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旧彗朔

40 - 第5章 ミュータント 5話 戻らぬナニか

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2025年06月02日

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_雲隠れ side


珍しく自分しか居ない部屋の片隅、真っ白なベットの上に寝転んでぐっと伸びをする。同部屋である姉は仕事で居ないので何でもしほうだいなのだ。と羽を伸ばしていると同時にあくびが口から溢れ出て、これが誰かに見られたらと思うと唐突に嫌になって起き上がる。

昨日に比べて、体調もだいぶ良くなったし、書類仕事がありそうなら手伝おうかな。

そう思うとなんだか体が軽くなった気がしたし、気分もまるでシャボン玉のように軽やかだ。ベットのシワを伸ばし、再度伸びをしてから部屋のドアを開ける。


『わ』

三「ぉわ、…、あれ、子羽さん。体調大丈夫なんですか?」

『ダイジョーブだよ!元気になった』

三「良かったです、なんか手伝うことありますか?」

『んー、強いて言うなら書類とか残ってない?』

三「めっちゃ残ってますよ、主に足立さんのが」

『やっちゃうね?』

三「え”、…あ〜…、お願いします…」


ドアを開けた眼の前には同じ部隊の同じく副隊長である三世くん。私が昨日一日、部屋で寝ていたことを覚えていたのか、さり気なく心配してくれる辺り、育ちが良いんだろうなぁと痛感させられる。足立さんと違って。書類が残っていないかと聞くと、苦虫を噛み潰したような顔をしながら残っていることを教えてくれ、そして少し悩んだ後私に任せてくれた。…今の私よりもよっぽど、今の三世くんの方が顔色悪いように見えるけどな、どうしたんだろう。と思えど、彼と私はそんなことを聞けるほど親密な関係でもないし、私はそういうキャラでもないのでお大事に、と一言かけるだけで終わりにした。その時の彼の顔ときたら。

どうせその余っている書類は第2部隊相談室にでもあるんだろうから階段を降りて二階へと移動する。その道中様々な人にすれ違い、大丈夫かと心配されることも七割弱程あったが、階段を降りれているんだからヘーキだと言って階段を無理やり降りた。流石に過保護過ぎやしないか、特に第3部隊の人たち。私、一応副隊長なんだけどな。


『うっわなにこれ…、多くない!?』


ドアを開けて見ればそこには紙の山、山、山。散乱した印鑑。ペン先が出たままのボールペン。消しカスや折れたシャー芯が机の上で遊び回っている始末。全く無頓着な人が多い部隊に来てしまったものだ。

まずは机の上の整理から始めたが、余りにも汚いところには見て見ぬふりをした。ある程度机が片付いた所で、ぐっと伸びをする。さて書類をやるか、と回転椅子に腰掛け、パソコンを開き、書類を上から一枚ずつ降ろしてくる。どうやらこの書類共は、多いだけで一つ一つはそこまで面倒くさくはないみたいだ。ならまぁすぐ終わるかな、と思いながらまた一枚の書類を引っ張り出した。

その時だった。紙の上に一枚の写真が置かれているのだ。

疑問に思ってその写真を見てみると、見たこともない端正な顔立ちの女性と、はにかんだ笑みを浮かべる男性…、どうやらこちらは足立さんのようだ。足立さんの顔をよく見ると、今よりも幾分か若く見える。少し前の写真なのだろうか…?そうなるとこの女性は、足立さんが”蛇龍”だった頃のご友人かな。…恋人だったりして!と思い、その写真を手にとって彼が居そうな場所へ駆け出す…。前にもう少し書類を終わらせよう。

さて、書類に一段落がついた所で探索に出かけようか。まずは二階を見て回り、その後、下、上と動こうと思っていれば、二階で早速茜くんとすれ違う。彼は元々”蛇龍”所属なので何か知っているはず!


茜「あー子羽ちゃん!なに持ってるの?」

『茜くーん!これ?写真だよ〜!見る?』

茜「みッ…!?…えっ、なんでそれ持ってんの!?」

『なんか書類に挟まっててさぁ』

茜「…まじかぁ…、、いや、これ絶対足立に見せちゃダメだよ…?」

茜「三世かボクに預けときな、これは、ダメだ」


と余りにも真剣な顔で言うので仕方なく従う。彼は部隊の隊長を務めているので雑に歯向かうわけには行かないのだ。書類に戻るかぁ、と来た道を辿っている最中、誰かの囁き声のようなものが聞こえたような気がした_。

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