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番外編3 です 。
新章 第一章 に 注意事が書かれています。まだ其方を読んでない方は先に読んでから此方を読んでください。
「……総統様。」
怜が執務室の扉を開ける。
「どうしたの?」
瀬麗梛はいつも通り、ふわふわと笑った。
「少し報告が――」
「……?」
怜の視線が止まる。
瀬麗梛の手首に、薄い痕が残っていた。
「それ、どうしたんですか?」
「これ?」
瀬麗梛は自分の手首を見る。
「転んだだけだよ。」
「……本当に?」
「うん。」
怜は何も言わなかった。
ただ。
目だけが、冷たくなる。
その日の夜。
「……やっぱりおかしい。」
怜が呟く。
そこには來執、瀬凪、隋星もいた。
「総統様、最近あの部下を避けてますよね。」
來執が言う。
「うん。」
「僕、ちょっと調べてみました。」
隋星が書類を机に置く。
「……。」
四人が目を通す。
そこには。
総統である瀬麗梛に対する侮辱。
仕事の押し付け。
人前での威圧。
そして――
**『弱い総統など必要ない』**
という記録まで残っていた。
「……。」
怜の手が震える。
「これ、全部あいつが?」
「はい。」
隋星が頷く。
「さらに、国の情報を外部へ流していた証拠もあります。」
「裏切り者……。」
瀬凪の表情から、いつもの軽さが消える。
來執も笑っていた。
けれど。
その笑顔は、いつものものとは違った。
「……総統様に手を出した上に。」
「国まで裏切ってたんだ。」
翌日。
幹部会議。
例の部下も出席していた。
「総統様。」
男が口を開く。
「昨日も申し上げましたが、あなたは総統として――」
「そこまで。」
怜が遮った。
「……何だ?」
「これ以上、総統様に対する侮辱は許しません。」
「怜。」
瀬麗梛が止める。
「大丈夫だよ。」
その瞬間。
隋星が書類を机の上に置いた。
「では。」
「……?」
「こちらについて説明していただけますか?」
男の顔が青ざめる。
そこには。
横領の記録。
機密情報の流出記録。
そして瀬麗梛への嫌がらせの証拠。
「な、何のことだ……!」
「全部、確認済みです。」
隋星が静かに言う。
「言い逃れはできませんよ。」
「ま、待て!」
男が立ち上がる。
「俺は国のために――」
「国のため?」
瀬凪が笑った。
「じゃあなんで総統様を傷つけたの?」
「……!」
「総統様は何も言わなかった。」
瀬凪の声が低くなる。
「でも俺たちは見てたよ。」
來執も続く。
「総統様が笑って誤魔化していたことも。」
「……。」
「一人で耐えていたことも。」
「……。」
「全部。」
怜が一歩前に出る。
「あなたは、総統様が弱いと思っていた。」
男が怯える。
「ですが。」
怜は冷静に告げた。
「それは間違いです。」
瀬麗梛が顔を上げる。
「怜……。」
「総統様は優しいから、あなたを罰することを躊躇った。」
「……。」
「でも。」
怜は男を見る。
「俺たちは違います。」
そして。
隋星が最後の書類を出した。
「処分は決まりました。」
「……!」
「幹部職の剥奪。」
「……。」
「国外追放。」
「そんな……!」
「加えて、流出させた情報については正式に調査します。」
男は何も言えなくなった。
男が連れて行かれたあと。
部屋に静寂が戻る。
「……。」
瀬麗梛が四人を見る。
「みんな。」
「はい。」
「……ありがとう。」
怜が少しだけ表情を緩める。
「当然です。」
來執が笑う。
「総統様を傷つけた人を、そのままにするわけないじゃないですか。」
瀬凪も頷く。
「でも。」
「?」
「もう一人で我慢しないでね。」
「……。」
瀬麗梛は少し困ったように笑う。
「僕、総統なのに。」
「関係ありません。」
隋星が即答した。
「総統様だろうと、僕たちの大切な仲間です。」
「……。」
瀬麗梛の目が少し潤む。
「そっか。」
そして。
「じゃあ、これからはちゃんと言う。」
「はい。」
「約束ですよ。」
「うん。」
四人が笑う。
その日。
国を裏切った者は裁かれた。
そして瀬麗梛は――
もう一人で傷つくことはない。
**四人の幹部が、誰よりも近くで総統を守っているから。**
**――短編・完――**
#AVSO
空羽
526
りと。@(つ∀-)オヤスミー
17,426
#ご本人様には関係ありません