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それから善悪が皆に語って聞かせた内容はこうであった。


今朝、諏訪原(すわはら)城で何故だか理由は分からないが、コユキと自分が過去のルキフェルの後継たちの記憶を持っている事実に気が付いた事。

その中に自分達二人の前の、真なる聖女アリシアとその相方のなんちゃって聖魔騎士ラーシュの二人も含まれていた事。

彼らの最後の記憶がカーリー、とは言っても見た目は光影の父である昼夜(ちゅうや)から、乳白色の液体を受け取って半分づつ飲み干した時の物だった事、これらを一気に話したのである。


ここまで善悪に説明を任せていたコユキが言葉を続ける。


「前にカルラちゃんがシヴァ君に言っていたじゃない? アムリタが後一人分だけ残っているってさ! んでピンと来た訳よ、それは偽物ねってね、だって本物はアリシアさんとラーシュさんが半分こして飲んじゃってるんだもん」


「……そう言えば、二十年位前にカーリー様からアムリタを見せてくれって頼まれた事がありましたが……」


「正確には二十六年前だと思うわよ、アタシのカギ棒が二つに増えたのがその頃だもん、きっとその時に入れ替えられたのよ乳清飲料か何かにね、そしてゆっくりじっくり醸(かも)されて腐り切ったのがさっきの即死飲料ってわけよ」


コユキの説明を聞いて次に疑問の声を上げたのはフューチャーであった。


「しかし何故カーリーはそんな事をしたのだろう、前回の周回の説明をしてくれた時にアリシアとラーシュなんて登場しなかったぞ、当然今回の変更点にも入っていないのだが……」


「そうなのでござるか? 真なる聖女に選ばれる位の大物なのにチェックしなかったとか…… チミらとカーリーって些(いささ)か怠慢なのではござらぬか?」


なるほど尤(もっと)もな意見に聞こえる。

適切っぽい善悪の意見を打ち消したのはコユキであった。


「いいえアタシにはその訳が分かるわ!」


善悪が首を傾げてコユキに聞く。


「本当でござるかコユキ殿、どんな訳なのでござる?」


コユキは胸を張ってメッチャ偉そうに言った。


「前回までは出番が無かったのよアリシアさんって! だって前回までのアタシの相方って光影さんで善悪より滅茶苦茶強かったんでしょ? そりゃ相方のアタシだってテンション上がり捲って今回よりも気合の入り方が違ってたのよ、きっと! つまり、前回まではアル中ツミコから直接アタシに真なる聖女が移って来たって事じゃない? それに違いないわよ、善悪が弱っちいお陰で今回日の目を見たのね、アリシアさんとラーシュさんて」


「ちっ、下らない推測でござるよ、ちぇっ!」


アスタロトが善悪を横目でチラ見してからコユキに聞く。


「しかしカーリーは何故貴重なアムリタをその二人に飲ませたのだ? 余程の理由があったんだろうが、一体……」


コユキが溜息と共に答えた。


「アリシアさんの記憶によると、カーリーが二人に話した理由はアンタよ、アスタ」


「我? 我が何? その頃ってまだ魔核だったんだぞ、我って」


「んだから前回の周回の教訓だってば! 大量の蝗(イナゴ)で復活したアンタってば『馬鹿』過ぎて仕方が無かったらしいのよ、悪魔って言うより怪獣っぽかったらしくてね…… 知性の欠片(かけら)も無かったんだってさ! んで、今回多少は話くらいは出来る感じになって欲しかったみたいで、顔見知りで話しやすかった昼夜さんの姿で話を持ち掛けて来たのよ、カーリーがね、んでギブアンドテイクての? アタシ達的にも、じゃなかったアリシアさんとラーシュさんの希望にも沿うってんで実行に移したわけよ」


「か、怪獣か…… 我が…… ぞっとしないな……」


フェイトが首肯(しゅこう)しながら言った。


「確かに前回の話を聞く限り怪獣、というかデカ目のティラノサウルスが極寒の嵐と超高温の爆炎を吹きまくって居ただけだったとか聞きましたよ…… 殺すんじゃなくて魔力を集めろってバアル殿が何度言っても聞く耳を貸さずにグオォー! とか吠え捲っていたとか言ってました、カーリーが頭を抱えながらね」


「じゃあ、今回はマシになったじゃない、良かったねアスタ!」


「ぐぅっ」


バアルの揶揄(からか)う声に言い返せずに悔しそうな唸りを上げるアスタロトであった。

堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

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