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すっかり忘れてた。
テーブルには東英大の仲間が8人揃っていた。
いつものメンバー。
男子4、女子4。
亜美も……いる。
「東堂さん。こいつらみんな大学の友達です」
「はじめまして。東英大の学生さんだなんて、みんな頭がいいんだね」
東堂さんの優しく微笑んだ顔に、4人の女子も「キュン」としてる感じだ。
「嘘~! 希良君のお友達ですか? めちゃくちゃイケメンなんですけど~」
「お前、もう酔ってるのか?」
光平が亜美に言った。
「酔ってなんかないよ~だって希良君、亜美のこと全然相手にしてくれないんだもん。私、寂しい~」
「はいはい。もう、飲み過ぎなんだよ」
光平は、僕に早く向こうに行けって目で合図してくれた。
この場は光平に任せて、僕はみんなのいるテーブルから1番離れた場所に座った。
「すみません。酔っ払いばっかで……」
「全然構わない、楽しそうでいいよ。さっきの彼女は、渡辺君のことが好きなのに相手にされなくて……ヤケ酒かな。すごくモテるんだね、君は」
東堂さんがまた微笑んだ。
「い、いえ、別に……僕は全然モテません」
何て答えればいいのか迷った。
東堂さんの方が、僕なんかよりずっとモテるのに。
とりあえず、僕らはお酒やおつまみを頼み、乾杯した。
「大学生活はどう? 勉強は大変? 仲間がたくさんいるから楽しいだろうね」
「どうなんでしょう……確かに前までは楽しく通ってました。理科の教師にどうしてもなりたくて、それだけが前に進むモチベーションだったんです」
本当に……そうだった。
勉強も苦にならなくて、どんなことにでも前向きだったと思う。
息抜きで仲間とワイワイやりながら、バイトも頑張ってた。
なのに……
「今は違うの?」
その質問に、僕が首をひねって考えていたら、
「さっきの続き……聞いていいかな?」
って、東堂さんに尋ねられた。
続き、雫さんのこと……だな。
この人には隠しても仕方ないと思った。
「東堂さんの言う通りです。僕は、雫さんのことが好きです……すごく」
そうハッキリと言ったら、東堂さんは少しだけ驚いたようだった。
「そっか……」
僕はうなづき、そして、聞き返した。
「あなたも――ですよね?」
しばらく考えてたみたいだったけど、東堂さんもゆっくりとうなづいた。
「俺達は、2人とも雫ちゃんが好きで、そして……きっと、あの人も……」
あの人とは、間違いなく榊社長のことだろう。
でも、僕も東堂さんも、敢えてその名前は出さなかった。
あの人には敵わないと、東堂さんもどこかで感じてるのかも知れない。
「いつから雫さんのことを?」
「……雫ちゃんがあの店に来た時、もう、4、5年前かな? 最初はすごく素敵な人だなと思ってた。それからだんだん……っていう感じかな」