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喧嘩をした。
「もう太宰さんなんて嫌いです!!」
「あ、敦君!」
彼はそう云って出て行ってしまった。
「……嫌いっ、て……」
どうしよう。
仲直りしたい。
そうだ。こんな時は、
「敦と喧嘩した?」
「そうなんだよ国木田君〜!」
「はぁ……全くお前は……」
眉間に皺を寄せ彼は云う。
「何をしたんだ?」
「えっとねぇ……」
「あ〜つ〜し〜く〜ん!!!!」
「五月蝿いです」
「ごめんよぉ敦君が可愛すぎて」
「……その可愛いって云うのやめてくれませんか……?」
「なんだい?照れてるのかい?可愛いね!」
「〜っ!僕だって男なんですから!」
「かっこいいと云われたいのかい?」
「まぁ……そっちの方が……」
「でも、敦君はかっこいいより可愛いなんだよねぇ」
「…………」
あ、ヤバい。
其れだけを考えた。
睨みながら近づいて来る。
「ご、ごめんよ」
「だから、その……黙って近付くのやめて……」
「太宰さんがもう可愛いと云わないんだったら」
「それは無理☆」
「それは無理☆じゃないんですよ!!!」
そして最初に戻る。
「バカップルめ……」
「敦君を馬鹿と云うのは許さないよ!」
「主にお前だ!大宰!!」
「敦はまだ良い!」
「お前なんだよ!」
「酷い!!」
「まぁ、謝りに行けばいいんじゃない?」
「乱歩さん……」
「敦だって、」
本心じゃないでしょ?
「どうしようかな、鏡花ちゃん……」
探偵社の安らぎの場、
ビルの1階にあるカフェで一言。
「大丈夫、彼奴は私がぶった斬る」
「ちょっ!刃物取り出さないで!!??」
「でも、あなたが……」
「僕が悪いんだよ……」
「あれだけで嫌いなんて……」
「あなたは悪くない」
「でも…………」
否定をしようとした時、
店の扉が開いた。
「あ……」
そこに居たのは、
今丁度話していた大宰だった。
「斬る!!」
「鏡花ちゃん!!!」
刃物を取り出す鏡花を制する。
「敦君!!」
「……なんですか?」
「さっきはごめんね!!!」
「!?」
真逆謝って来るとは思わず、
つい鏡花の背後に回り込んだ。
「敦君!?」
「あ……すみません……つい……」
「そんなに私が怖いのかい?」
「怖くはない……ですけど……」
「だったら、なんだい……?」
「……う……うぅ……」
「な、なんで泣くんだい!?!?」
「殺す!!」
「ちょっちょちょ!!」
「きょうかちゃん……だいじょぶ……だから……」
「……でも、泣いてる」
「これも僕のせいだから……」
「敦君!君のせいじゃないよ!」
「貴方は黙ってて」
「君は君で酷いな……」
どうしよう……
謝ればいいのかな……?
どうすれば……
「敦君、ごめんね」
「怒らせてしまって」
大宰さんの優しい声が聞こえる。
「……此方こそ、御免なさい……」
「仲直り、したいです……」
「!私もだよ!」
敦に抱きつく。
「……や、やめてください……恥ずかしい……」
「可愛い!!」
「それもやめてください!!」
「……ふふ」
こういうのも良いかなと笑う鏡花。
けれど
「貴方は敦を泣かせた」
「へ……」
「それは許さない」
「ちょ……まって……?」
「一発でいいから刺されてほしい」
「ちょっ!!ぎゃぁぁぁぁ!」
大宰の甲高い叫び声がビル内に響いた。