テラーノベル
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nkkr オメガバース
アルファnkとオメガkrです
※暴力、軽い流血表現、Rシーン注意
ちょっと愛が無い
途中nkが酷い男になってますが、バッドエンドではありません
朝に目が覚めたとき、体が重かった。
カレンダーを確認すれば、前回からほとんど3ヶ月。ヒートだ。
すぐに抑制剤を飲みベッドに戻る。番もいないから、一人で耐えることしかできなかった。
最悪の7日間。恋人がいれば、番がいればどれだけ楽だっただろうか。そんなどうしようもないことを考える。劣等種のオメガの中でも更に珍しい男。好き好んで抱くやつなんて会ったこともない。別に抱かれたいとも思わない。自分の性別を伝えるよりも、一人で耐えるほうがずっとマシだった。
熱い体を抱え、一人で蹲る。次に薬を飲めるのはいつだ。時計を確認するために体を起こすこともできない。
辛い。
あと何時間、この苦しみが続くんだろうか。
撮影時間になっても、きりやんが現れなかった。大学も休んでいた。きりやんが無断欠席するなんて珍しい。LINEもDiscordも反応がなかった。電話も出ない。
安否確認のために、家に行こう__そんな話を持ち出したのは、誰だっただろうか。軽い話し合いの末、俺が行くことになった。別に家が近いとかそういう訳でもなく、ただ暇だという理由しかなかった。特に面倒でもないし、安否が分からないのは本当に不安だったからすぐに向かった。
きりやんの住む部屋の前まで来たとき、もう異変には気づけていたはずだ。
異様に強い、あの甘い香りに気づかないはずがなかった。
何であの時、俺はインターホンを押すのを躊躇わなかったのだろう。
インターホンを押してしばらくすると、鍵を開ける音がした。扉の向こうに人がいる。
開けないで、と語りかければ彼は扉を開けなかっただろう。
俺の体は棒のように固まって動かなかった。
赤い顔のきりやんが、姿を表すまでは。
丁度薬を飲む時間だった。
重い体を起こして薬を飲み、排泄のためにトイレにも行った。
ベッドに戻ろうとしたときに、インターホンが鳴った。
熱に侵された頭では何も考えられなかった。判断力なんか欠片も残っていなかった。おぼつかない足取りで玄関に向かう。その時の俺は、扉の向こうに誰がいるかなんて考えてすらいなかった。
解錠して、扉を開けた。
扉の向こうにいたのは、Nakamuだった。彼は、α___
まずい、と思った時にはもう腕を掴まれていた。掴んでいない方の腕で扉を閉められる。恐怖で力が入らず、床に座り込む。
「ま、まって、ねぇ、なかむ、」
懇願しても、Nakamuは腕を離さない。彼の顔にも苦悶の表情が見えた。お願いだから、耐えて。もう俺にはそう願うことしかできなかった。
掴まれた腕が痛い。折れるんじゃないかと思う程力が込められている。逃げられない。逃げたい。怖い。見たことのない顔をするNakamuが怖かった。助けてくれる人は、どこにもいない。
床にうつ伏せの状態で押し付けられる。もう逃げようがない。
「や、やめて、お、ねがいだから、やめて」
「ねぇなかむ、きいて、まって、いや、だ、やめ__」
ガリッ
「い゙っ……」
項に、強い痛みが走った。電流のような、強くて甘い痺れ。痛い。歯が皮膚に食い込む。痛い。血が流れる。痛い。
彼は口を離すと、流れた血を舌で舐め取った。
首を回して後ろを見ると、彼と目が合った。俺のことを欲情的な瞳で見つめている
突然俺のことを抱き抱え、Nakamuはどこかへ歩き出した。
「っ、え?」
まだ終わらないのか。緊張で体が強張る。何も言わないNakamuが怖い。
彼の向かった先は、寝室。無抵抗な俺はベッドに置かれ、Nakamuはその上に覆いかぶさってきた。
「…ごめん」
Nakamuはそれだけ言って、俺に口付けをした。深い、貪るような乱暴なキス。こんなキスはされた事がない。
恐怖しながらも、快楽を感じてしまっているこの体が憎い。所詮はオメガ。アルファを求める本能にだけは抗えない。この世の不条理を突きつけられた。
「や、やめて……」
俺の小さな制止の声はもう彼には届いていないだろう。
Nakamuが動きを止めることは無い。もう、取り返しのつかないところまで来てしまっている。俺は抵抗することを諦めて、ここから先の得体の知れない快楽と苦しみに対して身構えるしかなかった。
