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3万字超もお疲れ様でした…!!素敵な作品に出会わせていただいてありがとうございます😌 ほんとに1話から最終話まで最高小説でした😭😭もうずっと感動しっぱなしで、、、最後の方でもう、うおおおおお!!!!ってなりました( ; ; )! ❤️ あらためて本当にありがとうございます!

マジで言いたいことめっちゃあるんですけどありすぎまとまらないです! 本当に感動して泣いちゃいました自分でも小説で泣くなんて思ってなかったのでびっくりです あと時の表現の仕方めっちゃ上手いし、終わり方綺麗すぎません!? 語彙力なくてすいません🙇♀️書いてくれてありがとうございます♪
注意事項(基本前回参照)
※🦸♂️出演あり。rttt以外の要素はございません。(本っ当にうっすらwnkgがあるぐらい)
※本当に何でも許せる方のみ閲覧お願いします
またシリーズ物ですので一からお読みになる事をお勧め致します🙇
前回の続きからいきなり開始します
ここから伏字なし
…目覚める。僕の目の前には、棒立ちのリト君がいる。
彼は目を瞑って直立不動のままだ。
何とか僕は彼の中で生き返る事に成功したのだろう。
深く息を吸って彼に語りかける。
「やぁやぁリト君、さっきぶりだね」
僕の少しカッコつけた声に彼は目を覚ました。彼は少し驚いたような顔をしてこちらを見ている。なので僕も言葉を続けた。
「いや〜相変わらず優しいね君は。でも僕を庇いながら戦ったせいで命を落としたら元も子もないだろ?それにヴィランになった僕にさえトドメを刺せないどころか抵抗もできないなんて…。でもそんな所が好きだからな。僕は叱れないや」
リト君を抱きしめ、彼の匂いを感じる。あの日向のような匂いは健在で、僕はこうしていられるだけで満ち足りてしまう。
「懐かしい匂い…。あ、そうだ。久しぶりついでにちょっとした未来話に付き合ってくれよ。」
あくまで自然に本題へ繋げる。彼に死ぬなとか、KOZAKAーCを殲滅するなだとか、そんな大きな影響を与える言葉は言えない。突如現れた丸椅子に腰掛け、直立したままのリト君を見上げる。やっぱりいい男だ。見惚れながら僕は思い出を語る事にした。
「君の所のマナ君は今何歳かな?まぁとりあえず、マナ君は現在進行形で歳をとっているだろ?それからウェン君とリト君は不老であって不死ではない。僕だけが今の所、東で唯一永遠の命を手にしてるって訳だ。」
できるだけ穏やかな顔を心がける。僕の本心を悟られないように。それでも君に勘づいて欲しいから、少し悲しい顔で笑う。
「例えばさ、これから何十年か先に、僕らにお別れがあるとしたらきっと、1番早くて分かりやすいお別れはマナ君だ。きっと彼は死ぬ間際まで看護師さんたちを笑わせる愉快なお爺さんになってるんだろうな。僕よりダンディな声になってたりして。彼が喜ぶ一番のお見舞いの品は僕ら考案のダジャレだね。断言する。」
泣かないようにしなきゃと気を張っていたが、マナ君が僕に遺してくれた言葉を思い出し自然と笑顔になる。
「「好きな子寝盗られんようよーく俺の教訓教えといてくれ」」
それはマナ君が直接教えるべきだ。でもマナ君は死ぬ直前まで、これから先を永く生きる僕を思って、僕を生かす理由を作る為にこの言葉を贈ってくれたんだろ?気づくのが遅くなってごめんね。もうすぐそっちへ行くよ。
「次にリト君とウェン君。見た目は今となんら変わってないだろうから、君らの方から「そろそろ寿命っす」って言ってもらわないと僕分からないよ?でもきっとウェン君は寿命より先に肝臓やられてお釈迦になりそうだよね。まぁそんな事があったらマナ君は徹底的にウェン君の栄養管理に務めてそうだけど。」
でも何回未来を変えても、ウェン君の肝機能の健康診断の結果Aだったんだよな…。本当に才能というか、ハイボールが健康の秘訣とも言える結果だ。彼が倒れたら点滴をハイボールにしてもらった方が良いかもしれない。
でも元の世界線の彼は寿命いっぱい生きる事は叶わず、KOZAKAーCによって命を落とした。
