テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
第五話「試験、勝たない程度に全員倒しますね」
昼下がりの大講堂には、重苦しい空気が漂っていた
教師「全員、整列ぅ!」
今週の目玉は、学園恒例・中間魔術実技試験
一年生から三年生まで、全学年が合同で戦う特殊ルールだ
教師「今回のルールは、“魔法のフィールドで戦い、最後まで残ったチームが勝ち”」
「言うなれば、実戦想定の集団戦だな」
生徒たちは色めき立った
「これって、他学年の実力者と戦えるやつじゃん」
「三年のドイツ先輩、ヤバいらしいぞ」
「……てか、またアイツも出るんだろ?」
そう、”アイツ”――日本
それまで笑っていた生徒たちも、彼の名が出ると一斉に黙り込んだ
教師「各チームはこちらでランダムに編成済みだ。発表するぞ――」
【チームA】
・アメリカ(3年)
・スペイン(2年)
・カナダ(2年)
・日本(1年)
ざわ…ざわ…
アメリカ「は!?またこいつと一緒かよ!」
カナダ「う、うわぁ……日本くんって……あの、廊下壊した人?」
日本「よろしくお願いしますっ」ぺこっ
スペイン「え、かわい…いや、こわ……」
***
試合開始直前、控室にて
アメリカは溜め息をついていた
アメリカ「なぁJapan。今回こそ“ちょっとだけ”魔力抑えてくれ」
日本「もちろんです!5%以下に抑えますね!」
アメリカ「(それが怖ぇんだよ……)」
スペイン「てかさ、日本って一体何者なの?」
アメリカ「知らねぇけど、とりあえず魔力は計測不能だ」
カナダ「他国じゃありえない魔術式、使ってるよね」
日本「えっ、普通の基礎魔法ですよ?おばあちゃんから習いましたし」
一同「おばあちゃん誰だよ……」
***
ドン――!!
フィールドに立った瞬間、周囲の生徒たちが戦慄する
教師「位置につけ!試合開始まで、残り10秒!」
アメリカ「いいか?今回は逃げ回って、タイミング見て…」
日本「わかりました!全員まとめて眠らせればいいんですね?」にこっ
アメリカ「やめろぉぉぉ!!!」
ブーーーーッ!
【試合開始!】
瞬間、日本が一歩踏み出す
両手を胸元に合わせて――ふわりと、微笑んだ
日本「ごめんなさい、ちょっとだけ眠っててくださいね」
(↑魔力5%)
バァァァァァァン!!!!!
……次の瞬間、フィールド全員が倒れていた
教師「!?!?!?」
審判「せ、戦闘不能確認…!全チーム、魔力干渉による意識喪失…」
アメリカ「……お前、何したんだ…」
日本「“眠りの風”ですけど…あれ?強すぎました?」
スペイン「うん、目がバキバキに開いたまま気絶してる人、初めて見たよ」
カナダ「し、試合開始から…7秒…」
日本「えっ!?やばっ、次からは3秒で倒せるように頑張ります!」
アメリカ「逆ゥ!!!」
***
観客席では、他学年の上級生たちが震えていた
ドイツ「ありえん…魔法詠唱も、陣式も、構築もなしで…」
イギリス「無詠唱、無陣式、ゼロタイム発動だと…?」
ロシア「むしろ、“魔法を放っている”という自覚が本人にないのが一番怖いね」
フランス「……キュン」
イタリア「フランス兄ちゃん!?惚れてるの!?」
***
教師「試験終了…チームA、日本の魔法により、全員戦闘不能」
「……日本、成績はS+。だが、次から全魔法制限で出場しろ」
日本「え〜っ!?魔法って、制限できるものだったんですね!」
アメリカ(マジでこいつ、可愛いのに世界壊すんだよな…)
こうしてまた一歩、学園全体が日本の“底なし”を理解する日となった
次回予告
第六話「生徒会、ついに監視に乗り出す(けど全員惚れ始めてる)」
・生徒会が日本を“危険魔導生物”扱いして強制管理
・日本は「えっ?みんなで遊ぶんですか?」と勘違い
・イギリスが“冷静なフリして一番甘やかす”回!