降谷side
警察学校への入校試験、僕はセリに負けた。どれくらいの差かは分からないが、セリのことだ。セリは満点だったんだろう。悔しい。ここからの半年で絶対にセリを抜かしてみせる。
「いってえ…」
松田とか言う奴に喧嘩を売られ、殴り合いをしていた。あんな真正面に喧嘩を売られたのは久々で少し楽しかった。
「って、ゼロじゃん」
「セリ?!何してるんだ?」
何故かセリに会った。何してるのか聞いたがはぐらかされてしまった。セリは外から帰ってきたようだった。服装も制服ではなく、全身黒で夜に溶け込んでしまいそうだ。外出許可おりたのか?こんな夜中に?だが、答え合わせの前にセリは帰ってしまった。
松田の警察嫌いの手がかりを探しにpcルームに来た時、セリは何か調べていた。
「教祖様…?」
セリの瞳は悲しそうに苦しそうに揺らいでいた。何を調べているのだろう。近づいて見えたのはなにかの宗教のページ。そして教祖らしき男の名。“夏油傑”。セリとこの男に一体何があるのだろうか。
「セリ!!どういうことだ!!」
壁に張り出された最終テストの順位表。
「どうもこうも、ゼロが私に勝っただけじゃん」
そこには1位が僕で、2位がセリと言うことが書いてある。
「ちょいちょい降谷ちゃん、どうしたの」
「良かったじゃねえかよ」
「違う!!僕は本気のセリに勝ちたかったんだ!!」
「どういうことだ?」
「セリもしかして、最後のテスト、手、抜いたの?」
「「「!!!」」」
「…そーだよ」
セリは諦めたような顔をした。
「なんでこんなことしたんだ!!」
「だあって、卒業式挨拶したくないんだもん」
「そんなことかよー」
松田が呆れたように言う。
「入校試験だって、総代が挨拶するんなら手抜いたのにさー」
「ははは…セリちゃんはそういう人間だよね…」
「僕は納得してない…!!」
「そんなこと言われても…」
「こんな1位、屈辱だっ!!」
「「「「…」」」」
「…ごめん。そんなにゼロが怒るとは思ってなかった。私はまだまだ人として出来てないんだな……以後気をつける。だから今回は許して欲しい」
「…僕もこんなに怒ってすまなかった。ただ、セリにナメられたようで嫌だったんだ」
「なめてない。それだけは断言する」
「ああ、分かってる」
こうして卒業式の総代挨拶は僕になった。
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