…でも僕は寂しくないよ。もう会いに行けるからね。
「……そして、リト君は…。死ぬその日の朝まで僕に隠して、仕事だって嘘ついて出かけて、僕に行ってきますのキスをして、そして、二度と帰ってこない。」
本当は1度だけ、リト君をKOZAKAーCから殺されずに済んだ未来に変えることができた。同期全員の命を犠牲にして。その後の僕らはヒーローを辞めて田舎で細々暮らしてたけど、結局…。君は僕に最期の姿を見せてはくれなかった。
どの未来も、僕の理想通りになんてならなかった。
あぁ、ずっと前にそんな曲があったっけ。林檎を食べて、生まれ変わってやり直せるお話。
確かあの曲も元の世界が1番だって気付いて一番最初に戻るんだよな。
…僕も戻りたい。マナ君のひ孫に会いたいよ。でも現実はそう甘くない。だからもうこうするしかないんだ。
───僕の最後の計画の全貌はこうだ。
佐伯イッテツはKOZAKAーC殲滅計画の途中でデバイスが暴走し、仲間を殺そうとしてしまう。その結果ウェンマナは行動不能、リト君は意識不明、僕はリト君からの返り討ちに合い出血多量。最高戦力のヒーロー8人中4人が居なくなった事で計画は中止となる。そして僕のデバイス暴走の原因が不老不死と繋がりがあると分かり、解決策を探るため殲滅の道から研究の方向へ舵を切る事となった。
そう、未来から来た僕が悪役になるだけで。この手で大事な同期を傷つけるだけで、全てが上手くいくようになっていたのさ。やっぱり僕って天才なんだよね。これによって多分この時代の僕は処分を受ける可能性もあるけど、まぁデバイスの暴走なんだから謹慎食らうぐらいで済むでしょう。
て事で、僕は早いところリト君から抜け出して未来に帰らなくちゃ行けないんだよね。そしてこの作戦が成功していれば、僕は未来に帰ったら消える。だってKOZAKAーCの研究が進むって事は、不老不死の解呪もされるって事だから。
涙を拭い、彼に向き合う。
…最期ぐらいカッコつけさせて。
「なぁリト君。永遠の命を持ってしても、僕にとっては君と居られないんじゃ意味が無かったんだよ。だから君は少しでも長生きできるように、タバコを吸ってる僕には近寄らない、それからカフェインは取りすぎない、これ徹底して。」
椅子から立ち上がった僕は彼の胸に手を当て、耳を当て、鼓動を感じ取る。今は君が生きてる事がただただ嬉しい。君が寿命を全うできる未来を創れるなら悪役だって悪くない。それどころか最高だ。
「…そっちの僕に会ったらさ、言ってやってよ。
タバコ高くなるから今のうちにカートン買いしとけって」
カッコつけようと思ったのに欲が出たな。…そっとリト君から離れ、光が差し込む方へ歩こうとした。でも、死ぬ前にもう少しだけ欲を出したくなった。
「ごめんやっぱりっ」
そう言いリト君に口付けをする。…我慢できないなんて、元の世界の、天国にいるリト君に怒られちゃうね。
目の前にいるリト君をポンポンと撫でた。ずっと不思議そうな顔をしている彼に笑いかける。
「今度こそお別れだ。リト君。せいぜいそっちの僕を幸せにしてみてくれよ?まぁきっと僕も君を幸せにするけどね。あっ!勝負しようか!どっちがより互いを幸せにしたか勝負!約束だぞ!!」
そう言いながら彼の意識から出ていく。どうやって?とかそういう質問には企業秘密と答えておこうか。不老不死は何だって出来るんだよ。好きな人の前でカッコつける事だって、寂しいって言わないようにする事だってね。出来るんだよ。泣かないようにする事だってっ…。簡単すぎて泣けてくるね…。
リト君から出てきた僕は、リト君の上で血を流し冷たくなっている体には戻れなかった。まぁ死体に戻れたら大問題か。仕方なく意識だけの状態で洞穴へ向かう。この意識が100年後に帰れば、100年前の僕はまぁ残機を使ってどうにか復活するでしょう。詳しい仕組みとか、僕が何言ってんのかは分からないだろうけど、そこは残機持ち特有のご愛嬌という事にしてくれ。
もうほぼ隙間のない洞穴を幽体で通り抜ける。そして未来へ舞い戻り、新しい記憶をインプットしていく。この戦いの行方、ウェン君とリト君の生死、マナ君の今後、そして僕の呪い。
