テラーノベル
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今回すんごく短い!!
それでは〜♪
第四話:「ゆれる波間と交差する光」
春の終わりを告げるような、あたたかく霞んだ日曜日。
三組のカップルが、偶然か運命か、同じ海辺の公園に集まっていた。
約束したわけではない。ただ、風の匂いに誘われるようにして、自然とそこに足を運んだのだった。
青と水は、砂浜に敷いたレジャーシートの上で並んで座っていた。青は波打ち際の形をスケッチし、水はその横で、持参したおにぎりを包み紙から出している。
「この白い泡、どんな音?」
水の問いに、青は「……シ♭の、こすれる和音」とぽつりと答えた。
一方、赤と桃は近くの芝生でフリスビーを投げ合っていた。桃が豪快に投げたフリスビーは、風に煽られて斜めにそれ、白の足元に転がっていく。
「あ、ごめん!」桃が駆け寄ると、そこには黒と一緒にベンチに座る白の姿があった。
白は驚いた表情を浮かべながらも、微笑み、黒が代わりにフリスビーを拾って桃に手渡す。
「また会ったね」と桃。
「偶然……だけど、なんだかうれしい」と白の唇が動く。
やがて、三組は自然に同じシートの上に集まり、お菓子や飲み物を広げて小さなピクニックのようになった。
会話は少しずつ交わる。
赤が青のスケッチをのぞきこみ、「この緑、私の空と似てる」とつぶやいた。
青は一瞬、戸惑ったような顔をしたが、やがて「それ、ラ」と微笑んだ。
水は桃におにぎりを渡し、桃は「うまっ」と頬張る。黒は静かにその様子を見守り、白にそっとチョコレートを差し出す。
「甘いの、いる?」
白は頷いて、ありがとうの意味で黒の手を握った。
風が吹く。
それぞれの世界。それぞれの違い。
だけど、そのひととき、彼らの心はひとつの波の上に乗っていた。
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ふつくぴい(!!?)
ふつくしい(?)