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「あ…あははは!!急にどうしたんですかー?店長のことですか?もちろん好きですよー!!仕事ができて、素敵じゃないですか!もちろん、この職場の皆さん全員好きですけど!!」
にっこりと満面の笑顔で余裕たっぷりに答える。
店長のことを『好き』と言った時には、内心顔から火が出るくらい恥ずかしかったが、ぐっと表情に出すのを堪える。
我ながら完璧な答えだった。みんなが思い描く、素直で純粋な『私』を演じきった。
これで彼女も納得するだろう。そう、心の中で勝ち誇る。
「……そういう意味じゃ、ないんだけどなぁ。」
彼女を纏っていた雰囲気が…変わった。
うまく言えないが、仕事中のふわふわした彼女とは明らかに違う。
思いもよらない変化に、さすがの私もたじろいでしまう。
「え…えーと、雛瀬さん?わ、私…急いでいるので…」
「いい加減、嘘付くの止めたらどうです?気づいてないとでも思いました?」
――ジャリ、ジャリ――
砂を確実に踏みしめながら、ゆっくりと近づいてくる彼女。
月明かりに照らされた顔には、妖しい笑みが浮かび、艶やかさが増している。
あまりの美しさと、変わり身に背中を向けることが出来ず、固まってしまう。
かろうじて後ずさることはできる。しかし、彼女の距離を詰める速度の方が上だった。
「いくら周りを誤魔化しても…私は騙せませんよ?だって…」
少しずつ縮まる彼女の身体が、私と0センチの位置に来た時――
私の中である確信が生まれた。
「私も…同じだから♪」