橙桃です。本人様とは関係ありません。
地雷だよって方、通報される方は見ないようにしてください。
リクエストのアイドルパロです!!!
桃side
桃「みんな〜!!今日は来てくれてありがと〜♡」
広いドームに散りばめられたペンライトたちが激しく横に揺れる。中にはこちらこそありがとうと叫んでいる子も居た。
「よっお疲れ!!」
同じアイドルグループに所属する3人が話しかけてくる。以下からは1、2、3と呼ぶとしよう。
桃「ん〜お疲れ〜」
スタッフさんたちに挨拶しながら楽屋へと足を進める。
俺は現在人気急上昇中のアイドルグループに所属している。
俺はグループのかわいい担当。勿論言動だって超絶可愛くしている。
『今日も桃くん可愛かった…!!』
『本当に桃くん天使……』
エゴサをして早速感想を上げてくれるファンたちに感心しているとガチャリと楽屋のドアが開いた。
1「お、橙お疲れ〜」
橙「ん、」
入ってきたのは5人目のメンバーの橙。
クールで無口な彼も相当ファンが多いようで、感想の中でも殆どが彼についてのことだった。
しかし、俺の可愛さも橙のクールなところも偽りの姿。
そう、全てが計算されて出来たキャラなのだ。
実際は……
橙「……桃ちゃ〜ん!!!今日もほんっっまに可愛かったでぇぇ♡」
桃「どわぁぁぁ!!抱きつくなぁぁ!!」
そう、真逆の性格。
2「今日もラブラブですなぁw」
桃「いや止めろし」
橙「もう、疲れたぁ……桃ちゃん癒やしてぇ…」
桃「いいから離れろ」
何故か俺は橙に溺愛されている。
彼とはもうかれこれ5年程の付き合いだが…最初のうちは軽く話す程度だったのに日が立つに連れてこの有様だ。
橙は俺のことを恋愛の意味としての好きらしい。別に同性愛に偏見はないが…自分が対象となると話は変わってくる。
因みに橙が俺を溺愛していることはメンバーしか知らない。
3「そういえばだけど…なんで2人はキャラ作りしてるの?」
桃「え?だってその方がウケいいでしょ」
1「橙は?」
橙「俺も同じ」
2「割と軽い理由だったな」
スタッフ「失礼しまーす」
3「はーい」
さっきまで思いっきりバックハグしてきたくせにスッと何事も無かったように離れる橙。
マジでこういうとこイラつく。好きなら堂々としてろっつーの。
スタッフ「ファンレターお持ちしました〜」
1「わぁ!今回も沢山ですね」
2「相変わらず桃と橙の量だけエグいけどなw」
桃「まぁこれも努力の賜物だから」
3「うわ〜悔しーw」
スタッフ「失礼しましたー」
橙「桃ちゃんのファンレター見せて〜」
桃「ん?いいけど」
俺宛のボックスの中から取り出したファンレターはキラキラのスパンコールが付いた明らかにギャル系の女の子からの手紙。
橙はそれを開くとピシリと動かなくなった。
桃「え?どうしたの?」
橙「…………………グシャ」
桃「は?!?!何やってんだよ!!」
橙「だーめ。桃ちゃんは俺が読んで決めたやつしか見ちゃだめって決まりやろ?」
桃「そんなのお前が勝手に作っただけだろ。返せよ人のファンレター」
橙「だって変なおっさんからのキモい手紙なんて読みたくないやろ?」
橙が言ったことは事実だ。女性向けのアイドルグループだとしても多少は男性ファンも居る。そしてその9割が俺のファンだ。
前にセクハラとも言えるような内容の手紙を読んで気持ち悪くて体調を崩したことがあった。橙は気遣ってくれているのだろう。
だけど、たとえキモいおっさんでも俺のファンなのは変わりないから。俺は少しずつ手紙に慣れようと思い、全部のファンレターに目を通すようにしたかったのだ。
1「まぁまぁ、落ち着けって」
2「今日はもう帰ろうぜ」
橙「送っていくで桃ちゃん」
桃「うるせえ俺は1人で帰る」
桃「ただいまぁ…」
軽く風呂に入り、疲れたので早めにベッドに潜る。