「…よくやったよ。佐伯イッテツ」
段々と意識が遠のいていく。
そして暗転。
この物語の続きは、今を生きる彼らに語って貰おうじゃないの。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
宇佐美side
「っ……───!!」
「────!!!」
「───リト君!!!」
「っ…はぁ」
目を覚ます。白い天井を確認するより先に、左右にカラフルな色が見える。涙目のマナ、「先生呼んでくるっ」と駆け出して行ったウェン。そして泣き腫らした目とグズグズの鼻水で男前が見るも無惨になっているテツ。ベッド後方にはロウやるべ、ライとカゲツまで居るようだ。
🌩「……腹減った」
👻「…なんだよ、随分元気そうじゃん」
🐝「俺っ…おれ本当に…もう目ぇ覚まさなかったらどないしよって…っ」
💡「マナを泣かせた罪は重いよ?もうちょい元気になったらマナに謝ってね」
🐙「目覚めて良かったです。ほら、カゲツも泣いてないで何か言ってやって下さいよ。」
🥷「泣いてない!…っおいうさみ!心配させんなや!!」
🌩「悪かったよ…ごめんな。ありがとう」
すぐにウェンが医者を連れて帰ってきた。
🦖「もーメンズ達!リトが起きない訳ないって言ったでしょ?わんわん泣かないの!テツ、診察あるからちょっと離れよう?謝るのはまた後で。」
🤝「うっ…うぅ…っ。、、」
テツはウェンに抱えられながら同期と共に病室の外へ行ってしまった。
…あぁ、俺テツに首締められて、夢の中で色々話したような…どうしたんだっけ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
医者の話によると命に関わるような外傷は特になかったそうなのだが、俺の吸ったタバコの煙?が特殊な物だったらしく、5日ほど意識が戻らなかったそうだ。テツは戦闘中にデバイスが暴走を起こし、俺だけでなくマナやウェンにも攻撃的だったようで、今は謹慎中&デバイスの不具合と不老不死の呪いとの関連を調べるため本部へ通っているそうだ。
俺は5日目覚めなかった自分の身よりもテツに何があったのかが心配で堪らず、早く退院させて貰えるようにお願いした。本当はテツにまだ危険性があるとして病院や俺の病室へは入らせないようにと上から命令されていたそうだが、マナ達が頭下げてどうにかテツを俺の近くに置いてくれたそうだ。本当に感謝しかない。
あの時、テツに首を絞められても尚俺は抵抗が出来なかった。それどころか苦しむ俺を見て恍惚の表情を浮かべる彼に少しときめいてしまっていた。でも今思うとあの時のテツはまるで別人のような雰囲気を纏っていて、確かにテツだったのに違うような、そんな気が…
「「……これが最後のタバコだなんて、ちょっと後悔かも」」
…あいつそう言ってたよな。最後って…禁煙でもするのか?病室のベッドの上で独り思い悩む。そうしているとナイスタイミングでウェンが入って来た。
🦖「入るよ〜?検査終わったって先生言ってたから、着替えと旦那さんお持ちしましたー!」
声高らかにウェンが入出したかと思えば、右手にはボストンバッグ、左手にはテツの首根っこを捕えていた。
🦖「テツからお話したい事あるんだって。でも上からさ、テツとリトを2人きりにさせないでってお達し貰っちゃってて。だから僕が立会人ね」
ウェンはそう言いながらよいしょとバッグとテツを置き、自分はベッドサイドの丸椅子に座る。テツは置かれた所で正座をしており、一向に俯いた顔を上げる気配がない。
🤝「……っ。」
彼の膝に置かれた手が震えている。そして彼のズボンが色濃くなっていく。テツは泣いているようだった。
🦖「はぁ…。泣き止んだから連れてきたのに、振り出しじゃんテツ」
🤝「…………」
🌩「……ウェンは相変わらず高火力な。テツから話せないなら、俺から1個聞きたい事あるんだけどいいか?」
テツはゆっくりと頷き、長袖で涙を拭う。
🌩「…テツ禁煙でもするのか?」
🤝「……は、」
