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夜、窓を開けると、風が吹き込んだ。
どこかで桜の花びらが散っていた。
その風の中で、
若井は確かに聴いた。
「……若井、弾いてて。」
元貴の声。
懐かしいのに、今もすぐ隣にいるようだった。
若井は目を閉じて、ギターを弾いた。
涼ちゃんのピアノが重なって、
音がひとつになっていく。
誰も歌わないはずのその旋律に、
“確かに”元貴の声があった。
「変わった君。
でも、君がいたから僕らは音を信じられた。」
春の終わり、
夜風が静かに吹き抜ける。
若井はギターを抱きしめながら、
小さく呟いた。
「また、会おう。音の中で。」