今日あった事を色々思い出す。今日1番の思い出はやはりライブだ。俺のメンバーカラーであるピンクのペンライトが会場中で光り輝くあの瞬間が1番楽しくて。でも限られた時間の中でしか見られないと思うと悲しくて。自分でもびっくりするぐらい感情がごちゃごちゃになってしまう。でも、それでも大好きな時間なのは変わらない。
そういえばあまりエゴサしていなかったなと再び開いたTwitter。自分の名前で検索すると、今日の感想が次々と出てくる。いつ見てもやっぱり嬉しいなと幸せな気持ちに浸っていると、突然出てきたアンチコメに現実を突き付けられる。
桃「ッ……」
人気者になるならその反面俺をよく思わないやつだっている。こんなの気にすんな、そう言い聞かせても不安な気持ちが芽生えると人間は簡単に支配されてしまうらしい。
今日は寝不足だな………。
1「きっつ…」
2「汗だくだぁ」
3「休憩休憩〜!!」
今日は新しいライブに向けてのダンスレッスンの日。
数日前のアンチコメに囚われたままの俺はなかなか思うように出来なかった。
スランプというものだろう。
橙「桃ちゃん大丈夫?具合悪い?」
桃「ッ!……大丈夫…」
橙「無理しちゃあかんで」
桃「…うん」
吃驚した。顔に出していないつもりだったのに。
橙「さっきワンテンポ遅れてた」
桃「ッうん……」
橙「ターンが引き締まってない」
桃「うん…、分かってる。……分かってるんだけどッ…」
あれ、何泣こうとしてんの俺。
あぁ……バカらしい。
橙「………、俺と桃ちゃん自販機行ってくるな〜」
1「お〜いってら〜」
橙「行こ」
桃「……」
橙「何かあったん?」
桃「………ポロポロッ」
橙「ゆっくりでええよ」
桃「……アンチが…嫌で。俺、弱いッ……気にしなければいいのに、考えちゃって…だからスランプになっちゃったッ……。ごめんっごめん…迷惑かけちゃってる…俺…なんの為にアイドルやってるんだろう……」
橙は背中を擦りながら静かに聞いてくれた。
橙「…、桃はさ、俺が何で桃ちゃんの事を好きなのか知ってる?」
桃「、?知らない…」
橙「俺は桃の頑張っている姿が大好きなんよ」
桃「え…」
橙「毎日遅くまで一生懸命ダンスの練習したり、録音でも納得がいくまで取り直したり。そうやって頑張って努力してる姿に惚れたんよ。俺はそんな桃に一歩でも近づきたくて沢山練習した。なぁ桃、桃は偉いよ。本当に尊敬してる。そして好きだし、愛してる。桃の事を知る度に好きが溢れるし、止まらなくなる。だから前に桃宛に来た変な手紙とかも腹が立ってもうて…桃を危険な目に合わせたくなかった。でもやりすぎは良くないよな。ごめん」
桃「……」
橙「でも桃も言ってたけど、こうやって今みんなから愛されているのは桃の努力の賜物やから。何も怖がらなくてええんよ。桃のことを悪く言う奴らは何も努力してない奴らなんだから、勝手に言わせておけばええ」
桃「グスッ……うん…でも、俺……次のライブ上手く歌えるかな…ファンが怖くなってきた。どうしよう橙……」
橙「……じゃあ、今回は俺に向けて歌ってくれへん?」
桃「えっ……?」
橙「勿論ファンに向けて歌ってええよ。だけどもし怖くなったら俺に向けて歌って。俺はいっつも桃ちゃんに向けて歌ってるんやけど」
気づいてた?とはにかむ橙。
橙はよく恋愛系の歌をソロパートで歌う。
それは…俺に向けて歌っていたんだ。
桃「……ありがとう橙。俺、頑張る」
橙「おう!それでこそ桃ちゃんや!!!」
優しく頭を撫でられる。子供扱いされているのは気に食わないけど、今は少しだけ嬉しかった。
1「ソロパート入るぞー」
2「俺行ってくる」
ライブ当日、最初は緊張したが段々といつものペースを取り戻せてきた。
橙「次俺行ってくるな」
スタッフに聞こえないよう小声で話しかけられる。
いつもはこんなこと言わないけど _______
