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『出来損ないのワタシ』
「は?こんなのも出来ないの?」
「ごめんなさい…」
「ほんっと使えねぇなぁ?」
「ごめんなさい…」
まただ、、また失敗だ、、
何をしても私はダメ…
お母さんとお父さんから産まれた…失敗作なんだ…
ある雨の日、私は家から出た。
もう嫌になったんだ。あの家族に私の居場所は無い。そう、、何にも、、
行く宛てがなくて路地裏に行った。雨の音がうるさかった。私は何も思い出したくなくて、下を向いたまま目を瞑った。いつの間にか寝てたみたい。
私を起こしたのは、知らない男の声だった。聞き覚えのない声に上を向くと、金髪の少し背の小さな男の子が私を見下したように立っている。
この子も、私を見下すんだ…
そんなことを思っていた。でも、彼は違った。
「お前、名前は?」
「…中原悠希」
予想と違った質問に少し戸惑いながらも名前を答えた。
「そっか!俺、佐野万次郎!マイキーって呼んでくれ」
私は不安だった。この人は何がしたいのか、少し仲良くなった後に扱き使われるのか、こんな事しか頭に浮かばなかった。今までされた事と重ねてしまう…そんな自分も嫌いだった。
「お前、ここで何してんの?家は?」
思い出したくない…でも、話してくれているのにそうは言えなかった。この人は悪い人ではない……そう思ったから。
「ちょっとした家出みたいなものです…もう帰りたくなくて、、」
「ふーん、、」
少し素っ気ない返事を残して、マイキーはこう言った。
「じゃあ、俺の家来るか?」
突然何を言い出すのか、見ず知らずの出来損ないの私を家に置く?なんの裏もなく?
でも、私には行く宛ても何も無い。頼れる友達も居なかった。
そう思うと、その誘いに頷いてしまっていた。
「決まりだな!お前、今日から俺のダチ、な?」
そういうと、私の手を引っ張る。そのまま雨の中を走った。