テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
5Day
今日は屋上に行く。
なぜかそう分かっていた。
屋上のドアを開けるとすでに彼女は待っていた。
今日くらいは、先に声をかけようと思った。
ゆあん「ごめん、待たせたよね。」
驚いた表情をしたまま彼女は振り向く。
「・・・ううん。全然。」?
今更、少し緊張しているのだろうか。
ぎこちなく聞こえた。
が、いつもの声のトーンに戻る。
「春の風って穏やかで気持ちいね。」?
ゆあん「うん、そうだね。」
「すきだな~」?
ちらりと彼女を見る。
彼女と目が合った。
「屋上が、ね。」?
少しがっかりしてしまった。
少し意地悪して笑みを浮かべる彼女を横目に春の風を感じる。
「やっぱ、気持ちいなぁ~」?
ゆあん「うん、きもちい。」
「これが、さいごだからなぁ~。」?
不思議なことをつぶやく彼女。
「余計気持ちよく感じる!」?
ゆあん「また、これる?君と。」
不安げにそう聞く。
君も不安げな笑みを浮かべながら
「どうかな。」?
どうかな。ってなんだよ。
そう心の中で突っ込みながら、もしまた君とこれなかったら?
と考えてしまう。
だめだ。そんなこと考えちゃ。
だめ。弱気になっちゃ。
また、蓋をする。
「もう、時間だ。またね。」?
彼女はひらひらと手を振り、笑顔で屋上から病室へと帰っていった。
ゆあん「っ、」
今にも消えそうだった。
僕はすぐには病室へ帰れなかった。
どうしても、彼女がいなくなってしまうんじゃないかって考えちゃう。
どうしたらいいのだろう。
蓋も取れてしまったようだった。
全部出てきてしまった。
不安でをしつぶされそうだ。
でも、1つずつ消えていく。
不思議な感覚だった。
最後には、何も残らなかった。
春の風は暖かく、何もかもを包み込んでくれた。
_今、誰とどんな話していたのだろう。
分からなかった。思い出せない。
心に引っかかるが、わからないものは仕方ないと心にまた蓋をした。
6話
5Day