あまりに予想外の言葉だったのかテツの口から音が漏れる。ウェンも俺が何を言いたいのか分からないようで首をかしげている。
🦖「え?何が言いたいの?テツに殺されかけたから禁煙させて仕返しでもしようとしてんの?」
🌩「俺けが人なんだからもう少し火力抑えてくれても良くね?」
👻「無駄だろ。こいつ自分が怪我して尚更火力上がったからな。自分の体内部から焼き尽くしてんじゃねぇの?」
ロウが水を持って病室へ入ってくる。床に正座しているテツにそのペットボトルを渡す。
🦖「ロウきゅん!!」
👻「ロウきゅんって呼ぶな。ほらイッテツ、これマナから。ずっと泣いててそろそろ干からびるだろうから飲めって伝言。」
テツは無言で受け取り、カスカスの声でロウに「ありがとう…」と呟く。
🦖「ロウきゅん居るなら僕居なくてもいっか!カゲツきゅん心配だから戻るね〜!」
そのままさっさと病室を抜け出したウェン。ロウも一瞬ツッコミを忘れて唖然としている。
👻「いや俺別に長居するつもりは…てかロウきゅんって呼ぶな……。はぁ。」
頭をくしゃくしゃと掻き、さっきまでウェンが座っていた丸椅子に腰掛けるロウ。5日顔を見ない間にだいぶ老けたようにも見える。
🌩「…ごめんな。俺が倒れたから色々背負わせたな。ウェンの相手とか。」
👻「本当だよ…ギャルの相手が1番体力消耗するわ…」
🤝「………本当にごめんさい」
か細い声の方に向き直ると、土下座したテツの姿が見えた。揃えられた指先は未だに震えているようで、見てるこっちが謝りたくなってくる程のオーラを纏っていた。
🤝「それから…さっき言ってた禁煙の意味も…ちょっと分からない。…っ僕、許されないんだけど、リト君達を傷つけた時の事何も、何も覚えてなくて…。本当にごめんなさい。」
とうとういたたまれなくなった俺はロウの制止も振り切り、ベッドから降りて床に伏せているテツに覆い被さるように抱きついた。
🌩「…もういいから。謝らなくていいから。覚えてないのは、テツの頭も俺らを傷つけた事なんて覚えてたくないって事だろ。テツが俺らをどれだけ大事に思ってくれてるのかぐらい痛いほど分かってるから。だから…笑ってくれよ。俺、いつまでもテツが泣いてちゃ、元気になれねぇから。」
何故か俺まで涙が出てきた。夢の中でもテツに抱きつかれたような気がするが、やっと本物のテツと触れ合えたような、そんな嬉しさがあった。
👻「…取り込み中悪いけど、俺からも補足。イッテツが言うように、あの戦いの最中の事は何も覚えてない。これは検査してイッテツが嘘をついている訳じゃない事も証明されてる。それでデバイス発案者と上からの見解は、イッテツの不老不死の呪いとデバイスの残機の力が悪い方向に噛み合って、別の時間を生きるイッテツと繋がってしまったんじゃねぇかって話。まぁ確証はないし、「佐伯イッテツ」って存在が同期を傷つけたのも事実だから、謹慎がてら諸々本部で検査中。これがリトが寝込んでた5日間の概要な。」
頑張って泣きやもうとしてくれているテツの背中を擦りながら、ロウに感謝を伝える。
🌩「ありがとな、ロウ。…でも確かに、別の時間を生きるイッテツだとしたら俺ちょっと心当たりあるわ。多分5日間?寝てる間に見た夢なんだけど、テツが一方的に俺に話しかけてきて、その時のテツの雰囲気がなんか、ちょっとテツと違ったっていうか、大人びてたっていうか…。まぁこれこそ確証ないけどな。」
ロウは椅子に座り足を組んだまま何か考え事を始めた。そしてふらっと立ち上がり、部屋の外へ向かう。
👻「先生にリトを本部へ連れてっていいか聞いてくるわ。その話とか戦闘中の状況とか、研究に使えるはずだから直接行って話せよ。この研究、本部がやってるから胡散臭く感じるけど、多分上手くいけばイッテツの呪いが解ける。」
そう言い病室の扉を開けたロウにテツが声をかける。
🤝「…っちょっとまって、僕、リト君と2人になっちゃ駄目って…」
👻「あー、知らんわ。俺がイッテツに危険は無いって判断したから。襲われたら叫べよーリト」
ロウはさっさと出て行ってしまい、病室には床に座り込む男2人が残された。
俺はそっと立ち上がり、テツに椅子を差し出す。テツはゆっくりとその椅子に座り、俺を見上げた。
