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とは言え、凄い偶然がある物ね? ソウダネぇ! 的に適当な会話を交わしたコユキと善悪は、諏訪原城址(すわはらじょうし)を後にしつつ、幾分減ったお腹を擦りながら幸福寺へと帰り着いたのである。
その後、いつもより少しだけ遅い食事を終えた二人は会話を交わした。
「ふぅぅー、満腹満腹よぉ! んで善悪、答え合わせはどうすんの? 今すぐ始めるのん?」
「ん-そうでござるなぁ、んじゃあ先に済ませちゃおっか! 皆、洗い物や露店の準備をする前に本堂に集合でござるよ! ちょっと確認したい事がござるゆえ」
『?』
善悪の有無を言わさないムードの指示に従って、朝食の片付けをも後回しにした幸福寺の面々は、頭の上にクエスチョンマークを浮かべながら本堂に向かうのであった。
本堂に勢ぞろいしたメンバーに向けて、向き合う形で立ったコユキと善悪は言うのであった。
「さて、んじゃあ早速検証作業を始めるでござるよ、まずはカルラ、アムリタの瓶を出してくれるかな?」
カルラが美しい女性の顔を傾げて聞き返す。
「アムリタですか? まあ、構いませんけど、万が一ナーガ共が襲ってきたら皆さん頼みますよ? 倒してくださいね」
少し心配そうな声にコユキが答える。
「なはは、大丈夫だと思うわよカルラちゃん、ほら出して見せて! なははは」
「はあ…… はい、出しましたが、それでどうするんですか?」
「よく見てみるでござるよ? それアムリタ? どう?」
「えっ!」
慌てて乳白色の液体が詰められた小瓶に視線を落としじっくりと観察していたカルラが呆然とした表情で呟きを漏らす。
「ま、まさか…… アムリタに…… ふ、不純物が…… ば、馬鹿な……」
「へ? んな訳無くね? あれ俺達とメットカフー、カーリーが『非生』、全生命体に永遠の命を与える為に作った魔法薬だからさ、物質が混ざるとかあり得ないんだけどぉ?」
デスティニーの否定の声を聞いたコユキは、善悪から渡された洗濯ピンチを受け取りながら、ニヤリとした表情を浮かべて全員に向けて言う。
「まあ蓋を開けて匂いを嗅いでみなさいよ、それではっきりする筈よ」
言われた通り、丁寧に瓶と同じガラス製の蓋を外したカルラは、人型の整った鼻を近づけた瞬間大声で言った。
「く、臭っ! オエェエェッ! これ、完全に腐っていますぅっ!」
この叫びが瓶の口周辺の空気を拡散させたのだろう、周囲に座っていた全員が顔を顰(しか)めて臭い臭いの大合唱が始まるのであった。
痙攣しつつ転がりまわる面々の中から、必死の形相をしつつも魔神の意地だろうか、バアルがよろよろと立ち上がって言う。
「『清潔(クリンネス)』! ふぅー」
スキルのお陰で、いつの間にかカルラの手から滑り落ちて本堂の床に零れ落ちた腐った液体と、本堂中の不快な臭いに侵された空気が一掃されたのである。
善悪とコユキは鼻から洗濯ピンチを外して皆を笑顔で見つめている。
正気を取り戻したカルラは大慌てであった。
「い、一体どう言う事ですか? デスティニー神が言った通りアムリタが腐るなんて…… 考えられない、大事件ですっ!」
コユキはピンチを善悪に返しながらこの問いに答える。
「簡単な事よ、カルラちゃん、アンタが後生大事に守って来たさっきの液体がアムリタじゃ無かったって、そんだけの話なのよ、なはは」
善悪も続けた。
「でござるよ、大方、乳酸菌飲料か何かと入れ替えられていたのでござろうな、誰かが飲まなくて良かったでござるよー、んな物、永遠の命どころか即死飲料でござる、良かった良かった」
善悪の言葉にポカンとした顔を返すのはカルラだけではなく、レグバの四柱とバアル、アスタロトの二魔神も同様であった。
ロットが何とか口を開く。
「入れ替えた、って、一体誰が……」
コユキがさも当たり前の風情で答える。
「そりゃカーリーでしょ?」
「いつもいつもすみません、家の奴が……」
シヴァが妻のやった事を謝る姿も最早見慣れた物だ。
「カーリーが? 一体全体何が有ったと言うんですか?」
「んじゃあ、説明してあげるわね、善悪?」
「うん、でござる! 実は、でござる――――」