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ホクロの住民
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278
#学校
より
84
春樹とは、あれから一度も連絡を取っていなかった。
このまま終わっても別にかまわなかったけれど、その反面で、本当にそれでいいのかなとも感じていた。
彼の部屋に置いてある私物も、取りに行かなきゃならないし……。
そんな風に思いながら、私物なんかわざわざ取りに行かなくてもいいんじゃないかとも感じて、私はずるずると決断を先延ばしにしていた。
だいたいあんな帰り方をしたのにも関わらず、追いかけてすら来なかった春樹のことなんて、もうあまり考えたくもなかった。
『泣くほどなら、決着くらい自分でつけろよ』
鷹騰社長に言われたセリフが、ふと頭に浮かぶ。
「そんなこと、わかってる……」
あの時と同じように、一人ぽつりと呟く。
わかってはいるけど……だけど、別れの決断をすぐにするようなことは、できそうにもなかった……。
……ちゃんと別れ話をするには、だらだらと付き合い過ぎちゃったのかもしれない。
よく言う永過ぎた春……っていうのか、三年の月日は結構長くて、簡単には別れ話もしづらくなっていた。
……もう、このままにしておいてもいいかな……。
放っておけば勝手に終わっていくのなら、その方が気も楽だった……。
(こんな優柔不断にしてたら、鷹騰社長に”何してんだよ”とか言われそうだよね……)
……って、どうしてあの人のことなんて思い出してるんだろう。
もう会うこともないような人のことを考えたって、仕方がないのに……会うこともない、か……。
春樹よりも鷹騰社長にまた会いたいだなんて感じていること自体が、いつまでもうだうだと答えの出ないことを考えているようで、つくづく優柔不断な自分に嫌気が差してくるみたいだった……。
──連絡はあれっきり春樹の方からもなくて、もう自然消滅でいいかなと思っていた。
だから、ひと月が経った頃に、会社を出ようとして、正面玄関の前に春樹が待っているのを見つけた時には、少なからず驚きが隠せなかった。
細身のスーツをスマートに着こなして佇む彼の姿は、遠目にもかっこよく見えて、
「ねぇ、あれ誰かの彼氏? すごいイケてるんだけど」
なんていう女性陣の声も周りからチラホラと聞こえて、羨望の眼差しを集めていた。
(そういえば、春樹って割りとイケメンの部類だったんだよね)
なんて改めて思いつつ、周囲の視線の中、久しぶりに見る彼氏の元へと近づいた──。
コメント
1件
もうね、冒頭から主人公のモヤモヤした心情がすごく伝わってきて切なかった😢💔 「永過ぎた春」って表現、グッときた……三年の重みがじんわり滲んでる。 それでいて「あの人(鷹騰社長)にまた会いたい」って思っちゃう自分に嫌気が差すところ、リアルすぎて胸ギュッてなったよ💦 最後にまさかの春樹登場で「えっ!?」ってなった! 次どうなるの!? 続きが気になりすぎるよ〜😭💕 蒼乃さん、今日もめっちゃエモかったです!✨