──瞬間、夢で見た光景がフラッシュバックする。それと同時に話した内容も鮮明に蘇ってくる。
ふらふらとベッドに倒れ込むように腰掛けると、テツが慌てて俺に近寄ってくる。
🤝「っリト君!?大丈夫?立ちくらみかな…先生呼んで来ようか?」
🌩「いや、大丈夫だ。…ちょっと思い出しただけ」
🤝「思い出した…?」
🌩「…目覚めなかった時に見てた…夢?」
そこで俺は夢の内容を軽くテツに話した。マナやウェン、それから俺の最期について色々話された事を。
🌩「あぁ、それとタバコ高くなるからカートン買いしとけって伝言」
🤝「…僕にその記憶が無いって事は、やっぱり別の時間軸の僕がリト君の夢に出てきて、尚且つみんなに危害を加えてたって事なのかな…。でもだとしたら、よくみんなを傷つけた後にそんな伝言残せたな。その時間軸の僕をぶん殴ってやりたいよ。」
🌩「んー、どの時間軸のテツであっても俺らを傷つけたりなんてしない気がするんだけどな。余程の理由があったとしか俺は考えられない」
🤝「今の所、危害を加えた僕の事まで信じてるのは君だけだよ。」
テツは少し寂しそうな顔をして俺に笑いかけた。
彼も身に覚えのない罪を糾弾され続けて精神を消耗しているように見えた。しかもその罪が自分の大切な仲間を傷つけた事だと分かり、テツはきっと誰よりもショックを受けている。
とにかく、時間軸がどうとか、目的とか、事実どうこうよりも先に俺がすべきなのは、今目の前にいるテツを信じてやる事だ。というか俺にはそれしかできない。
変わらず下を向いているテツの頭を撫で、俺はできる限りの笑顔を浮かべる。
🌩「なぁ、元気だせって言ったって難しいかもしれないけど、もう自分の事責めるなよ。今日この瞬間からは俺も一緒にテツのした事を背負うから。というか、俺はずっとお前の味方だよ。例え誰にも許されないような罪を犯しても、お前が悪に堕ちようとも、ずっと。」
テツは驚きを隠せないと言った表情でこちらを見つめてくる。そして呆れたような顔で笑われた。
🤝「……っふ。それはちょっと解釈違いかな。僕がヴィランになったら、リト君は僕を殺してでも止めなきゃ。」
🌩「…元はそうする覚悟があったんだけど、今回お前に襲われて、殺すどころか反撃すらできないって分かっちゃったからなぁ。止められねぇかも」
🤝「夜は思い切り抱いて傷つけてくれるのにね」
🌩「それとこれは…//」
テツから予想外の言葉をかけられ俺の方がたじろいでしまう。第一殺す為に傷つけるのと好きな気持ちが抑えられなくなって噛んだ結果傷つけるのとでは全然違うだろ。ってそんな事が言いたい訳じゃ…。
返す言葉に困っていると、タイミング良くロウが病室に戻って来た。
👻「リトもう退院でいいってよ。日常生活送るのに不便な事もあるから何日か入院してんの勧めるって先生言ってたけど、どうせイッテツが一緒に居て看病すんだから早く帰れた方がいいだろ?」
🌩「あ、あぁ。極力早く帰りたい。ありがとなロウ」
👻「何もしてねぇよ。ほらイッテツ、バッグにリトの荷物詰めようぜ。さっさと退院させるぞ」
🤝「あ、あっうん!」
まだ赤い目元を擦り、ロウと一緒に退院の準備をしてくれるテツ。
🌩「…テツがヴィランになったら、か。」
同じ病室に居る2人にも聞こえないような声でそう呟き、数日前に襲ってきたイッテツの姿を思い浮かべる。…俺にタバコの煙を吸わせ、首を絞めてきたテツは、間違いなくテツだった。でも俺が反撃出来なかったのは彼だったからという理由だけではない。
あの時、俺は首を絞められているのに、目の前に居るテツから殺意を少しも感じなかったのだ。むしろ恍惚の表情を浮かべ俺に跨る彼は、むしろいつもの行為中の様子を思わせるまであった。俺も気づいたら脳に酸素が届かない状態になっていて、気づいたら5日の時が過ぎているのだから驚きだ。
もし別の時間軸のテツの仕業だと確定したとして、今俺の目の前にいる現代のテツに濡れ衣を着せ、自分はかつての仲間を自らの手で傷つけてまで彼がしたかった事とは何なのだろうか。その答えはきっと、今のテツにも分からないんだろうなとやるせない気持ちを抱えた。
