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話しているうちに段々眠くなってきて、そのまま寝てしまったようだ。
窓から部屋に入ってくる日差しが眩しい。
「おはよう、リリー」
椅子に座ったままベッドに伏せていたらしい体をおもむろに起こし、いつも通り彼に挨拶の言葉をかける。
今日も彼は起きる気配がない。
気が付けば彼がここに来てから一ヶ月が過ぎた。
今日まで一切飲まず食わずで眠り続けている彼だが、 姿はあの日から何一つとして変わっていない
…その様子はまるで教会の周りに咲く白百合たちのように、進みゆく時間の流れから切り取られたように、美しいままだ。
そっと頬に手を添えてみる。
肌触りのいい綺麗な肌だ。
「リリー、君はいつになったら起きるんだろうね」
明るい日差しが部屋を照らすだけの時間。
何も喋らず、ただ、リリーだけを眺めていた。
その時だった。
「…………、?」
「!」
リリーの瞼が小さく震えた。
ゆっくりと、重いものを持ち上げるような気怠さを纏った動作で閉じられていた瞼が開かれる。
「……ぁ」
_君の瞳は、そんな色をしていたのか。
開かれた瞼から現れたのは、見る者全てを惹き込むような、深く、鮮やかな真紅をしていた。
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次回は少し短めです。