「ゔあ゙っ゙♡あ゙っ゙、あ゙あ゙っ゙♡」
「や゙め゙っ゙、や゙め゙で♡も゙ゔや゙め゙で♡」
抱えきれないほどの快楽を、与えられ続けている。もう何度イッたのかも分からない。少なくとも、両手では数え切れない回数だ。
彼の腰が止まることはない。永遠と終わらない行為のせいで、脳が溶けてしまいそうだった。
「な゙っ゙、な゙がむ゙♡ゔあ゙っ゙♡」
叫び続けているせいで喉が痛い。
意識がトンでしまいそうだ。むしろその方が楽かもしれない。
体制を変えて、何度も快楽を与えられる。彼がイッても止まらない。
気持ちよくて、辛くて。逃げたいけど、素直な体は快楽を求めている。もう何も考えられなかった。
ぶつりと、意識が途切れた。
正気に戻ったときには、もう遅かった。
俺の下には気絶した全裸の友人がいて、俺も全裸。何をしていたかは一目瞭然だ。
「やっべ……」
絶望の状況でしかない。きりやんの体は、汗だか涙だかよくわからない体液でぐちゃぐちゃだ。塞がりきっていない穴から、こぽりと白濁が溢れた。
一先ず、ベッドの下に脱ぎ捨てられていた服を着る。幸い、と言って良いのかわからないけど俺の服だけは綺麗なままだった。ポッケに入れられたままのスマホを見ると、この家に到着した時間から半日以上が経過していた。
「…きりやん?」
呼びかけても反応はない。息はしているので命に別状はないだろう。
洗面所に行き、タオルを濡らして絞る。とりあえす体だけは綺麗にしてやらないと。
タオルで体を拭く。所々噛み跡やキスマークがついているし、腕には手の形で鬱血痕が残されていた。申し訳なさで胸が一杯になる。
背中側も拭こうと体をひっくり返したとき、一番見たくないものが目に入ってしまった。
項に、くっきりと噛み跡が残されている。
項の噛み跡は、番の印___
番は、一度なったらどちらかが死ぬまで解消されない。アルファの方から一方的に取り消すことはできるが、そうしたらオメガは二度と新しい番を作れない。
取り返しのつかないことを、してしまった。変えようのない事実が重くのしかかる。彼に、きりやんに何と言ったらいいかわからない。
後始末をしながら、彼の目覚めを待つことしかできなかった。
次に目が覚めたとき、俺はベッドに寝かされていた。体は綺麗にされていて、服も着せられている。
「いっ…た…」
体を起こそうとすると、腰に強い痛みが走った。
「あ、」
ベッドの傍の椅子に、浮かない顔のNakamuが座っていた。
「…俺、何時間寝てた」
「6時間位、かな」
「そっか」
二人の間に、気まずい空気が流れる。もう、前の関係には戻れない。友達ではいられない。
「そこの鞄の中にある薬、取って」
Nakamuの傍に置かれた俺の鞄。そこには大切な薬が入っているはずだった。
「…はい」
Nakamuに取って貰った二種類の薬を、一緒に渡された水で飲む。片方は抑制剤。もう片方は…
「……今、避妊薬飲んだから」
「これで多分、妊娠はしない」
「っ……」
Nakamuの瞳が揺らぐ。一度視線を逸らした後、俺の事を真っ直ぐ見つめて、頭を下げた。
「きりやん、ごめん」
「勝手に襲って、番にして、ごめん」
「オレ、取り返しのつかない事して…」
彼の声は、震えていた。頭を下げたまま、じっと動かない。
項に手を当てる。そこにはガーゼが貼られていた。
「顔、上げていいよ」
顔を上げた彼と目が合う。すごく、不安そうな目だった。
「あの時さ、俺すごい怖かったんだよね」
「……いいよ、って簡単に許してやることはできない」
怖かった。何を言っても止まらない。番にされて、本能のままに乱暴に扱われて。
「だから、さ」
「ちゃんと責任は取れよ?」
もう戻れない。なら、このまま先に進むしかない。
「…いいの?」
「オレの事、嫌いにならない?」
「ならねぇよ」
「扉開けた俺にも非はあるし、Nakamuだけに背負わせられない」
「…ありがとう」
Nakamuは、すごく申し訳なさそうな顔をしている。
勿論彼のしたことは悪いことだ。警察に突き出すことだってできる。それでもそうしなかったのは、彼が友人だったからだろう。許したくはない。けど彼だけに全ての責任を押し付けたくもない。
番として傍にいてくれれば、それで十分な気がした。
「……じゃあこれからは、番としても、よろしくお願いします」
「はい、よろしくお願いします」
こうして俺達の、望まぬ関係は始まった。
コメント
2件
空気感が好きすぎます。心情に少し現実的な部分があるのも好きです。