〜〜〜〜〜〜〜〜
🐝「そんじゃリトの完全復活兼テツの解呪達成を祝って〜!!!」
🦖「せーのがさんし〜〜!!!」
「「かんぱーい!!!」」
あれから1ヶ月が経ち、あまりにも回復が早すぎる俺は入院前と何ら変わらぬ体に戻る事が出来た。そして謹慎がてら本部の怪しい研究に協力し続けたテツは見事自分にかけられた冤罪を晴らし、今から100年後から来た佐伯イッテツの仕業であると突き止めた。
そしてロウが予想した通り、本当に不老不死の呪いを解いてしまうという快挙を達成した。今日はそのお祝いという事で8人で集まっている。
🦖「テツおめ〜!今まで通り戦ったら死ぬから気をつけなね〜」
🐙「ウェンは容赦ないですね…でも本当におめでとうございます。悠久の時を共に過ごせないのは寂しいですが」
👻「そうだな。もう+∞の自己紹介も聞き納めか」
🥷「佐伯の事やしまた呪われそうやけどな」
🌩「言えてる〜俺的にはもう勘弁して欲しいんだけどな」
テツが俺らから色んな言葉をかけられあわあわと返事に困っている。そんな中、マナはとある質問を投げかけた。
🐝「結局、テツは歳とるのと不老になるの、どっちにしたん?」
今回解呪に伴ってただの21歳と化したテツだが、そこから毎年歳を取るのか、それとも俺やウェンのように不老になるのかを選べるようになったそうで、テツは既に誰に相談もせず決めているようだった。
🤝「僕は…リトくんとお揃いがいいから不老にしたよ」
🐝「そうか…グスッ良かったなぁ…って!?結局オリエンスの歳取る枠俺だけやん!?」
🦖「ははははっw仲間外れじゃーん」
🌩「まぁそれがマナの良さだろ。市民だって1番親しみやすく感じてくれてるよ」
💡「そうだよーウェン言い過ぎだってwほらマナ元気だして〜」
🐝「ライだって歳取らんやん…!!」
まだ少し拗ねるマナをライに任せ、俺は酸素の薄くなった部屋から逃げ出すためベランダへ出る。テツも俺の動きに気づき、タバコを持って追いかけてきた。
🤝「君も一服かい?病み上がりはやめておいた方がいいと思うけどね」
🌩「違ぇよ。ちょっと外の空気吸いたいだけ。…てかお前こそ、もう残機なんて便利なもん使えないんだから、タバコ控えないと肺が持たないぞ。」
🤝「ははっ。耳が痛いね」
そんな事を言いながら控える様子もなく電子タバコを吸い始めるテツ。手に握りしめるスティックには充電の残りを知らせるライトが煌々と輝いている。
🌩「…ねぇ、俺もそれ吸っていい?」
テツは驚いた顔をしてこちらを見る。
🤝「駄目だよ。またタバコが原因で倒れられたらたまったもんじゃないって」
🌩「…冗談だよ」
🤝「あんまりそう言う事言うもんじゃないぞ?」
🌩「だって…。今までは何だかんだ言って、どれだけお前が無茶な事したって呪いがあるから死なないって。どこかでそう思ってたんだよ。それが、今、呪いが解けて、俺すごい嬉しいはずなのに、急にお前が、いつだって居なくなる可能性があるんだって実感して。…やっとお前と同じ速度で生きていけるようになったのに、こんな事考えるなんて最悪だよな。」
一気に言えなかった不安が溢れ出る。これからはもっともっと俺がテツを守らなければいけないんだと覚悟したは良いものの、俺の弱い心はその気持ちに呼応してくれないようで、情けない泣き言をテツに聞かせることになってしまった。
テツは俺の言葉を聞いて、タバコを1口吸う。そして電子タバコの電源を切ったかと思うと、俺の顔に向けて煙を吹きかけてきた。
🤝「…これ、未来の僕にやられたんだろ?君に聞いてから僕嫉妬でどうにかなりそうだったんだから」
自分に嫉妬してんのか?とツッコミたかったが、テツがあまりにも真剣に言葉を紡ぐため水を刺せなかった。
🤝「ねぇ、僕はタバコやめないよ?それにこれからは君を無理に長生きさせて、不老不死の僕に付き合わせる必要も無くなったんだから、ガンガン君の横で吸うからね?…それにさっきみたいなお誘いも…これからはしていくから。覚悟しといてよ」
少し頬を赤らめて彼はベランダからの景色を眺める。
