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気が付けば、いつもの部屋のベッドの上で寝ていた。
ベッドの端で悠斗がスマホを触りながら腰かけていて、レンはいつも通り部屋の俺の近くで心配そうな表情で浮いていた。
「おはよう、湊。って言っても夕方だけどね」
悠斗は優しく微笑んで、俺の頬を撫でた。
あの後、どうやってここに帰ってきたのだろう?
記憶がぼやけたように薄れていて、思い出せない。
でも、加那さんのあの表情だけは、妙にハッキリと覚えている。
俺の目から、ぼろっと涙が零れ落ちた。
「…湊、。大丈夫だよ、泣かないで」
悠斗が優しく俺を抱きしめて、頭を撫でた。
俺は吐き気がして、悠斗の腕から逃げるように身体をよじった。
しかし、それを悠斗が許すわけもなく。
より強い力で抱きしめられるだけだった。
「……ねぇ、湊」
悠斗が俺にそっと言い聞かせるように呟く。
その声は、今までとは全く違う異様な響きを持っていて、俺は背筋が凍った。
「俺は、ずっと待ったんだ。ずっと、ずぅっと。湊を傷つけたくないからさ。
……でも、もういいだろ?」
『にいちゃん』
レンの声は、酷く掠れていた。
俺の心臓がばくばくと波打つ。
ヤバい、これはヤバい。
俺の本能がそう叫んでいるのに、俺の体は蛇に睨まれた蛙のように動かなかった。
悠斗はにっこりと口角を上げた。
「大好きだよ、湊」
俺は手酷く悠斗によって犯された。
泣き叫んで、暴れて、殴られて、また泣いて。
朝起きたときには、後処理はされていたものの悠斗の姿はなかった。
あの悠斗の表情が、声が、忘れられない。
優越に満ちた、悪魔の顔。
レンは、俺が犯されている間消えていた。
レンも、監禁されているとき、これをされたのかもしれない。
俺の体には、至るところに痣や打撲痕、鬱血痕に噛み跡やらの傷が残っていた。
俺の心はもう空っぽだった。
真っ黒で、もう何の光も無い。
涙は出なかった。
涙を流す気力も、泣くことの意味も無かった。
ただ、足枷の冷たさだけが俺の体を駆け巡った。