第五話
”皆でお泊まり会!”(後)
「さ、ジャックとエースの一騎打ち…というかもう終わるけどね」
「そういえばジャックはどこに隠れているんだ?」
「さぁ…?」
「ここら辺からエースの声が聞こえたんだゾ!!」
「グリムたんお疲れ」
「じゃあここからは俺1人…でっ!っと」
「ふなっ!?子分がすげー高く飛んだんだゾ!!」
そう。ユウは体は小さい(物理的に)が、身体能力は人間より高く、獣人とは五分五分くらいはあるのだ。ユウはその体を生かし、一気に木の上に飛び乗った。
「ばぁ♡」
「おわぁあああああ!!!!??」
「うるさっ。ビックリしすぎだろ」
「だ、だってよ!…あっ」
「あ。」
「うわああああああああああ!!!!!」
「だからうるさいってば…お?」
ドシャッと音がしてエースが自分の目の前から消えた。エースはユウが急に目の前まで来たことに驚き、体制が崩れ落っこちてしまったのだ。だからといってセベクまでとは言わないがそこそこでっけぇ声で間近で叫ぶのだけはやめて欲しい。鼓膜にも頭にも悪い。まぁ”彼”のおかげで助かったが。
「ありがとジャック。まさか君とエースが同じところに隠れていたとはね」
「…エースが声を出した時逃げようと思ったが…監督生が言っていた条件があったからな…逃げはしなかった。」
「うんうん。さすが真面目なジャック君だねぇー。よしよし偉いね〜」
「…ふん」
わは〜もふもふだ〜幸せだ〜尻尾フリフリしてるぅ〜天国は目の前に…っと。さすがにここで召されるわけにはいかないな。とりあえずこれはジャックが優勝…かな?一応エースの方が見つかるの早かったし。うん。
「それじゃっ、第一回かくれんぼ大会の優勝者はジャック君でーす!優勝したジャック君には監督生自信作洋梨のコンポートタルトの最後の1切れはジャック君にあげまーす」
「クッソー!!」と下から聞こえるが無視。敗者の声は我には聞こえぬ。対して勝利を勝ち取ったのジャックは顔全面にも尻尾にも嬉しさ感が溢れている。いつものクール面はどこへやら、今俺の後ろにいる彼の顔はぱぁあ!!と輝いており尻尾は扇風機の如くブンブン回っていてジャックの後ろの木の葉が揺れている。その姿はまるで仮面ラ█ダーとかウル█ラマンを見た少年のような姿だ。
「さ、皆とりあえず俺の寮に帰ろうか」
「おう!」
「ちぇっ、俺もタルト食いたかったのに…」
「時間があれば簡単クッキーでも焼いてやろうか?」
「お!マジか!サンキュー監督生!」
「時間があったらな?」
「俺様も食べたいんだゾー!!!」
「だから時間が…はぁ…分かったよ!作りゃあいいんだろ作りゃあ!!だから頼むからそんな純粋な目で俺のことを見るな!!!」
「監督生危ねぇ、体制が崩れかけてるぞ」
「あ、ああ。ありがとうジャック」
「降りれるか?手伝うぞ」
「いんや、自分で降りれるから大丈夫だ」
ユウは叫んだ分の不足した酸素をちまちま補給しながらぴょいっと飛び降りた。ちょっとカッコつけたくてバク転で飛び降りたのは秘密だ。下でグリムが待機してくれているから難なく肉球にぷにっとキャッチされる。
「ナイスキャッチグリム」
「このくらい俺様ヨユーなんだゾ!」
「さっすが親分!!」
「おーい、監督生ー」
「お、デュースか」
「誰が勝ったんだ?」
「ジャックだよ」
「そうなのか、俺もタルト食べたかったが…おめでとうジャック!」
「ありがとな」
「早く行こーぜー」
エースに急かされユウ達はオンボロ寮へと向かった。
◇◆◇◆(ここからは会話だけ)
「今日は楽しかったなー!!」
「トランプはな」
「いやおままごとも楽しかったじゃん!!」
「まさかジャン負けでエースが母親になってジャックが父親になるとは…」
「いやジャックはセーフでしょ。問題はエー子だよエー子」
「いやエー子言うなし」
「あれは母親ってよりオカマに近いよな」
「俺から見ても鳥肌が…うっ」
「俺は末っ子だったから結構自由に動けた」
「グリムがまさかの長男とはな…」
「いやーあれは猫版ジャ█アンだったよ…」
「ジャイ█ンって誰だ?」
「こっちの話だから気にしないでいいよ」
「監督生の世界の人か?」
「んーまーそんな感じ」
「でもこの年でままごとをやることになるとはな…監督生の発案じゃなかったら殴ってでも阻止してたぞ」
「俺が発案してなくてもエースを殴るのだけはやめたげな?」
「なんで俺限定なんだよ」
「グリムは寝ちゃったし何しようかなー」
「いやもう寝ようぜ」
「ジャックは健康体過ぎんだよ。もっと夜更かしとかしろ」
「んなもんしちまったら朝体調悪くなんだろうが。勉強とかトレーニングに支障が出る」
「ジャックは大真面目過ぎんね。まぁ1部はエーデュース達も見習って欲しいけど」
「「うっ」」
「じゃあ最後に…次ここにお泊まりする予定を立てよ!」
「ふぁあ…それが終わったら寝ようぜ」
「お前さっきまで俺に夜更かししろだのなんだの言ってきたじゃねぇか」
「グリムが寝てる姿見たら眠たくなってきた」
「同じく」
「はぁ…どうせ監督生に正論言われんのが嫌なだけだろ」
「そそそそそんなことねぇしぃ!!?」
「うるさい」
「はい、すいません」
「じゃあ順番に聞いていくな。まずエース、今度いつ空いてるとか分かる?」
「そうだな…来週の土日は空いてっけど」
「デュースは?」
「僕も土日なら空いてるぞ」
「ジャックは?」
「俺は土曜はマジフト練習とかがあるけど日曜なら空いてるぞ」
「んじゃ決まり。次の日曜日オンボロ寮集合で。あとできればセベクとエペルも予定が空いているようなら呼んできて欲しい」
「了解」
「分かった」
「おう。エペルに聞いておく」
「ありがと3人とも。それじゃあそろそろ寝よっか。あとジャック、君は起きたら俺を真っ先に起こして欲しい」
「分かった」
「よし、ほんじゃおやすみ〜」
「「「おやすみ〜」」」
To Be Continued…
(またお泊まり会の話を作ればおままごとの様子を作ります)
コメント
2件
めちゃくちゃおもろいやん?エペルやセベクも入れてのお泊まり早くみたいわー