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彼は何度か瞬きをする度、まるで鮮血の美しさを凝縮させ閉じ込めたような色彩をした瞳が見え隠れする。
「……ここ…は、」
不意に彼から言葉が落とされる。
一ヶ月まの間寝たきりだったから当然だが、初めて聴いた彼の声は少し掠れていた。けれど、いい声だな、と思った。
彼の表情は、目こそ開いているもののどこか眠た気で、蕩けた目元はなんだか艶めかしい。
そういえば彼の問いに答えていないな、と思い至り口を開きかけた時
リリーの視界が僕を映し、彼の目が見開かれた。
その瞬間。
彼の意識が、完全に覚醒したのだと悟った。