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〜 side 小柳 〜
新しい街に来てローレンさんは大変そうだ
赴任してきたほとんどの人が経験が浅く、何もかも教えなくてはならない
俺も手伝える事があれば良いのだが、なにせこの街に居たのは一年前で数週間程度
道や建物の名称、大まかなところ以外はあやふやだ
パトロールがてら街へ出て早く慣れなければ‥‥
ローレンさんの負担を軽くしてあげたい
俺はヘリを署のヘリポートへ着地させ仕舞う
続いてネス君もヘリを仕舞った
「ありがとうございました!ロウさん」
「あいよ、サーマルとロックオンは自分のヘリの向いてる方向をしっかり把握して鼻先を向けることを意識した方が良いと思うよ」
「分かりました!1人でもやってみます!」
「おう、頑張れ」
2人でエレベーターに乗り、1階へ降りる
武器庫の前で中から出てきた北見が、俺を見ると駆け寄ってきた
「ロウさん!お疲れ様です。今時間ありますか?」
「あぁ北見、お疲れさん。どうした?」
「もしよければ街の事と車教えて欲しいなって」
「あぁ、良いよ。じゃあ‥‥今から俺とバディ組むか?」
「良いっスか⁈マジで?」
「良いよ。じゃあ来な」
「ハイッ‼︎」
まだ仕事は残っていたが、こんなに嬉しそうに頼まれたらこちらも気分が良い
駐車場まで来ると北見に車を出させる
やっぱり実践の方が覚えは良い気がする
車に乗ろうとすると《パレト銀行》の通知が来た
しかし駐車場には他の署員がいるにも関わらず、誰1人無線の連絡が入らない
「北見、行くか?」
「ハイッ、行きましょう!」
“パレト向かいます”
“俺もロウさんと向かいます!”
“はい、いってらっしゃい”
“了解。気を付けて行っておいで”
エクスさんとローレンさんが無線を返す
北見の車に乗りながら運転のコツや覚えている建物の名称を教えていった
「曲がる時はタイヤを滑らせるよりちゃんとブレーキで減速して曲がった方が復帰が早い。手前からちゃんと踏む癖をつけたらいいよ」
「‥‥なるほど」
「地形はなぁ‥‥実際に見て地図も覚えるしかないもんなぁ。番地で言われても一度地図を見るアクションを挟むと行動が遅れるんよな。だから俺は知ってる建物の前を西高速に向かって北上‥‥みたいな感じで報告するけど、知らん奴には難しいよな」
「‥‥難しいっス。実際の事件の時は中々分からないって言えなくて‥‥」
「いや、聞いてくれ?俺には分からない事があるたびに聞いてくれて良い。全然迷惑じゃないし、市民の安全が第一だろ?」
「‥‥ロウさんカッケー」
「カッケー‥‥じゃないのよ。北見がそれで一人前になれるならどんどん聞いてくれ」
「ありがとうございます!」
パレトまでの長い道のりを色々話しながら進んでいく
北見が思い出したかのように話題を変えた
「ロウさん知ってますか?みんながパレトに行かないワケ」
「いや‥‥知らんなぁ」
「パレトに着く頃には絶対居ないんですよ、犯人。だからみんな言ってます‥‥パレトを襲ってるのは幽霊だって」
「‥‥は?」
「ロウさん幽霊って信じますか?」
「‥‥いる訳ないだろ⁈そんなもの」
「そうですよね。でも居たら面白そうですけど」
北見には‥‥
みんなには絶対言えない
俺がホラー耐性が無いということを‥‥
それにしてもいつ向かってもいない犯人
ここの銀行ってお金取るまでに時間がかかるはず
手練れの奴でも居るのか?
言っている間にパレトに到着した
車内から見てもわかる
きっと中はもぬけの殻だ
車から降り、銃を構える
開かれた扉の中はやはり誰もいない
「今回も幽霊でしたね‥‥‥‥わあっ‼︎」
「うわぁっ‼︎‥‥何だよ!」
「怖がりですね、ロウさん」
「‥‥声のデカさにビビったんだよ。ったく‥‥」
北見の子供騙しにちゃんと驚きつつ、奥の床に目が止まる
血痕が落ちていた
「‥‥北見、お前フラッシュライト持ってるか?」
「あ、いえ‥‥持ってません。すいません」
「俺のを貸すからそれでこの血痕取ってみて」
「了解です!」
これが犯人のものなのかどうなのか‥‥
帰って調べてみよう
署に戻り、北見に血痕採取してきたものの扱い方を教える
タブレットを開き、血液の番号を打ち込む
「‥‥該当無し?まだ捕まった事ない犯人ですか?」
「いや‥‥この街の人達は登録済みなはず。なのに該当無しとは‥‥」
登録漏れか?
いや、そんな事はないだろう
ローレンさんに相談してみる‥‥のもなぁ
手を煩わせるだけかもしれない
誰もこの事件に興味も無さそうだし‥‥
「北見、俺とお前でこの事件‥‥捜査してみる?」
「そうですね、ちょっとミステリーで面白そうですし」
気づくと時間は0時になろうとしていた
俺達は今回の資料をまとめ、家路に着く