金曜の夜、いつもの居酒屋。
レコーディングを終えたばかりの元貴と滉斗は、並んでカウンター席に座っていた。
焼酎をロックであおるたび、2人とも少しずつ顔を赤くしていく。
「おまえさ…さっき、ギターのとこ間違えてたよな」
「うるさい。元貴だって歌詞ひと文字飛んでたじゃん……」
へらっと笑い合う2人。
空気は穏やかで、酔いに任せた距離の近さも自然なものになっていた。
それでも、元貴の目には、じっと見据えるような光が宿っていた。
「なぁ、滉斗。ちょっと、面白いもん試してみていい?」
「ん……? なに?」
元貴はポケットから小瓶を取り出す。
中には淡いピンクの液体が揺れていた。
「媚薬。海外のやつ。ちょっと前に手に入れてさ。…どんな反応するか、気になってたんだよね」
「…は? いや、待って、俺そーいうの……」
「大丈夫。ひと口、な?」
そう言うと、元貴は自分のグラスに数滴垂らし、口に含む。
そしてそのまま、滉斗の顔を引き寄せて、唇を重ねた。
「んっ……!?」
舌が絡み、熱が伝わる。
媚薬はじんわりと口内に広がり、滉斗の喉を通っていった。
「おまえ……今の……」
「口移しのほうが、効くんだってさ。――どう? 体、熱くなってきた?」
ふざけるな、と言おうとした滉斗の体が、不意に震える。
手のひらがじんわりと熱を帯び、首筋に汗がにじむ。
視線の先の元貴が、妙に色っぽく見える。
「……っ、やば……なんか、変だ……元貴……」
「へぇ、もう効いてるんだ。思ったより早いね。……なら、ちょっと場所、変えよっか?」
⸻
たどり着いたのは、店の奥にある個室トイレ。
カチリと鍵をかけた瞬間、滉斗は元貴を壁に押しつけた。
「……っ、元貴……したい……」
「ふふ、我慢できなくなった?」
「お願い……俺、もう……」
元貴はその頬を指でなぞる。
「そんな顔でねだられるの、可愛すぎ。……じゃあ、たっぷり可愛がってやるよ」
そして2人の唇は再び重なり、熱をぶつけ合う。
元貴の指がシャツの下に潜り、滉斗の熱い体をまさぐる。
「んっ……んぅ……あ、ぁ……っ」
声を漏らす滉斗の唇を、元貴は指で塞ぐ。
「ダメ。聞こえたらマズいでしょ? ……でも声、我慢するの苦手だもんな、お前」
くすりと笑って、彼はより深く、より激しく滉斗を追い詰めていく。
「っ、や、だ……元貴……っ、もう……止まんない……っ」
「止めなくていいよ。俺が、最後まで責任取るから」
背徳のトイレの中、2人の身体は何度もぶつかり、重なり合う。
洩れる吐息と抑えきれない声、そして媚薬の熱で、理性なんてとっくに崩れていた。
to be continued…
コメント
1件
どうしよ、好き