学校で黒魔女さんが通る大好き同好会があった。
そこには、黒魔女さんが通るの世界を信じ、のぞんでいる人達がいた。
図書室で本を借りてくれば、それを移して絵を描いたり、妄想に浸ってる人達だった。
私、ゆかりはその同好会には入っていた。
だが、黒魔女さんが通るの世界線は、それほど信じていなかった。
ゆかりは、目に見えるものしか信じないタイプで、憧れてはいるが、無理に信じようとしなかった。
その放課後だった。
帰り道、ゆかりは同級生のはるか、みなみ、かづきと一緒に帰っていた。
突然、後ろから人の気配がしたと思ったら、私達の前に中年のおじさんがまわって仁王立ちに立ちはだかった。
そして、こう、言ってきたのだ。
「黒魔女さんが通るの世界に連れて行ってあげよう。決して私は裏切らない。」
この学校は黒魔女さんが通るが好きな人が多かった。
そして、それは図書室の取り寄せ数を見ればひと目でわかった。
私のお母さんは、うつ病で、お父さんは、口を開けば「酒!」しか言わなくなった。
学校でいじめられている。消しゴムを投げつけられたりする。
だから読書は現実逃避にちょうどよかった。