『おぉ、意外といるな』
視線が食堂の入口の扉に向けて一斉に注がれる
まあ、ここに居たのがアリサでなくても、こんな乱暴にドアを開けてで入ってきちゃ誰でも見るだろう
学校なんかでやれば即異端児扱いである
「うわ本物じゃん」
「やばぁ…!」
「意外と身長低いんだな」
『は?何言ってんだお前、167はあるぞ』
「こ、怖!!」
「どんまい笑」
「怒ってもかわい〜♡♡」
────────────
『ちょ、押すな!!おい、日本語あってんのか?おい、だから押すなって!!!』
『痛い痛い!!押すなよ!潰れる潰れる潰れる!!!ってか、さっきから胸触ってるヤツ誰だ!!?』
昔の野球選手を彷彿とさせる揉みくちゃ具合である
有名人の運命とも見れるが、ガタイのいい男子高校生に囲まれるなんて
嬉しいかどうかは微妙である
『自己紹介しないといけねぇんだよ!!!え、ちょ、痛い痛い痛い!!』
この光景、まさしく混沌カオスである
いくら冷酷な性格のアリサと言えど、世界トップのサッカー選手である
今まで、何となく神格化され、近寄り難い者として扱われてきたのに
絵心甚八の教えである感情エゴによって…
エゴを言い訳にしてアリサは揉みくちゃにされているのである
『はぁ、これだから過激なファンは嫌いなんだよ。
てめぇら、静かにしねぇと
……eu vou matar você?(殺すぞ?)』
アリサがその言葉をはなった瞬間、まるで時が止まったかのようにその場に静寂が訪れた
eu vou matar você(殺すぞ)
これはアリサの名言の1つとして数えられる、サッカーに関わる者にしては有名な言葉である
この静寂は、本人からこのセリフを聞くことが出来たという感動から来ているものが殆どであろう
『ったく、これだからお前らみたいな発情期のガキが嫌いなんだよ』
『あー、自己紹介だっけ?アリサ・アダムスだ。お前らを世界一のストライカーにするために来た』
『お前らより年下だが、ガキだからって舐めてると潰すぞ?』
コメント
1件