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第102話、読み終えました! フローラちゃん、元気になって飛び込んできたシーン、めっちゃ可愛かったです💕 アレクとレオンが火花バチバチさせてる中に「お姉さま〜♡」って突入してくる感じ、完全に空気読まずに愛で突き進むタイプで好きです。そしてアレクに「しっ、しっ」って野良猫扱いするところ、思わず笑っちゃいました😂 次のお茶会、どうなるんだろう…楽しみにしてます!
振り返るまでもなく分かる。 空気を丸ごと凍りつかせるような凄まじい威圧感――アレクだ。
「バイオレッタは、俺の婚約者だ」
レオンは、涼しい顔で軽く肩をすくめてみせた。
「それは親が決めた形式上の婚約ってだけでしょ? 今は恋愛結婚する貴族だって増えてるし。僕はただ、バイオレッタ本人の気持ちを聞いただけだよ」
「…………」
アレクの周囲に漂う黒い魔力が、渦を巻く。
「……いつでも、お前と剣を交える覚悟はできている」
「ははっ!」
レオンは楽しそうに目を細めた。
「決闘ってこと? 面白そうだね。僕も一度くらい、本気で戦ってみたかったんだよね〜」
「ちょっと!?」
バチバチバチッ! 二人の手元から、洒落にならない魔力の火花が弾け飛ぶ。
(なんで二人ともノリノリで決闘始めようとしてんのよ!?)
「ちょ、ちょっと二人とも、やめ――」
慌てて仲裁に入ろうとして、ふと自分の手元へ視線を落とした。 …………あ。
(ま、まだがっつり恋人繋ぎしたままだった……っ!!)
私とレオンの指は、繋がったまま。 そして当然、アレクの鋭い視線がそこへ凶器のように突き刺さる。
「…………」
「……離せ」
「嫌だけど?」
レオンは涼しい顔のまま、むしろ絡めた指にきゅっと力を込めた。
「僕はいま、バイオレッタから大事な返事を待ってる最中なんだ。邪魔しないでくれる?」
「…………」
アレクのこめかみに、青筋が浮かんだ。
「三秒やる」
「随分短いなあ〜」
「三」
「ちょ、ちょっと待ちなさいって!」
「二」
「やめなさいって言ってるでしょっ!!」
一触即発のカウントダウンが「一」を刻もうとした――その瞬間。
ダダダダダダダダダダッ!!
「……なに!?」
足音が、バルコニーの向こうから一直線に突進してくる。 そして――。
「お姉さまあああああぁぁぁぁぁっ!!♡」
「えっ!?」
聞き覚えがありすぎるハイトーンボイス。
「フ、フローラ!?」
柔らかな重みが飛び込んできた。
「お姉さまーーーーっ♡」
「ちょ、フローラ、待っ――」
どーーーんっ!!
「きゃあっ!?」
私はそのまま豪快に床へ尻餅をついた。
「いたたた……」
「あっ! お姉さま、ごめんなさい! 大丈夫ですか!?」
フローラが慌てて私を抱き起こす。
「でも私……一秒でも早く、お姉さまにお会いしたくて♡」
「き、気持ちは嬉しいけど……!」
私は彼女の両肩をつかみ、まじまじと顔を覗き込んだ。
「あなた、もう動いて大丈夫なの!? ちゃんと寝てなきゃダメでしょう!?」
「えへへ……。しばらく強い治癒魔法は禁止ですけど、日常生活ならもう全然問題ないって神官様もおっしゃってました!」
「本当に?」
「はい!」
ひまわりのような満面の笑み。 そして――彼女はぺろっと舌を出した。
「なので、神殿を抜け出してきちゃいましたっ」
「ええええーーーっ!? 抜け出してきちゃダメでしょ!?」
「えへへ」
「『えへへ』じゃないわよ!」
まったく悪びれる様子がない。
けれど、こうして元気いっぱいに笑うフローラを見ていると、胸の奥がじんわりと温かくなってしまう。
「……もう」
私はため息をつきながら、彼女の柔らかな髪をわしゃわしゃと撫でた。
「……心配してたんだからね」
「お姉さま……♡」
フローラの瞳がきらきらと潤んだ。
「大好きです~~~♡」
「わっ、ちょっと!」
ぎゅううううっ!
「もう二度と離しませんっ♡」
「うぐっ……く、苦しい! 肺が潰れる!」
「愛の重さです♡」
「物理的に重いから!!」
息絶え絶えになっていると――。
「……おい」
「特待生ちゃん?」
背後から、二人の声が重なった。
ぴたり。 フローラの動きが止まる。 さっきまでの天使スマイルが、消え去った。
ゆっくりと振り返り――アレクとレオンを交互に見つめる。
「…………」
(……完全に『道端に落ちてる生ゴミ』を見る目になってるじゃないの……!!)
ところが次の瞬間。
「お姉さま♡」
私へ顔を向けたフローラは、再び100点満点の天使スマイルだった。
「早く行きましょう♡」
「え? どこへ?」
「私のお部屋です! 今日はお姉さまと二人っきりで、誰にも邪魔されずにお茶会をするんです!」
私の腕へ、ぎゅっと抱きつく。
「カモミールティーもローズヒップティーも用意しましたし、厨房にはお姉さまがお好きなイチゴのタルトも特注してあります♡」
「いつの間にそんな手配を……神殿から抜け出してきた直後よね!?」
「細かいことは気にしないでください♡ さあ、参りましょう!」
フローラが私をぐいぐい引っ張ろうとする。 そこへ――。
「ちょっと待って」
レオンがすっと手を挙げた。
「僕も行くよ」
フローラの笑顔が、ピキリと凍りつく。
「…………はい?」
「ちょうど喉も渇いていたしね」
「次期国王陛下は、お忙しいのでは?」
「今は大事な休憩中だからね〜」
「…………チッ」
(今、天使の顔で舌打ちしなかった!?)
「俺も行く」
すかさずアレクが一歩踏み出した。
「…………」
フローラは無言でアレクを見上げる。 そして――。
「しっ、しっ」
野良猫でも追い払うような仕草をした
。
「……」
「公爵様はお帰りください」
「断る」
「しっ、しっ、しーーーっ!!」
「……俺も行く」
「はあ。なんで全然効かないんですか!?」
「バイオレッタが行くからだ」
「理由になってません!」
「俺にはなる」
「お姉さま! この人、全然追い払えません! しつこすぎます!」
(そもそもアレクを野良猫みたいにシッシッと追い払おうとしないで!?)