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黒い希望
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鬱視点。
「死にたいなぁ……」
ショッピくんが呟いた言葉を飲み込むのに、随分と時間がかかった。
「……は…………?」
やっと飲み込んで、顔をショッピくんの方に向けると、自分で言った言葉に驚いていた。言ったつもりはなかったのだろうか。
「あ…いや…違っ…」
「や……冗談やんな……?」
「ぁ……えっと…」
俺は気づけば彼を抱きしめていた。強く。強く。
頭の中がぐるぐるして、自分は何か言ってるはずなんだけれども、よく分からなかった。
俺は、掠れた声が口から出ていた。
「ショッピくん……頼む…頼むからさ…」
君には死なないで欲しい。
俺の母親は4年前に病気で死んだ。
父は幼少期の頃に離婚している。両親がいなくなってから、妹は俺が育ててきた。だが最近は、妹がほぼ家にいなくなっていた。噂話で、同級生が俺の妹と夜遊んでいるような話をよく聞く。昔は妹に勉強を教えていたりしてたんやけどな。熱を出した時は付き添ってあげたんやけどな。もう俺のことを頼らなくなってしまった。
つまり俺には存在意義がないのだ。そもそも習い事とかやってこなかったし、趣味も特にはなかったから熱中できる生きる意味を感じれることがなかった。少しでも意味を見出そうと思って生徒会に入ったが、あまり感じられるものはなかった。我ながらつまらん人生だなと思う。
俺が死んで泣いてくれる人はいない。友達は結局友達でしかないわけで、別に俺が死んだとしても、1週間経てばなかったことになる。
だからそろそろ死んでもいいんじゃないだろうか、そう考えていた。人間じゃなくてもいいから生まれ変わりたかった。
「そんなことを言っても自殺する勇気がない。死ぬのが怖い。
だったらせめて、俺を独りにしないでくれ。
「大先生…?」
変なことを考えたな…。
「あぁ…ごめんな」
はは、と笑って誤魔化し離れる、
ふとスマホを手に取り、電源をつける。あまり時間が経っていないことに驚いた。ショッピくんの方を見ると、不思議そうな顔をしていた。目が合うと、彼はぱっと顔を弁当の方に向け、箸をつける。何もなかったかのように。
さっき確かに「死にたい」と言ったはずだ。俺じゃダメなんかな?まだ生きる理由になってくれへんかな…?ショッピくんが幸せで生きるためには
「…今度勉強教えてもらってもいいっすか」
「うぇっ…」
なんだか胸が高まった気がした。
勉強。そういえば妹以外に教えたことはなかった。彼は今俺を頼っている。嬉しい。
というかそもそも、死にたいなんてなんでもない人には言わんよな。俺が特別だと思ってくれてるんかな。
「ええよ。あとで予定教えるわ」
俺が微笑むと、彼は嬉しそうに目をキラキラさせていた。
「…あざす」
コメント
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あめ。さん、5話読みました…「死にたい」の一言から始まる重さと、それを聞いた大先生の必死な「頼む」が胸に刺さりました。自分の存在意義を見失いかけている大先生が、ショッピくんに「頼られる」ことでほんの少しだけ息ができた瞬間、すごく丁寧に描かれていて泣きそうになりました。勉強教えるシーンの「胸が高まった」、あの一文に全部詰まってますね。素敵な回でした🌷