode4 待つ時間が一番の欲しがり
カレーってこんなに作る時間長かったっけ
そう思わせるくらい、ずっと体感が長い。
さっきまで触れててくれたのに今となっては
さっき触った手形も後となって冷めていく。
「微妙なの嫌すぎ…」
いつからこんなに欲しがりになったんだろう。
この前までは別にって強がれてたのに
思い返す度ふわふわして、まだなのと自分で急かす。
「あたま…きもちっ…ん〜やばぃ…なんかくる…泣」
ダメなことしてるってわかってる。
それでもやめられないのが嫌で同時に来る欲求を処理しきれなくて勝手に体が動いてしまう。
お腹も空いたし、気持ちもよくわかんないし
色んなイライラが混ざっちゃって涙が止まらない。
こんなに子供ぽく無かったのに、全然大人だったのに。
一人暮らしで泣くなんて始めてた。ドアを開ければ人がいるのに。
「お待たせ…って泣きすぎ…寂しかった?
焦らされて辛かったの、?笑」
「それ以外があるかよ…ね、キスしてくんないの…?」
ドアを開けられて急いで涙を隠して
何も無かったようにしたかったのに服も濡れて、
汗も隠れないで言い訳なんてできなかった。
「そんなに欲しがりだったんだ笑」
「あ”ッ…んっ、やばぃ…そこばっか…ん~ッ、、」
頷きたくなかった気持ちがだんだん満たされていくのを感じて怖くなって行った。
欲しがりだって言われて図星ですなんて言えないまま、体は正直で。
まるでどっかの漫画か小説の中にいるみたいだ。
「満たされてくるのいやだね笑
俺がいない20分間辛いの頑張ったのにね、一瞬だったね笑」
「ほしいのッ、ぜんぶきたッ…ん”いゃっ…だめ泣」
「そーだねきたね、嬉しいね笑。
俺も嬉しいよ?洸希のこんな顔見れて」
着てたTシャツもいつの間にかはだけてて
なんでもはだけてほんとにみだらでふしだら。
けどそれが心地よくて全部認めるしかなくて
頷く以外許されないようなのが心地よくて。
堪んない。
episode5 お腹すいたから
世間には伝わらないくらい愛し合って
むしろ伝えれないくらいがちょうどいいほど。
そんな事実をマンションの一室に隠して
カレーを食べる。
「カレーうま…笑やばい超うまい」
「洸希がっつき過ぎ笑」
「あてか、蒼太なんで俺ん家知ってんの!?」
「歓迎会で洸希が潰れて、2次会行きたくなかったから俺が送ったから、もしかして記憶ないの?」
「全く知らなかった…ごめんな迷惑かけて。
その代わりデザートのプリン俺の分もやるよ…」
知らないとこでお互い助け合ってて、知ろうと思って手探って、今日も好きな味が出るまで缶から出し入れするみたいにお互いの思い出を出し合う。
「ご馳走様でした。おいしかったね
お腹すいてたから余計おいしかった。」
「ふっ…笑お前ずっとそればっか笑
美味しかったな笑」
「笑うなよ、食いしん坊みたいで恥ずいだろ…」
「食いしん坊だろ笑」
こいつはいつも口を塞ぐようにキスをする。
果汁の味がするドロップだから、カレーが美味かったから、喉が乾いたから、同じ味が食べたいから、こんな些細なことで恋人にキスできる
人はいるのだろうか。
愛されてるってこんなにウィスキーボンボンみたいな幸福度なのだろうか。