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未来の花園を
プロローグ
俺は人間が苦手だった。
何を考えているか、思考がさっぱり読めないからだ。
だから、あいさつはしない。
それに、関わらない。
1人という空間を好んでいた。
ある日の事。
かかりぎめをしていて、俺の係は勝手に決まっていた。
生き物係。
先生からは、さぼらないでちゃんとやれと言われた。
そして、花を育てる事になった。
毎日水やりは欠かせなかった。
雑草を抜いたりして、手入れを定期的にこなった。
1週間がたつ頃には、素晴らしく綺麗な花が咲き誇っていた。
俺が熱心に育てた花。
そう思うと嬉しかった。
次の日。
学校にくると、花壇が割れていた。
花も萎れてダメになっている。
せっかく育てたのに。
絶望感にひたり、嘆いた。
心の空間はずっと埋まらなかった。
授業が全て終わり、下校の時刻となった。
1人で家路までの道のりを歩く。
すると突然目の前の視界が遮られた。
車が突っ込んできていた。
そのまま意識は飛んでいった。
目を覚ました。
体をおこすと、辺りには花畑が広がっていた。
春のように心地よい風が吹く。
花畑の中心に1人の少女がたたずんでいた。
[花園へようこそ]
優しい微笑みを浮かべて俺をみていた。