元貴の家までの道を、2人は言葉もなく走った。濡れた服が肌に貼りつき、足元から冷えがせり上がる。
けれどそれ以上に、滾った身体の熱が心を急かしていた。
「……鍵、開けるから……」
玄関にたどり着き、手早く鍵を回す。
扉が開いた瞬間、滉斗が後ろから元貴を抱きしめた。
「……もう無理。抑えられない」
低くかすれたその声に、元貴の背筋が震える。
扉を閉める前に、滉斗の唇が首筋に落ちて、濡れた髪の間から舌が這った。
「っ……待って、玄関……っ」
「ダメ。今すぐ、欲しい」
濡れた服のまま、壁に押しつけられた。
冷たい布地が擦れて、逆に火照った肌が敏感に反応する。
滉斗の手は、もどかしいほどの速さで元貴の服を引き上げ、腰のあたりを強引に撫でた。
「……滉斗、やばいって……っ」
「ずっと我慢してた。もっと感じてる元貴が見たい」
びしょ濡れのシャツの隙間から、滉斗の指が滑り込んでくる。
玄関という非日常な場所、濡れた身体、肌と肌の温度差――全部が感覚を過敏にしていた。
「……滉斗、早く……もっと……っ」
元貴の声がかすれて震える。
滉斗の指が熱を帯びた奥へ届くたび、腰が跳ねた。
「可愛い……もう限界なんでしょ?」
「……イかせて、滉斗……お願い……っ」
その瞬間、滉斗は強く元貴の腰を引き寄せ、激しく動き出す。
狭い玄関に響く、濡れた肌の音と甘い声。
もはや玄関であることも、濡れていることも、何も関係なくなる。
「……あっ、やば……っ、滉斗……イく……っ!!」
激しい波に飲み込まれるように、元貴の身体が震えた。
果てる瞬間、名前を呼びながら、すべてが滉斗に委ねられていた。
「……まだ、終わらせたくない」
囁いた滉斗は、抱きしめたまま玄関からリビングへ――
濡れた夜は、まだまだ続いていく。
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