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『いつもの距離』
れるこえ 日常パロ
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リビングのソファにだらっと寝転がっているれるの横で、こえはスマホをいじっていた。
特別なことは何もない、いつもの午後。
こえ 「れるさん、また床に物落としてるでしょ」
れる 「んー?あとで拾う」
こえ 「“あとで”って言って拾った試しないよね」
呆れたように言いながらも、こえは立ち上がって床に落ちたイヤホンを拾う
それを見て、れるは小さく笑った。
れる 「こえってさ、なんだかんだ世話焼きだよね」
こえ 「誰のせいだと思ってるの」
そう返しながらも、こえの声はどこか柔らかい。
れるの隣に座ると、自然と肩が触れた。
一瞬、どちらも何も言わない。
けれど離れない。
れる 「……今日さ、配信おつかれ」
れるがぽつりと言う。
こえ 「ありがと。れるさんもね」
短いやりとりなのに、胸の奥が少しあたたかくなる。
こえは気づかれないように、そっとれるの方へ寄った。
こえ 「近い?」
れる 「別に。嫌じゃないし」
こえ 「……じゃあさ」
れる 「ん?」
こえ 「…これからも、この距離でいよ」
れる 「当たり前…」
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次編
夜更け。部屋には静かな音だけが流れている。
ソファに座るれるの膝の上に、こえが丸まっていた。
れる「……ねえ、こえくん?」
こえ 「なに?」
返事はあるけど、顔は動かない。
れるの服をきゅっと掴んだまま、完全にくつろいでいる。
れる 「それ、さすがに甘えすぎじゃない?」
こえ 「今さら?」
こえはそう言って、れるの胸元にさらに顔をうずめた。逃げ場は、ない。
こえ 「れるの心臓の音、落ち着く」
れる 「聞かないで…」
こえ 「無理。近いから」
れるは困ったように笑いながらも、こえの背中に手を回す。指先で、ゆっくりと撫でる
「……ほんとに、俺のこと好きだよね」
何気ない一言
でも、こえは少しだけ動きを止めてから、顔を上げた。
こえ 「当たり前でしょ」
迷いも照れもない、即答。
こえ 「れるがいないと無理だし」
れる 「そんな即答する?」
こえ 「だって事実だもん」
こえはそう言って、れるの首元に額をこつんと当てた。
こえ 「れるはさ」
れる 「ん?」
こえ 「俺がこうしてるの、嫌?」
れるは一瞬考えてから、こえの頭を胸に引き寄せる。
れる 「……嫌だったら、とっくに離してる」
こえ 「じゃあ、独り占めしていい?」
れる 「どこまで?」
こえ 「今も、これからも」
れるの心臓が跳ねる。
でも、逃げない。
れる 「……ずるい言い方」
こえ 「れるが優しいのが悪い」
そう言いながら、こえはれるの腕の中に完全に収まった。
しばらくして、こえが小さくつぶやく。
こえ 「ここ、俺の場所」
れる 「……そうだね」
こえ 「取らないでね」
れる 「取らないよ」
即答だった。
れるの腕が、少しだけ強くなる。
包むみたいに、守るみたいに。
二人の距離は、もう測れない。
近いとか、甘いとか、そういう次元じゃない。
ただ——
ここにいるのが当たり前。
それが、こえが甘えて
れるが全部受け止める
戻れなくなった“いつもの距離”。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈終わり
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