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ガチャ
元貴の帰ってくる音がした。普段なら出迎えるけど、今日はソファで狸寝入りをして反応を見ることに。
「ただいまー…あれ?若井ー?」
「ん〜、おかしいな… 」
ガサガサとビニール袋の音が鳴る。何か買ってきてくれたのかなと思うと少し罪悪感が湧いたけど、それを押し込めて寝たふりをする。
だんだんと足音が近づいてきて、ピタリと俺の前で止まる。
「あれ、若井…。珍しく寝てんじゃん。」
顔を覗き込まれているのか、元貴の吐息が鼻にかかる。顔が赤くなっていたらどうしよう、呼吸が乱れていたらどうしようと思ったけど、反応を見るに大丈夫みたいだ。
「風邪ひくよ…?全く俺がいないとダメなんだから〜…」
セリフに対して声色からは少し喜びが滲んでいる気がする。遠くでゴソゴソと物を漁る音がして薄目を開けると、元貴がブランケットを持ってくるのがわかった。慌てて目を瞑る。
「ふふ、かわい。」
優しい手つきで俺にブランケットをかけると、ぽんぽんと優しく撫でてくれる。
「疲れてたもんね、お疲れ様。偉いね。」
頭を優しく掻き回されたと思ったら、額にキスをされた。普段から俺が寝ている時にこんなことをしてるのか、と思うと嬉しい反面複雑だ。
「…、まつ毛長…。寝顔可愛すぎんでしょ、どーなってんの。」
元貴が感嘆の声を漏らす。そのまま俺の顔のパーツ一つ一つに優しく、でも少しいやらしい手つきで触れていく。目、鼻、唇、頬、首筋。
元貴の指が鎖骨まで伸びた時、ふと動きが止まった。
「………ねぇ。若井。」
次の瞬間、耳元で熱い吐息の混ざった元貴の声が聞こえた。意識せずとも、体がぴくりと動く。
「ねーえ。…起きてんでしょ。」
行為中にしか出さない、甘くてとろとろな声を聞かされて、俺のお腹の方がきゅんとしたのがわかった。
「起きてよ。じゃないと…。」
元貴の口と俺の耳がほぼゼロ距離まで近づいた。
「…このまま襲っちゃうよ?俺今日溜まってるから、手加減出来ないかも♡」
「…なーんてね。 」
心臓がバクバクした。もう、バレているかもしれない。でもこの状況で起きる勇気はなくて、ぎゅっと目を瞑る。
足音が遠のいていくのを感じると、俺は恐る恐る目を開けた。
「は……、良かった。」
そこに元貴はもう居なかった。
ぐったりとソファにもたれかかって、背もたれに首を預ける。
すると。
「何が良かったの?」
頭上から声がした。
びっくりして後ろを振り返ると元貴が意地の悪い笑みで俺を見ていて。
「…っ、」
「ははっ、若井寝たふり下手くそすぎ。俺すぐ分かっちゃったよ。」
得意げに笑う元貴をじっと睨んでいると、顎を掴まれた。
「…ねぇ、正直に答えて?あのまま俺に襲われてたら…どうしてた?」
「それは…、」
「教えて。」
「…。」
あのまま最後まで…を期待した自分は確かに居たけど、俺にもプライドがある。恥ずかしくて、ふいっと目を逸らした。
「目、逸らすなよ。……ちゃんと教えてくれたら、今日の夜ちゃーんと気持ち良くしてあげる。」
耳元でそう囁かれてしまって、腰が抜けてしまった。抵抗するにも、いつのまにか元貴が俺のことをソファに追い詰めるように座っていて、抵抗できない。
「……早く言えよ。俺にどうしてほしいの?」
普段と違った雰囲気の元貴の前に、拒否権なんてなかった。
「…さ、さっきの続き…してほしい、」
か細い声で伝えると、元貴が満足そうに口角を上げた。
「よく言えました。ベッドいく?それともここがいい?」
至近距離にも関わらずクリクリとした目で俺を見つめる元貴。ああ、元貴には叶わないな、と内心思いながら
「…ここがいい。」
と俺は答えた。
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