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再び、今川屋敷をこっそりと抜け出した方円は、協力者の助けもあり、村上義清と小笠原長時のいる隠れ場所へたどり着いていた……
「……ここね」
方円は、周囲を見回しながら小さく呟く。
「何とか、あの男のおかげで立ち入ることができたけど……。」
「まさか、村上様の近習の知り合いと出会えるなんて……」
途中で目にした、悲惨な村の光景が脳裏に浮かぶ。
「……気分が悪いわ……ふう……。」
そして、目の前の部屋へ視線を向ける。
「……ここね……!」
襖をそっと開け、部屋へと入る。
「……誰だ」
鋭い視線が向けられる。
だが、私は動じない。
「お初にお目にかかります、村上義清 様」
軽く一礼する。
「貴方は――」
わずかに間を置く。
「二度も、” 武田信玄 ” を退けたお方」
空気が、少しだけ変わる。
「……ほう」
「それほどの御力をお持ちでありながら」
視線を細める。
「卑の手によって、奪われるとは」
静かに首を振る。
「……嘆かわしいこと」
沈黙。
だが、その沈黙は“否定”ではない。
「ならば」
一歩、踏み出す。
「その無念を晴らす――お手伝いをいたしましょう」
「……では、良い返事を期待しております」
村上義清 に一礼し、その場を後にする。
夜気が、肌に冷たい。
――
私は足を止めず、静かに口を開く。
「……小笠原様は、どちらにいらっしゃいますか」
村上様に潜めた声で問う。
一瞬の警戒。
だが、差し出したものと、わずかな言葉で十分だった。
「……こちらだ。案内いたそう……」
障子の向こう。
気配を感じ取り、声が飛ぶ。
「――何者だ」
私は、ゆっくりと襖の前に立つ。
「失礼いたします」
静かに一礼し――
「小笠原長時 様」
顔を上げる。
「少し、お時間をいただけますか」
「無礼者が……何用だ」
冷たい声。
私は、わずかに微笑む。
「信濃守護ともあろうお方が」
静かに言う。
「このまま、” あの男” のやりたい放題をお許しになるのですか」
その言葉に、空気が張り詰める。
「……何を申す」
「簡単なことにございます」
一歩、距離を詰める。
「正しく、戻すのです」
「信濃を」
「本来あるべき姿へ」
視線をまっすぐ向ける。
「共に、戻そうではありませんか」
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………………もちろん。
取り返した土地は、所領として認めるつもりだ。
” 正しく” 戻すのだから。
ゆっくりと、槍を掲げる。
「村上義清 様、小笠原長時 様」
静かに、微笑む。
「この槍にて――” お約束” いたしますわ」
ふふふ。
……その約束が、凶と出るか吉と出るか。
それは――誰にも分からぬ。
父である、このワシにすら。
静かに、目を伏せる。
「あやつは……」
小さく、呟く。
「目覚めてしもうたのだな」
「誰にも止められぬ――狂気として」
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???
「ふふ……それで良い、方円!!」
「正さこそが”正義” なのだ!!!」
「お前は、” 正しい判断” をしている」
「……誰??」
方円が尋ねる。
「ああ……すまぬ」
声の主は、少し愉快そうに笑った。
「以前話した時に、”記憶” は消したのだったな。笑」
「我は、正蛇の槍――そのものだ!」
「武田家の家宝、楯無に導かれ、お前の元へやってきたのだ!!!」
「誠に愚かなり……今の武田家当主は」
「楯無の最大限の警告に、気づかなんだ!!!」
「正しくないものは、滅びるべきよ!!!」
「…………」
方円は、何も答えない。
正蛇は、なおも言葉を続ける。
「まあ……とにかく、我はお前の味方だ。」
「お前が、正しいことをしていればな……。」
「力をやろう……力を」
「捧げ物は、既に受け取っておるゆえ……。」
「心配はせぬで良い」
そして、最後に付け加える。
「あと、今話している記憶も、また消させてもらう……。」
「我の力を保つ、供物としてな!!!」
「はははははは!!!!」
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琴寧
38
#織田信長
常陸之介寛浩
173
コメント
1件
おお、第六話読んだよ!方円が村上義清と小笠原長時に直接会いに行く場面、緊張感がすごかったな……「正しく、戻す」って言い切るまでの静かな圧がめちゃくちゃかっこよかった!しかもラストで正蛇の槍が突然しゃべり出して、「記憶消してる」って衝撃の事実…この子、完全に何かに取り憑かれてる感じがして不気味だったわ。父親の「狂気として目覚めた」って台詞も含めて、これからどうなるのか気になりすぎる🔥 続き楽しみにしてる!