…そっか。テツはテツで、俺と少しでも一緒に過ごす為に色々気を使ってたんだな。我慢してたのは俺だけじゃないのかよ。
🌩「…っふw」
🤝「…何だよ」
🌩「俺、テツの事好きだよ」
🤝「…っは?き急にどどうしたんだよ」
🌩「言いたくなっただけ。テツは?」
🤝「そ、っそんなの言うまでもないだろ」
🌩「言ってよ」
頑なに俺の方を見なかったテツだが、俺がそう言うと静かにこちらを向き、赤くなった頬を手で擦りながら言葉を放つ。
🤝「…君が好きだよ」
🌩「君って?」
🤝「っ…リト君だよ//」
俺はテツの唇を奪った。ひどく寒いはずなのに、互いの体温が接している部分から伝わり、飽和し熱を持つ。カーテンがあるとはいえ同期に見られる可能性もあったが、もうどうでもよかった。
好きな人と同じ時を過ごす。それが俺らにとってどれだけ難しく、不可能で、それでも幾度となく願った事か。
今はただ言葉に出来ないほどの喜びと幸せを、彼に触れて伝えた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
その後俺らは本部が進めたKOZAKA-Cの研究を元に効果的な対処法を生み出し、無事に殲滅させる事が出来た。その時点でマナはもう30代も半ばに差し掛かっており、体力面や今後の人生を考えた結果、本人の意向でヒーロー業を引退する事になった。とはいえ別に俺らが会う頻度はあまり変わらず、毎月のように集まって飲んだりゲームしたりと楽しい日々を過ごしている。その数年後にマナは信頼できる人と出会えたようで、俺ら立ち会いの上で結婚式をあげた。テツは式場で俺が5日目を覚まさなかった時並みに泣き腫らしていて、ウェンと一緒に笑い倒した。
今はほぼ警察と仕事内容が変わらなくなったヒーローは新しい人員を募集する事もなく、一時だけの職業となった。不老の俺らはそれぞれの人生を楽しみ尽くしながら、最後までヒーローとして生き、その寿命を全うする。
当然俺はテツと最期の時まで愛し続け、俺は念願の、テツの死を看取る事が出来た。テツ最期の言葉は
「…リト君、ちょっとコンビニでタバコ買ってきてさ、棺桶に入れといてくんない?」
だった。死ぬ所を見られたくなかったようだが俺は断り、
「俺がお前の棺桶入るから無理」
と返した。テツは満足そうに笑って目を閉じた。本当に眠るような最期だった。
その後俺もすぐに寿命を迎える。
これが俺の、元不老不死に恋したヒーローの物語だ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
そんな恋物語から100年後のとある公園。
お父さんと水色のメッシュが入った金髪の少年がかくれんぼをしていた。少年の方が、お父さんに見つからないよう隠れ場所を探している。
やっと見つけたいい隠れ場所。そこには子供が入れるぐらいの洞穴があった。その中には、「ご自由にどうぞ」と書かれたダンボールが置いてある。
気になった子供は中を覗く。すると中には香水のようなアクセサリーを始めとした輝かしいおもちゃと、可愛い黄色の人形が入っている。そしてその箱の底には
「かくれんぼ、見つけてあげられなくてごめん」
と書かれた紙があった。
少年はかくれんぼをしていた事も忘れ、そのダンボールを持って父親の元へ走り出す。
「ねぇ父ちゃん!これ!ご自由にどうぞって!めちゃめちゃかっこいい玩具ぎょうさん入ってんねん!貰ってもええやろ!!」
「んーええけど…これ、きっと誰かさんが大事にしとったもんやで?代わりにちゃんと大事に出来るんか?」
「できる!俺は未来のヒーローやし!」
「おう!なら貰うとき!」
少年は香水瓶にも見えるアクセサリーを首にかけ、黄色い人形を右手に、父親に左手を引かれ家路に着いた。
ダンボールの底にあったメモの裏には、差出人と思しき人のメッセージが綴られている。
「未来の君へ、有限の命を掴んだ僕から。」
これにて「不老の君へ、永遠の命を持つ僕から」完結とさせて頂きます!!
いや〜長かった。トータル3万越え!
読んでくださった方もお疲れ様でした🙇
またrtttメインで書きたい!