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細くて白い人差し指を私の唇にそっと押し付け、悪戯っぽく笑う。
彼女の声と共に、甘い吐息が私を覆う。それだけで、私の頭は麻痺したみたいに再び真っ白になる。
信じられないという気持ちでいっぱいだった。彼女が言う同じ、とはつまり私みたいに猫を被っているということだろう。
目の前で別人みたいに微笑んでいる彼女を見れば分かる。
「あら、驚かせすぎたー?ふふ、お子様には刺激が強かったわね。」
彼女は、くす、と笑うと私からすっと離れる。
その余裕な態度に、私の思考は徐々に冷静な気持ちを取り戻していく。
この女には負けたくない。そう思った。
「…なーんだ、バレてたんですね。じゃあもう止めます。めんどくさいんで。」
負けじと、黒い笑顔で対抗する。
彼女は、一瞬目を丸くして驚いたが、やがて挑戦的な視線を投げかける。
「ふふ、それが貴女の本性ってわけね。思った以上に可愛げがないこと。」
トゲのある言葉に感情的に言い返しそうになるのを必死に抑え込む。
「別に、今更可愛く思われようとしないんで。それで、いつから分かってたんですか?」
すると、彼女は面白そうに顎に手を当て、首を傾げてた。
「それは…貴女の本性に?それとも、貴女が店長を好きだということに?」
「は!?ちょっ…私は別に店長のことなんかどうでも…」
しまった、と思った時にはもう遅い。冷静さを失った時点で私の敗けだ。
初めて人に対して敗北感を感じた。
しかしそんな私の様子も、彼女は大して気に留めてなかった。
表情を崩さないまま、落ち着いて答える。
「まあいいわ。教えてあげる。正解は、最初から。大人の勘ってやつよ。あと、貴女が妙に私と店長が話してるのを切なそうに遠くから見つめてたのも知ってたわ。」
「っ!?」