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39 - 第5章 ミュータント 4話 遥か遠くの夢

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2025年05月26日

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_? side


「ひと姉、ふた兄、これなに?」

一「ん〜、なんやろなぁこれ」

二「あっ、あれちゃう?サンタさんから蜻ウ蝎檎?へのプレゼント♡」

一「季節違いにもほどがあるやろアホちゃう、二世」

二「めっちゃ言うやん怖いてひと姉」


辺り一面の白銀の中、緑髪の幼い男の子が手のひらにきらきらと光る結晶を乗せ、彼の姉と兄に向かってなぁに、と可愛らしく質問していた。姉兄は弟の前にしゃがみ、その結晶を吟味していた。


「?サンタさん、おれにもきた?」

一「え、これまでも来てたんちゃうん?」

「こぉへんかったで」

二「…えーマジで?ほんなら蜻ウ蝎檎?がでかなったからちゃう?」

一「多分せやな」


と言って姉は男の子の頭を撫でる。男の子は嬉しそうに、それはそれは愛らしい笑みを浮かべていた。



目を閉じてもう一度開くと、そこには緑色の芝生とそこから生えた幹には大層美しい桜が花開いていた。


四「さん兄〜!あそぼーや!!」

五「ひと姉はいそがしいし、ふた兄はいやや!」

「ええけどそんなこと言うなよ、ふた兄泣いちゃうで?」

二「涙とまらへんわ…、、ぐすぐす」

「ほら四世、五世。ふた兄ごめんなさいは?」

四・五「「ふた兄ごめんなさい…」」

二「もう全然怒ってへんよ許したげる〜〜♡」


あの幼い男の子は兄になったようで、弟と妹…、双子だろうか?…に謝るよう言っていた。ふた兄、と呼ばれる青年は見た目は変わっているが、性格は全く変わっていないようだった。ごめんなさい、と素直に謝ることができた双子を抱きしめ、わしゃわしゃと頭を撫でている。それを少し呆れたように見つめている男の子の方が兄のように見えるが。


「ふた兄は?遊ぶ?」

二「んや、俺はええよ」

五「ふた兄も一緒にあそぼーやぁ」

四「おねがいふた兄〜〜!」

二「もうほんましゃあないなぁ〜〜!!♡」


やけにニマニマした青年に苦笑する男の子が弟たちの手を引いて、芝生を走り出した。



今度はなんだろうと目を開くと、そこには白天井と集合する五人のきょうだいが居た。


「四世、五世、絶対しぃーやで」

四「わかっとるよ!!」

五「しぜ、それがうるさいんやって」

四「いつせうるさい」

「こら」

二「めちゃめちゃ可愛いやん〜〜…!!」

一「抱きしめたい………、お母さん、あかん?」

母「まだだめよ」


どうやら彼らの末っ子である、一番下の妹が生まれたようだ。上の二人は末っ子を愛おしそうに見つめ、男の子は下の二人をなだめ、そして当の末っ子はすやすやと心地よさそうに眠っていた。赤子を起こさないように、と言われているのに喧嘩をしだす双子。それを宥める男の子。まるで犯罪者のような雰囲気を醸し出す青年。そして末の子を抱きしめたいという長女。それにダメよ、と静かに優しく教える母。


一「なぁこの子なんて名前?」

母「六に世界の世で六世、りくせちゃん、よ」

二「りくせちゃ〜ん…!!ほんまええ名前もろたなぁ!」

「ふた兄うるさい」

二「はい」

四「りくせ?」

五「うん、りくせ」

五「妹?」

四「うん、妹」


とても平和な空気が部屋を流れていた。



炎が燃え盛り、日本風の家が大炎上を巻き起こしていた。


一「四世、五世!六世連れて逃げなさい!」

四「で、でも…っ!お母さんは…っ!?ねえちゃんたちは!?」

五「そんなん出来ひん!ばかにしてんのひと姉!」

二「はよ行け!!!」

四「…ひぇっ…、」

五「…わ、かった」

「姉ちゃん兄ちゃん、あのクソ野郎どこ行ったん」

一「知らんわ…っ!分かったらこんな苦労してへんねんから!」

二「姉ちゃんそんなかっかせんと!!お肌に悪いで!?」

一「お前ほんま黙れや!」


双子が末っ子を連れて走り出したのを見た後、上の三人は忍者のような格好をした人間を大勢相手にしていた。燃える炎を避けながら人間を相手にする。しかもその敵は彼らに接点があったようだ。苦しそうに顔を歪めながら戦うのはそのせいか、それとも酸素不足のせいか。



「…、ひと姉?ふ、ふた兄…、?四世?五世!?…っ、六世!?」


もう何も残らぬ地で、きょうだいの名を呼び泣き叫ぶ男の子が一人、残っていた。



_蝙蝠 side


『…ッ〜〜”………っ”!?』

『……………は……っ、はぁ…っ、はぁ………っ、』

『……………、ゆ、夢、…?』


びしょ濡れになった手の甲を見て、今までのことが夢だったことを知る。


虚「うおっ、起きてる、大丈夫?」

ラ「わ、大丈夫ですか…?うなされてましたけど……」

『だ、大丈夫です…、変な夢見ちゃって』

虚「疲れたらちゃんと休むんだよ」

ラ「ほんとに死んじゃいますからね」

『ありがとうございます』


あんなのは夢だ、そうだ。

見なかったことにしよう。そう決めて布団から降りた。

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