8時11分渋川駅
曇り
今日も疲れるのか。僕は毎日憂鬱な日々を送っている。刺激も何もない。ただ、僕は暗いのが好きだから曇りなのがありがたい。今日も満員電車に乗り込む。昨日は休みの日で遠出していてつかれてる。早く座りたい。ここの二駅だけは未だに慣れることのない足の痛みを味わう。そんなこんなで新前橋駅に着いた。席の争奪戦が始まる。ここ2ヶ月負けたことがない。あいた。他人に迷惑をかけないように目立たないように素早く席に座る。座れた安心感と電車の揺れがゆりかごのようでだんだん眠くなる。冬の寒さからの電車の暖かさは何よりも心地よかった。このままだとやばい。寝る…。
寝ていた。まだ重いまぶたを嫌々ながら少し開ける。隣の人の肩で寝てしまっていた。迷惑をかけてしまった。急いで肩から頭をどかそうと思った。でも、彼女の白いマフラーで押さえつけられてる長い髪の毛から香る金木犀の匂い。透き通ったガラスのような瞳が僕のすべてを見透かす。僕の目が体が彼女から離れることができなかった。僕は今までに味わったことのない感情で彼女と目があっても彼女を僕から離す気はなかった。いつしか終点の高崎駅についた。帰り際に我に戻り彼女に小さな囁き声で「すいません」とただ一言。その後は恥ずかしさからそそくさと電車から降りた。ごめんなさい。とてつもない迷惑を彼女に朝からかけてしまった。電車の暖かさで僕は正常な判断をできなかったのだろうか。それともなんだというのか。この胸の高鳴り。頬の赤さ。頭の中が彼女だけになる。この日は何にたいしても集中できなかった。彼女のことで頭がいっぱいになり考えるだけで頭が真っ白に。あの感情が何だったのかわからない。ただ、彼女の白いマフラーには高橋と書いてあった。わかっているのはそれだけ。なのにその次の日も彼女を探したくなった。高橋さんという人に僕は今日から恋をしたみたいだった。
コメント
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田中くん目線の話でしたがどーだったでしょうか!?ぜひぜひコメント待ってます🫶