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第11話「薬の意味」


 朝の病室はまだ薄暗く、静けさが漂っていた。

 昨夜の騒動から、俺の体は限界を超えていた。足は鉛のように重く、胸の奥は痛みで締め付けられ、吐き気とめまいが交互に襲ってくる。それでも、ベッド越しに寝ている翔ちゃんを見れば、心配させるわけにはいかなかった。


 「おはよ、かもめん……」

 翔ちゃんの声は優しい。だから、俺は笑顔で答えた。

 「おはよ、翔ちゃん。今日もいい天気だね」

 心の中では、体が崩れそうだと叫んでいた。




 医師がやってきて、薬を手渡す。

 「昨日は透析を受けられなかった影響で、体内の毒素が増えています。今朝から点滴と併用して、この薬を服用してください」


 薬の瓶を手に取りながら、俺は思った。

 ――これで、翔ちゃんに心配かけずに済むかもしれない。


 しかし、胸の奥では恐怖が膨れ上がる。

 「でも……これだけじゃ足りない……」

 思わず、指が瓶を開け、薬を手に取った。規定量を超えて服用する危険もわかっていた。でも、翔ちゃんに「大丈夫?」なんて聞かれたら、笑顔で「大丈夫だよ」と返すしかない。


 ――だから、無理にでも元気に見せる。


 水で薬を一気に飲み込み、喉の奥を通る冷たさと苦さに眉をひそめながらも、心の中で自分を鼓舞する。

 「よし……これで、一度は凌げるはず……」




 数分後、薬が効き始めるのか、体が少し軽く感じられた。吐き気も和らぎ、足もふわりと動かせる。鏡に映る自分の顔には、かすかに笑みが浮かぶ。

 ――見た目は元気そうに見える。


 その瞬間、翔ちゃんがにっこりと笑った。

 「かもめん、今日も元気そうやな!」

 俺は軽く肩をすくめ、冗談めかして答える。

 「そうだね。サイボーグモード全開ってところかな」

 「サイボーグ……いや、血抜かれてた人間やろ、お前」

 翔ちゃんのツッコミに、俺も笑い返す。


 この笑いで、翔ちゃんには「もう大丈夫」と思わせられるかもしれない。だが、内心では心臓の奥が締め付けられるように痛む。




 昼になり、リハビリ室に移動する。

 薬のおかげで、一度は歩行もスムーズに見える。点滴スタンドを引きながら、翔ちゃんと並んで歩く。

 「ほら、俺の方が歩くの上手いでしょ?」

 「お前、まだサイボーグ設定解除してへんのかいな……」

 笑いながらも、翔ちゃんの横顔がどこか疲れて見える。


 俺は心の中で小さくため息をつく。

 ――これ、長くはもたない。薬が切れたら、また毒素が体を蝕む。

 でも、今は翔ちゃんの笑顔だけを守る。それが、俺にできる精一杯のことだった。




 午後、病室に戻ると、疲れが一気に押し寄せる。

 息は浅く、胸は重く、手足は冷たくなっていた。だが、翔ちゃんの前では再び笑顔を作る。

 「ねえ、翔ちゃん、今日の昼ご飯、めっちゃ豪華だね」

 「豪華……いや、病院飯やぞ」

 「そうそう、病院飯でも俺にはごちそう!」

 無理やり笑い、箸を取るが、実際には手が震えていた。


 翔ちゃんは気づいているのか、少し眉を寄せた。

 「かもめん……本当に大丈夫か?」

 俺は大きく首を縦に振り、再び笑う。

 「うん、大丈夫だよ。心配しないで」


 胸の奥では、薬の効果で体が一時的に持ち直しているものの、毒素は確実に蓄積されている。これが長くは続かないことを、俺は知っていた。




 夜、消灯前。

 布団に横たわり、目を閉じる。翔ちゃんの寝息を聞きながら、薬で得た一時的な元気に救われつつも、心の中では葛藤が渦巻く。


 ――俺は翔ちゃんに迷惑をかけたくない。

 ――でも、このままじゃ体が持たない。


 それでも、目を開ければ翔ちゃんが隣にいて、笑顔を向けてくれる。

 ――今は、これでいい。今だけは、翔ちゃんに心配をかけずに済むんだ。


 体の奥でうっすら痛む胸を抱えながら、俺は布団の中でそっと笑った。

 ――この笑顔が、翔ちゃんの安心につながるなら。





もう実際に存在してる病気の症状とか透析しなかったらどうなるかとか無視してい?

完全オリジナルでゆきますフフフ

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