【表紙】https://kakuyomu.jp/users/akatsukimeu/news/16817330668804704296
ずっとこんな関係が続くことを、カンナはきっと望んでいたに違いなかった。
学校の友達と遊んで、たまに二人きりでデートして、そして親がいない日は私のお家にお泊りしたりして。
私が撮った思い出の写真もどんどん増えていった。カンナもたくさん絵を描いていた。
二人だけの思い出がどんどん増えていって、カンナはそれ以上の何かを求めたりはしなかったのだろう。
でも、私のカンナへの気持ち――、いや、欲望はしだいに我慢できなくなっていった。
自分で言うのもなんだけど、たぶん私は、他の女の子よりも性的に早熟だったのだろう。
おっぱいが大きくなるのも他の子たちより早かったし、性への興味は次第に強くなっていった。
最初はカンナの裸を見ても、別に何も感じなかった。
綺麗な身体だと思う事はあっても、決して彼女の身体をいやらしい目で見たりなんかしなかった。
でもカンナが私の家にお泊りして、一緒にベットで寝たあの日から、私の欲求は急速に強まっていった気がする。
そして夏休みが終わって、また学校で過ごす日常が戻ってきた。
「おはよう、美雪ちゃん」
「あ、う、うん。おはよう」
私はそっけなくカンナに挨拶を返した。彼女の顔を見ていられなかった。
いつもよくしゃべる私がそんな感じだったので、カンナは首をかしげていた。
私は自分の気持ちとどう向き合っていいか分からなくなっていた。
相変わらず一緒に過ごすことは多かったけど、私は無意識のうちにカンナの顔をなるべく見ないようにしていたと思う。
カンナを見てしまうと、どんどん自分の気持ちが膨らんでいくのが分かって、いつ爆発するかもわからなかったから。
ある日の放課後、カンナが不安そうな声で私に尋ねてきた。
「ねぇ、美雪ちゃん、私、何か美雪ちゃんのこと怒らせちゃった?」
どうやら私の葛藤する姿が、恐らくカンナには別の意味合いに見えたようだった。
「ううん、別に」
「だって、違う。最近なんかちょっと違うよ?」
「……ちょっと体調よくないだけだから」
「嘘だよ。ねえ美雪ちゃん、お願いだから本当のこと言って? 私、なにか悪いことしちゃったのかな? だったら謝るから……」
彼女の甘い声が私の脳に染み込んでくる。
「ズルい」
「え?」
「……ごめんなさい、少しの間でいいから一人にして」
「美雪ちゃん」
久しぶりに私は一人で家に帰った。
私はしんと静まり返った家で一人きり。
布団に入り、自分で自分の身体を慰めていた。
「ズルいよ、カンナ。あんな甘い声で私の事をいつも誘惑してるくせに、私の気持ち分かってくれないなんて」
指を噛む。
「私、どうすればいいのよ」
ふと窓越しに外を見る。外はもう真っ暗。
ふと、窓の外から覗く樹の上になにかがいるような気がした。
(あれ? メイ?)
カンナが飼っているという黒いウサギ。それが一瞬見えたような気がした。
(気のせいかな……)
暗闇に目を凝らすが、何もいなかった。
ふと、メイが私の頬を何度もその小さな舌で舐めてたあの夜の事を思い出す。
(なんかちょっと気持ちよかったな)
頭の中にじんわりとしたものが溢れてくる。
「そうだ。初めからこうすればよかったんだ」
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