桃「がっ頑張って…!!」
橙「!!!」
橙は少し驚いた様子だったがすぐにクールなキャラに戻り、フッと微笑んだ。
少しだけドキッとしたのは気の所為なのだろうか。
橙のパートが始まる。今までも聞いてきたけど今回はいつもよりも歌詞が頭によく響く。
間奏に入るとファンサをして周る橙。会場は綺麗なオレンジに染まっていた。
そして舞台袖の方に居た俺のことをチラリと見ると
『すき』
桃「!!!////」
口パクで、でもはっきりと。
橙は本当に俺のことを想って歌ってくれていたんだ。
桃「あの……」
スタッフ「何でしょう?」
桃「ちょっと…協力してほしくて」
歓声が上がり、遂に俺のソロパート。
橙が前方からやって来ると耳元でそっと囁かれた。
橙「返事…待ってるで」
俺はその言葉に頷いて大きなステージに向かった。
ザワザワと会場が騒がしい。
『なんか…今日のさとみくんいつもと雰囲気違う?』
『なんだろう、…』
もう、怖くない。
なぁ橙。よく聴けよな。今日はお前の為の特別なステージなんだから。
俺の代表曲の恋をはじめようが流れ出す。
でもいつもとは違う、バラード編。
窓の外見る振りをして
キミの横顔を眺めては
想い確かめてた
昨日まではただの
友達のはずなのに
何故か急に目が合うたび
胸締め付けられるよ
ねぇ橙。あの日からお前を見る目が変わった気がする。お前と居るとちょっとドキドキしちゃうんだ。
冷たい態度と
口から出る言葉とは
裏腹なこの感情はもしかして…
いつも冷たくしてごめん。でも本当は話しかけてくれるのも好きって言ってくれるのも嬉しいよ。この感情ってもしかして…
これが恋っていうやつなのか?
それなら最高の魔法じゃんか
ほら泣いてる空もキミといれば
虹色になるから
照れくさい「好き」って台詞も
思い切ってちゃんと伝えるよ
アダムとイブよりも
LOVEな恋をはじめよう
歌詞1つ1つに想いを込めて。
そろそろ分かったんじゃないかな?とかちょっと恥ずかしいことを考えちゃったり。
間奏に入ってファンのみんなにファンサをする。そして…
舞台袖の橙に向けて口パクをする。
なぁ橙、俺もお前のこと______
1「お疲れ〜!!」
2「なんだよ桃のあれw急にバラードにしたいとか言いやがってwww」
3「練習のときにノリで軽くアレンジしたやつだったのにねw」
1「んで、当の本人は?」
2「橙と話してくるってさ」
桃「………あのぉ…橙さん?」
橙「無理。泣くって、辛い。桃ちゃんが俺を選んでくれるなんて、これもしや…夢??」
桃「現実だと思うけどなぁ…」
橙「好き。めっちゃ好き。大好き。愛してる〜!!」
桃「分かったわw……、俺も好きだよ……」
橙「襲っていい?」
桃「おいバカ。まだ終わってねぇぞ」
会場中にアンコールを待っているファンが居るから。舞台袖から見える色とりどりのペンライト。感動がこみ上げてきて今にも泣きそうだ。
桃「俺、アイドルやってて良かったなぁ」
橙「うん、俺も」
1「おーい!アンコール行くぞ〜!」
橙と目を合わせて笑い合う。
そして強く、でも優しく手を繋いでアンコールの光り輝くステージへ足を踏み入れた。
イアさんリクエストありがとうございました!!
こんな感じでよろしかったでしょうか…?
感想お待ちしております!!!
コメント
15件
え、通知が機能しなかったんですが まって、ほんっっっとうに待ってください…!最高すぎます、ガチで涙出ました…恋をはじめようの曲を選んだのもセンスがありすぎて本当に怖いです…ニヤケも止まらなかったし、涙出るし、もう感情が訳分からなかったです…神すぎるお話ありがとうございました(இдஇ`。)✨
神作やん てんのやつなら全部神だけどさ? てか神作書いてる人と神作書いてる人のコラボはまじ神
神様…(´;ω;`)